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「大いに」と「多いに」の違いと使い方・類語

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「大いに」と「多いに」の違いは?

「大いに」と「多いに」は同じ読みですが、違いが存在します。

大いに

「大いに」の意味は、「程度が甚だしいこと」です。「程度」には3つほどの意味が存在していますが、ここで使用する「程度」には「他の物と比べた時の高低・多少・優劣などの度合い」の意味が用いられています。「甚だしい」の意味が「程度が普通の状態を遥かに超えている」ことですので、「大いに」が表すことは「他の物と比べて高低・多少・優劣などの状態が遥かに高い」になります。

多いに

辞書などで調べてみると分かりますが、「多いに」という言葉は存在しません。「多いに」は「多い」と「に」に分かれる表現であり、表すことは「多い」が持つ意味のとおりになります。「多い」の意味は、「物の数や量がたくさんある(豊富)・一定分量の中で占める割合が大(大半)・数量や度数が相対的に大」の3つです。

「多いに」の語は無いため通常は「大いに」

「多いに」という言葉は見当たらないため、通常は「大いに」を使用します。しかしながら、示す内容や文脈によっては「大いに」とも「多いに」とも表記できるような場合もあります。そこで、目を通しておきたいのは「漢字の意味」です。「大」と「多」のそれぞれが持つ意味を見ることで、使い分け方が見えてきます。

「多」は「数や量」「大」は「程度やサイズ」

古い時代、「多」と「大」は同じ「おほし」の言葉で表現をされていました。時代が流れて言葉に変化が起きる中で、「多」は「多し」、「大」は「大きなり」に分かれました。

現代では、「多」=「数・量」の「おおい」、「大」=「程度・サイズ」の「おおい」を表す漢字になっています。また、「大」は「非常に・甚だしい」といった「通常の度を超して」の意味で用いられることもあります。

「多・多い・多いに」は「数や量がおおいこと」を表す時に使用し、「大・大きい・大いに」は「程度やサイズがおおきいこと」を表す時に使用するということです。「おおいに助かる・おおいに歓迎する」などは、「程度」の表現になるため「大いに」を使います。「多いに」は通常では使わない形なので、「実りが多い・指数が多い」など「数や量」の表現に使います。

「大いに」の使い方!

「大いに」の使い方をご紹介します。

唄う

「大いに」と組み合わせると「大いに唄う」になりますが、この意味は「大きな声で唄う」または「堂々と唄う」と言えます。「大いに唄え」などのように、命令形の台詞が用いられることもあります。

「唄う」の意味は「歌う」などの同音語と同一視されますが、「人以外のものが快い音や美しい声を出す」の意味における「うたう」に当てられる漢字であり、広く用いられる漢字表記ではありません。また、「唄」は訓読みで「うた」とは読みますが「うたう」とは読みません。

漢字としての意味は「仏の良い行いを讃め称える歌」ですが、日本では「音楽に合わせて歌うように作った韻文(一定規則に従って書い表した文)・詩の一体(古詩の一種)」の意味でも用いられます。この意味は「歌」と同語源であり、使い分け方が紛らわしくなりますが、「唄う」は常用漢字の読みではないため、公用では使わない方が良いでしょう。

盛り上がる

「盛り上がる」の意味は、「盛ったように高くなる」と「物事の勢いが高まってくる」の2つです。どちらの意味でも、「大いに」を使うことができます。

「大いに」と「盛り上がる」を組み合わせると「大いに盛り上がる」という文が完成しますが、この意味は表す内容により「盛ったように非常に高くなる」になるのか「物事の勢いが非常に高まってくる」になるのかが違ってきます。一般的には、「物事の勢い」を表す意味で用いられることが多いです。

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貢献する

「貢献」の意味は「物事や社会に力を尽くして良い結果をもたらすこと」と「貢ぎ物を奉るなこと(また、その貢ぎ物のこと)」の2つですが、「大いに」と組み合わさって「大いに貢献する」の文になる時には、前者の意味「物事や社会に力を尽くして良い結果をもたらすこと」を用います。

つまり、「大いに貢献する」の意味は「物事や社会に大きな力を尽くしてとても良い結果をもたらす」です。表現する内容によって、物事のことなのか、社会のことなのかは違ってきます。

期待する

「期待(きたい)」の意味は、「予期した良い結果や状態の実現を待ち望むこと」です。「予期」は「あらかじめ期待や覚悟をすること」ですので、「そのことが起きる前に良い結果や状態の実現を待ちながら叶うように願う」ことを表しています。「大いに」と組み合わさると「大いに期待する」になりますが、この意味は「前もって良い結果や状態を強い気持ちで待ち望む」です。

大いに結構

「結構」の意味は、名詞・形容動詞・副詞といった使い方によって違います。名詞の使い方をする際の意味は「全体構造の組み立てを考える・もくろみ・用意」の3つで、形容動詞の使い方をする場合は「優れていて欠点がない・満足なさま・それ以上必要としない・気立てが良い」の4つの意味があります。副詞の意味は、「完全ではないがそれなりに十分」です。

「大いに結構」の形になる時には、「それ以上必要としない」の意味を除いた「形容動詞としての意味」が用いられます。そのため、「大いに結構」の意味は「非常に優れていて欠点がない・非常に満足・非常に気立てが良い」のどれかになります。

「大いに」の類語は?

「程度が甚だしい」の意味を持つ「大いに」の類語になる言葉には、「非常に・甚だ・大変・とても・極めて・極・頗る・大層」などがあります。類語は言い換えに使用できるため、状況に応じた表現をしたい時に役立ちます。それぞれの意味を、ご紹介していきます。

非常に

「非常に(ひじょうに)」の意味には、「非常」の言葉が持つ意味「並の程度ではないさま(甚だしいさま)」が用いられています。「程度が甚だしい」を意味する「大いに」と同じ意味です。「非常に嬉しい・非常に危険だ・非常に寒い」などの使い方をします。

甚だ

「甚だ(はなはだ)」の意味は、「普通の程度を遥かに超えているさま」です。「大変・非常に」と同義であるため、「大いに」とも類語になります。「甚だ滑稽・甚だしきことだ・甚だしい様子」などの使い方をします。

大変

「大変(たいへん)」の意味には「重大な事件・物事が重大・苦労などが並々でないこと」もありますが、これらは名詞・形容動詞としての意味であり、「大いに」の類語になるのは副詞としての意味「程度の甚だしいさま(非常に・大層)」です。「大変素晴らしい・大変喜ばしいことだ・大変遅くなってしまった」などの使い方をします。

とても

「とても」の意味は4つほどありますが、その中で「大いに」の類語になるのは「程度の甚だしいさま(非常に・大変・とっても)」です。「とても良い・とても暑い・とても難しい」などの使い方をします。

極めて

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「極めて」の意味には「きっと・必ず」もありますが、「大いに」の類語になる意味は「程度が甚だしいさま(この上なく・非常に)」です。「極めて稀なこと・極めて苦しい現状・極めて居心地が悪い」などの使い方をします。

「極(ごく)」が持つ名詞と形容動詞の意味の1つに「程度が甚だしいこと」があり、この意味が「大いに」の類語になります。ただし「極」を「程度が甚だしいこと」の意味で使う場合は、多く「の」を伴って使用されます。

また、副詞としての意味にも「普通の程度を遥かに超えているさま」があります。副詞では「極親しい間柄」などの形で使うため、使い方的にはどちらかと言えば、副詞の意味の方が「大いに」に近いと言えます。

頗る

「すこぶる」と読みます。意味は「程度が甚だしい(非常に・大層)」と「少し(いささか)」の2つで、「大いに」の類語になるのは「程度が甚だしい」の方です。「頗る元気・頗る話しやすい・頗る眠い」などの使い方をします。

大層

「大層(たいそう)」には「程度が甚だしいさま」と「大がかりであるさま」の意味がありますが、「大いに」の類語に当たるのは前者の意味です。「大層なことだ・大層喜んでいる・大層立派な人」などの使い方をします。

「大いに」の反対語は?

「大いに」が持つ「程度が甚だしい」の意味と、反対になる意味を持つ言葉は何でしょうか。細かく見ていくともっとたくさんの語が挙がりますが、ここでは一般的によく用いられる語である「小さい」と「程良い」を「大いに」の類語としてご紹介します。

小さい

「小さい」の意味は、全部で10つあります。1つ目の意味は「物の形や容積などが狭い空間や場所しか占めていない」で、2つ目の意味は「量や数が少ない」です。3つ目は「程度が僅か」、4つ目は「規模が普通以下」、5つ目は「範囲が狭い」の意味となっています。

6つ目の意味は「心が狭い(度量が狭い)」で、7つ目の意味は「些細(あまり重要ではない)」です。8つ目は「年齢が少ない」、9つ目は「卑下した状態」、10つ目は「金銭単位が下」となっています。「大いに」の対になる言葉というよりは、「大きい」という表現の対になる言葉であり、「大いに」の反対語として「小さい」の語を用いる時には、「小さな」の形にすることもあります。

たとえば、「大いに期待する」であれば「小さな期待をする」の形になります。「大いに唄う」の場合は、「小さな声で唄う」などの形にして表現すると「小さい」が「大いに」の対となる語になります。

程良い

「程良い」の意味は、「丁度良い(具合が良い・適当である)」です。意味に用いられている言葉たちは、「程良い」の類語でもあります。「程良い・丁度良い・具合が良い・適当」といった言葉は「その状況や人などに合っている物事」を表す語であり、「程度が甚だしい」=「通常の度を超している」を意味する「大いに」とは反対のことを表しています。

「多いに」は無いため「大いに」を正しく使おう!

「大いに」の意味は、「程度が甚だしい」です。「他のものと比べて高い・大きい」といったことを表す時に使う言葉であり、「大いに結構・大きに期待する・大いに貢献する・大いに唄う」などの使い方をします。類語には「非常に・甚だ・大変・とても・頗る・大層」などがあり、ほぼ同じ意味を表す語もあるため、その状況に応じた表現を用いると良いでしょう。
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