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「嗜好性」の意味と使い方
食品
食品における嗜好性とは「生存を目的としたエネルギー摂取や、健康な身体を構成するために必要な栄養素の摂取などとは別に、食事をとる人の感受性が優先されるもの」の事を指します。食事をとる個人にとって、より好ましい風味をもつ食品を食べることを「嗜好性」と言います。
嗜好性は、家庭や社会の環境の影響や、個々人の運動量や精神活動量による違い、子供の苦みへの感受性の高さなどの、生理的なものが関与していると考えられています。
また、味に限らず、良い香りのする食品や面白い触感の食物、食品に適した温度の食事なども嗜好性の目安とされます。その人が好ましいものだと感じることができるのであれば、それは嗜好性が高いと言えます。
ドッグフード
犬はペットから家族の一員へと変化しています。人も犬も舌が肥えている飽食の時代、ドッグフードにも嗜好性が求められる時代になってきました。さて、嗜好性の高いドッグフードが与えられるグルメな犬が増えたのであれば、当然その味の違いもわかっているはずです。美味しい味とそうでない味を犬はどれだけの精度で区別することができるのでしょうか。
犬はグルメ?
グルメになった嗜好性の高いご飯を求めるようになってきたと思われていた犬は、信じられないことに人間の5分の1の味覚しか保有していないことが判明しました。あまり味覚の精度は高くなくドッグフードの味の違いを理解していると考えるのは非現実的と言えそうです。どうやら優れた嗅覚を持つことで、食品の品定めができるようになり、味覚を用いた判断はあまり得意ではないことが判明しました。
つまり、犬の嗜好性は味ではなく匂いにあると考えても良いです。その一方で犬は人間が感じることのできない水の味(イオン濃度)を感じることができます。生存のためにどのような進化を辿ったのかで、種族ごとに味覚に大きな違いが生まれたと考えられます。
犬の味覚センサーは人間の5分の1
犬の場合、味蕾細胞はどうかというと、犬の舌にも味を感じ分けるための味蕾細胞は備わっています。しかし、舌にある味蕾細胞の数は2000個程度と、人間のおよそ5分の1しかないため、味覚は人間と比べて感度が低いとされています。また、犬の味覚については、まだまだ究明されていない点も多く、人間のように舌のどの部分でどの味を感じられるかという分布もはっきりとは分かっていません。ただし、水の味を感じられる特別なセンサーを持っているとされています。
https://natural-food.jp/store/contents/dogfood/article-15/
犬の味覚
人間の5分の1とは言え犬にも味覚があります。いったいどの味を感じることができるのでしょうか?そして感じることのできる味から嗜好性の高いものとそうでないものをどのように判別すればいいのでしょうか。犬は「甘味」「苦み」「酸味」「塩味」を感知することができる一方で、残念ながら繊細な味わいのひとつである「うまみ」を感じることができないのです。
犬が感じている味覚とは?
犬は食べ物を食べた際に「甘み」「苦味」「酸味」「塩味」の4つの味を感知するとされています。ちなみに、人間が感じることのできる味覚のひとつである「うまみ」については、犬は感知できないとされています。
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嗜好性の高いドッグフードとは?
犬は味覚がそれほど発達していない一方で、口腔内感覚が鈍感なわけではなく、嗅覚の次に食感を楽しむとされています。そのため、ドッグフードの嗜好性は味覚由来のものと表現するのは適切ではなく、その犬の好みの匂いと好みの触感を持ち合わせたものが嗜好性の高いドッグフードと言えます。
犬は人間より遥かに優れた嗅覚を備えており、食べ物の品定めをする際にもまず、「におい」から確認する習性を持っています。犬にとって、食べ物の評価基準としては、まず「におい」があり、その次に「食感」を確かめます。味はその後ようやく判断材料となるもので、どうやらそれ程優先度の高いものではないようです。
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「嗜好性調査」とは
日本人の嗜好性調査について
過去行われた例として、2000年9月に味の素社によって実施された日本人の食嗜好調査があります。その日本人の食嗜好調査の対象は層化二段無作為抽出(*1)した15~79才の男女5000人、規模は全国250地点という大掛かりなものでした。調査は、主観ではなく客観的なデータを集めることを目的とし、実態レベル(メニュー実態)と意識レベル(嗜好、食生活意識)に分けられ、集計されたデータはコンピューターを利用し統計処理されました。
補足
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*1 全国の世帯及び世帯員を対象としたもので、性別や職業等の条件によって調査対象を選ぶことなく、ランダムで抽出されます。精度の高い推計結果が得られる調査方法です。
「嗜好性調査」の方法
嗜好性調査の方法
具体的な嗜好性調査の流れ(味の素社の場合)
ブレーンストーミング(*2)とKJ法(*3)を用いて、食品と味の好みに関する現象仮設集計をします。次に、調査企画、質問項目設定(サンプリング理論(*4)、アンケート調査法)などを作成し、予備調査(社内モニターの主婦への調査)を行います。
予備調査を終えたあと、本調査(層化二段無作為抽出法)を行い、基本集計、検定(単純・クロス集計(*5)、検定(平均値の差、百分率))を多変量解析(因子分析、数量化工類、クラスター分析)、時系列解析(コホート分析*6)を用いて解析します。その結果を解釈し、データベースを作ります。
もっとわかりやすい嗜好性調査の方法
わかりやすく言い換えると次のように言い表せます。
調査する前に対象の調査内容の想像・想定をして、それをまとめ、どのように調査するか、どのような質問と選択肢を設けるかを決めます。全国で調査する前に一度小規模の調査を行った後、実際に全国で調査します。調査した結果を集め、それらをもとに%で表したりしてまとめます。
年齢、地域、性別、職業、家族構成、年収などの影響を受けると想定し影響を減らします。また、その影響が本当にあるのか解析します。(この調査では記載した順番ほど影響度が大きかったという結果が出ました)
以上のデータをもとに調査結果を判断します。
補足
*2 調査内容のアイデアや想像を含めた仮説のことを言います。
*3 ブレーンストリーミングによって集まった仮説の集計し、その発想を素に問題解決を図ります。
*4 特性を評価するために一部を抽出する行為です。
*5 単純集計は質問の選択肢の回答の集計を行い、クロス集計はそれに性別や年齢などの別の要素も同時に集計します。
*6 統計解析法の一つ。仮説の要因に一致している層とそうでない層について追跡調査を行います。(前向き研究ともいわれます)
当時行われた嗜好性調査の結果
好まれる主食の1~3位はお米・ご飯に関するものであり、米の消費量の低下が問題になりながらも約8割の人間が好んでいました。好まれる主食の1位6位8位が海産物をもとにしたおかず、他10位まではお肉をもとにしたおかずを好むという結果になりました。
好きな魚介類は1位かに2位えび3位まぐろで、肉類は牛肉、豚肉が上位にあげられました。この結果は2000年のものであり、現在とは大きく異なっている可能性があります。
薬物にも「嗜好性」があるのか
まず、薬には嗜好性はないと判断して間違いはありません。そもそも薬は必要だから体に取り入れるものであり、薬の匂いや味の好みはそれほど重視されません。処方されたお薬は身体に必要なものです。好き嫌いとは関係なくきちんと服用してください。
「嗜好性」の対義語
嗜好性は「趣味」や「好み」に関するものを指し、それと対になるものは「実用品」や「必需品」があげられます。嗜好性があれば嬉しいがないのであればしょうがないと思える娯楽品であるとすれば、その対義語は必要性であり、生きるのに必要不可欠な生活必需品であると言えます。
「嗜好性」が「高い」「低い」の意味の違い
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嗜好性が高いとは「より個人の好みを反映したもの」であるということ。嗜好性が低いとは「個人の好みよりも実用性、必要性が高いもの」であることです。そのため、対象をより好んでいるのなら嗜好性が高いと言え、必要であるのなら低いと言えます。嗜好性とは余裕があるときにうまれるものであり、なりふり構っていられない時には優先順位が下がります。
「嗜好性」の類語
食品における嗜好性の類語は次の2つがあげられます。満足度(それを得ることで欲求が満たされる)と魅力的(それを欲しがる、求める)であるか否かです。よりおいしいものを食べたい、おいしく食べたい、食べることで幸せになるということが嗜好性の高さの目安となります。
最後に、嗜好性とは
人間にとっての嗜好性は第一に味覚に起因するのであり、犬にとっての嗜好性は嗅覚が起因するものとされます。しかし人間にとっても嗜好性は味覚に限らずバランスよく存在して「好き」という感情が芽生えるのです。
つまるところ嗜好性とは味であり、香りであり、見た目であり、温度であります。あらゆるものが対象となりうるものであります。正しいたった一つの「嗜好性」は存在せず、誰かにとって嗜好性の低いものが別の誰かにとっては高いものだということは往々にして起こりえます。
言うのであれば重複することはあるだろうが、個体ごとに嗜好性は存在しており、何を好むのかはその人次第と言えます。