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ことわざについて
ことわざとは、人が生活する上での経験と観察を元に得た知識を、簡潔に言い表した文章です。長い歴史の中で、先人たちが見出してきた知恵が集約されてます。全世界でことわざの概念があり、日本では、平安時代からことわざが用いられていました。短い文章で真実を簡潔に表す事ができるため詳細な説明の代わりとして、過去から現代に至るまで、私たちの生活に定着しています。
ことわざの基本的な構造は、「○は△」や「○より△」といった偶数で構造されていると、多くの研究者から発表されています。また、ことわざがこの点で共通している部分が二つあります。一つは、二つの物や事柄を比べる事、でお互いを際立たせて見せている事です。二つ目は、限界な状態を表すことわざは、その状況の詳細の説明が切り取られているという事です。
「猿も木から落ちる」ということわざ
今回は、この「猿も木から落ちる」ということわざに焦点を当てて、意味や同義語、使い方などについて詳しく紹介します。
「猿も木から落ちる」の意味
「猿も木から落ちる」とは、「木登り名人である猿でも、時には木から落ちてしまう事がある」という表現をする事で、「どんなにその道に優れた者でも、時には失敗してしまう事がある」という意味を表しています。
その道に優れている者が、その道で失敗した際に、「そんな木登り名人の猿でも、時と場合によっては、失敗して木から落ちてしまう事もあるから、異常な事ではない」と言いたい場合に、適切なことわざと言えるでしょう。
「猿も木から落ちる」の由来
猿の生活場所は、山や森林などです。その中で木の上に登って食べ物を採ったり、食事をしたり、遊んだりと木を中心にして生活するものも多くいます。よって、木に登る事は猿にとって生活の一部とされ、昔から人々の中では、「木登りと言えば猿」という感覚が定着していると言えます。
この事から、その道に優れた者を木登り名人である「猿」と例えて表現するようになったと言えます。
「猿も木から落ちる」の使い方
上記で意味について解説しましたが、「猿も木から落ちる」とは、「木登り名人である猿でも、時には失敗してしまう事がある」という場面を表現する事で、名人の失敗も無い事では無いという意味を表しています。つまり、使える状況としては、ある物事に対して、普段は上手にこなせる人が失敗してしまった時と言えるでしょう。
この表現から、その道に優れた者を木登り上手な「猿」と例える事で、普段上手なのはわかっていると称えた上でのフォローとして使う事ができます。また、反対に失敗した自分自身が自分に対して使ってしまうと自画自賛や負け惜しみの意味になります。
次に、状況に合わせた使い方の例を挙げて紹介します。
「猿も木から落ちる」の使用例
①優勝候補とされているピアニストが本番で失敗してしまった時に使える「猿も木から落ちる」
・彼ほどのピアニストが失敗してしまうなんて「猿も木から落ちる」です。
⓶合格間違いなしと言われていた○○君が、不合格だった時に使える「猿も木から落ちる」
・まさか○○君が不合格だったなんて、「猿も木から落ちる」という事です。
③料理上手で評判な○○さんが、失敗してしまった時に使える「猿も木から落ちる」
・いつもあんなに美味しい料理を作る○○さんが、失敗するなんて「猿も木から落ちる」とはこの事です。
④普段から運動が得意な○○が徒競走の種目で転んでしまい、最下位になってしまった時に使える「猿も木から落ちる」
・こんなに運動神経が良い○○が転ぶなんて「猿も木から落ちる」です。
「猿も木から落ちる」の類語
「猿も木から落ちる」に似通った意味をもつ類語として挙げられるのは、巧者の手から水が漏る、弘法にも筆の誤り、権者にも失念、上手の猿が手を焼く、上手の手から水が漏る、千慮の一失、知者の一失、知者も千慮に一失あり、天狗の飛び損ない、念者の不念などたくさんの言葉があります。
どれも、その道に優れた者が失敗してしまうという意味を持つという簡潔な文章です。「猿も木から落ちる」の使い方と同じように、普段はその分野で優れている者が、その分野で失敗した際に向ける言葉です。
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「猿も木から落ちる」の同じ意味のことわざ
「猿も木から落ちる」ということわざは、小学校で誰もが習う非常に分かり易く、覚えやすいことわざです。きっと、子供の頃に実際に使った経験がある方もいらっしゃるでしょう。そんな「猿も木から落ちる」のような子供とも一緒に使える分かり易いことわざを紹介します。
まず、「河童の川流れ」です。木登り名人の「猿」と同じように、泳ぎの名人とされている「河童」がおぼれてしまう事を表しています。河童は想像上の生物ですが、昔話などにもよく登場し、子供にも親しみ易いキャラクターですので、「猿も木から落ちる」と同じテンションで、同じ意味を持つことわざとして使い易いでしょう。
「猿も木から落ちる」と同じ意味をもつ英語
・The best cart may overthrow.
日本語訳は、最高の馬車でも転覆することがあるという意味です。
・Even homer sometimes nods.
日本語訳は、名人でも時には失敗する事があるという意味です。
・A horse may stumble though he has four legs.
日本語訳は、四本足の馬も時には転ぶという意味です。
「猿も木から落ちる」の対義語
「猿も木から落ちる」の反対の意味をもつ言葉としては、「愚者にも千慮に一得あり」「愚者も一得」「千慮の一得」などがあります。この言葉には、普段から評価が低く愚かな者でも、たくさん考えある中で一つくらいはいい考えがあって、役に立つ事があるという意味があります。
「猿も木から落ちる」は、木登り名人の「猿」と称える主語で、プラスの所から下がるというイメージですが、「愚者にも千慮に一得あり」「愚者も一得」などは、主語が「愚者」と評価が低い愚かな者になっており、マイナスの所から上がるというイメージになっています。
慣用句について
ことわざと慣用句の違いはとても分かりにくく、厳密な境界はありませんが、簡潔な文章で構成されて、生活の知恵や皮肉にもなることわざに対し、慣用句は二つ以上の言葉の羅列で元の意味とは異なった意味を表します。また、人の体を用いて作られた言葉多くあります。
人の体を用いた慣用句
・「足がつく」
身元や足取りがわかってしまう事という意味があります。
・「顎で使う」
高慢な態度で人に指図して使う事という意味があります。
・「手を焼く」
処置しきれずに、持て余すという意味があります。
「猿」を使った慣用句
「猿」を用いた慣用句には、「猿に木登り」「猿のひとまね」「猿知恵」などがあります。
・「猿に木登り」
教える必要が無いほど上手なのに、教える事という意味があります。
・「猿のひとまね」
しっかりした考えも無いのに、人の真似をする事に対する皮肉の意味があります。
・「猿知恵」
気が利いているようで、浅はかで単純な知恵という意味があります。
「猿も木から落ちる」のことわざでは、プラスのイメージの猿でしたが、上記の慣用句から考えが足りない浅はかな存在というマイナスなイメージとしても、扱われている事が分かります。
「猿も木から落ちる」は年賀状で使える?
猿年の年賀状では、「猿」というワードを使って、小粋な年賀状の一言を考えたくなりますが、「猿も木から落ちる」ということわざは、あまり適していません。
「猿」を木登り名人の優れた者とプラスの表現で例えているので、一見相応しいように思えますが、「落ちる」という失敗のワードが入っているので、新年のおめでたい挨拶には適していないと言えます。
また、失敗してしまった人に対してはフォローになりますが、失敗していない人に対して使うのは失敗を予見しているようであまり良い印象は持ちません。注意しましょう。
「猿も木から落ちる」は挨拶に使える?
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「猿も木から落ちる」は、最後は「落ちる」というマイナスなイメージになるので、年賀状同様、あまり適しているとは言えません。上記で紹介した慣用句においても「猿」はあまりいい評価として登場していませんので、「猿」というワードを使った挨拶には注意が必要です。
マイナスな意味ではない「猿」を用いたことわざとしては、「見ざる聞かざる言わざる」というマイナスな部分を無駄に見たり聞いたり言ったりし無い方が良いという戒めの意味を持つものや「猿に絵馬」という猿を神聖な存在と例えて、取り合わせの良いという意味をもつものがあります。状況に応じて、注意して使いましょう。
フォローとして使ってみよう
「猿」というワードは、ことわざや慣用句にによって、優れている者だったり、愚かなものだったりと色々な印象で登場します。それだけ、昔から親しみやすい動物だったという事でしょう。
「猿も木から落ちる」ということわざは、その道で優れている人が失敗した時に、相手を「木登り名人の猿」と称えた上で、失敗する事も異常な事では無いとフォローする時に適しています。
ことわざを使って、フランクにフォローする事で、相手の悔しさを半減させてあげましょう。