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「卸す」と「降ろす」「下ろす」の違い・使い方と例文・類語

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「卸す」の意味と使い方!

「卸す(おろす)」の意味は、「問屋が商品を小売業者に売り渡す」で、この意味は一般的に「卸売」と呼ばれており、「卸売り・卸し売り」などと表記されることもあります。

「問屋」とは「卸売業者」のことで、「製造者から物を購入して小売業者に売る業務」を仕事としている人(業務)のことを言い、「小売業者から依頼された物を製造者から購入する」という受注型の業務を行う「卸売業者(問屋)」もいます。

「卸」という漢字の意味

「卸す」の意味は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」のみですが、「卸」の漢字が持つ意味は3つほど存在します。

1つ目は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」で「卸す」という形になった時と同じ意味で、2つ目は「結んだり縛ったりしてある物を緩めて分け離す」あるいは「着ていた物や身に付けた物を外す」で、3つ目の意味は「落ちる・降りる」とされます。

2つ目の意味と3つ目の意味が「卸す」に用いられない理由は、「漢字は読み方に合わせた意味が付けられる場合がある」からです。

漢字の使い方と「卸す」の意味

「卸」を「おろす」の読み方で使用する際に当てはまる意味は、「問屋が商品を小売業者に売り渡す」なのです。そのために、「卸す」には「問屋が商品を小売業者に売り渡す」の意味しかありません。2つ目や3つ目の意味は「卸頭(中国語)」などの形で使用されることが多く、日本語では「卸す」や「卸(おろし)」の形で使うことがほとんどです。

「卸」の読みと成り立ち

「卸」を「卸す(おろす)・卸(おろし)」と読むのは、訓読みになります。常用漢字における音読みはありませんが、常用漢字表外の音読みでは「しゃ」と読まれます。

象形「両人が代わる代わるつく(杵)」と「立ち止まる足」と「跪く人」が組み合わさった「跪く2人が杵を代わる代わるつきおろすように荷物を宿駅ごとにおろして別の馬に積み替える」の意味を持つ文字が「卸」の成り立ちですので、「場所を移る中で次々と荷物をおろしたり積み替えたり」する様子を表した漢字になります。

この様子は、製造者から商品を買って小売業者に売る業務を行う「卸売り業者」の動き・様子とつながります。

「卸す」と「下ろす・降ろす」の違いは?

「下ろす」は、「上から下へおろす」ことを表します。そして、「降ろす」は「乗り物からおろす・高い所から低い所へ移す」ことを表します。では、同音語である「卸す」との違いはなんでしょうか。同音語は扱いに関して紛らわしいため、「卸す・下ろす・降ろす」の違いを正しく把握しておきましょう。

「下ろす」との違い

「卸す」は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」ことを表すため、「あるところから得た物を別の所に売る形で渡す」様子を意味します。「下ろす」は「位置が上から下になる」ことを言うため、文字で説明される限りでも、「卸す」とは表す内容が異なっていることが分かります。

「卸す」は「問屋が小売業者に商品を売り渡す」という限定的な表現であり、「位置が上から下になる」意味は含まれていません。「下ろす」は「卸す」よりも一般的に用いられる語であり、「上から下」の様子を表す時に広く使える漢字です。

使い方としては、「卸す」は「品を卸す」のように「問屋が小売業者に商品を売り渡す」ことを表す表現しかありませんが、「下ろす」は「腰を下ろす・スボンを下ろす・手を下ろす」などがあります。普段見かける「何かが上から下に」を表す時には、「下ろす」の漢字および言葉が適します。

「降ろす」との違い

「降ろす」は、「乗り物からおろす・高い所から低い所へ移す」の意味を持ち、意味の特徴は、「物の置き位置が高いから低いになる」という点です。

「下ろす」は「位置が上から下になる」ことを表すため、「置いてある位置」よりも広い範囲に使える表現になります。

そして「卸す」は「問屋が小売業者に商品を売り渡す」の意味ですので、「下ろす」同様「降ろす」とも表していることが異なります。

「降ろす」の使い方としては、「荷物を降ろす・車から子供を降ろす・机から猫を降ろす」などがあります。「高い所から低い所へ」という点を重点に使用方法を紹介します。

3つの「おろす」の違いをまとめると

「下ろす」は「位置が上から下になる」様子、「降ろす」は「置き位置を高い所から低い所になる」様子を意味します。そして「卸す」は、「問屋が小売業者に商品を売り渡す」という意味を持っていました。

「卸す」と「下ろす・降ろす」との意味の違いは歴然ですが、「下ろす」と「降ろす」の使い分けは少しややこしい場合があります。「降ろす」の「降」は「降る(ふる)」の形でも使用され、その際は「雨が降る・雪が降る」などの使い方をしますが、これは「高い所から低い所」というよりは「上から下」の様子です。

しかしながら「降る」の形では「降」=「高い所から落ちる」の意味であり、「下ろす」とはまた違った表現なので、似ても似つかない関係性となっています。また、「降」は「降参・降伏」などの使い方もしますが、この場合は「身分や地位などを下げる」の意味が用いられています。

「擦り崩す」の意味では3つとも使える

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「大根おろし」や「おろし金」といった言葉の「おろし」には、「擦り崩す」の意味があります。「物体と物体を密着させて動かすことで、その物体の体積を減らしていく」ことを「擦り崩す」と言います。この「おろし」は漢字にすることが可能ですが、使用される漢字は「下・降・卸」の全てです。

辞書の中で「おろし=擦り崩す」の意味が見られるのは「下ろす・降ろす(下ろし・降ろし)」の項目ですが、補足として「多く卸しの表記が用いられる」とあります。つまり、「大根卸し」とも「大根下ろし・大根降ろし」とも表記できるということです。「大根おろし」に関しては平仮名を用いることが多いのですが、「おろし金」では「卸し金」と書かれることもあります。

「卸す」の類語になる言葉は?

「卸す」の類語になる言葉を、ご紹介します。

卸売

「卸売(おろしうり)」は、「卸売り」とも書きます。「製造者から商品を仕入れてそれを小売業者に売り渡す」業者、あるいは「市場から買い付たものを小売業者に売り渡す」業者のことを言います。「卸して売る」と書くため、表していることは「卸す」と同じです。

問屋

「問屋(とんや)」については、これまでにお伝えしていますが、類語として改めてご紹介します。「問屋」というのは、言い換えれば「卸売り業者」のことで、「製造者から物を購入して小売業者に売る業務」を仕事としている人(業務)のことです。

「小売業者から依頼された物を製造者から購入する」という、受注を受けて業務を行う「卸売り業者(問屋)」も存在します。「卸す」の意味は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」ですので、「問屋」=「業者の名称」、「卸す」=「問屋の業務行動」を表します。そのため、「問屋が商品を小売店に卸す」といった文を作ることもできます。

製造卸

「製造卸(せいぞうおろし)」は、「製造業と卸売業を兼ねている業態」のことです。「卸(おろし)」と言われる業務は「製造者から商品を購入して、それを小売業者に売り渡す」ことですが、「製造卸」では「自分のところで商品を製造している」ため「製造者から商品を購入して」の部分が省かれます。

簡単に言えば「自分のところで製造したものを小売業者に卸す業務」または、その業者が「製造卸」と呼ばれるものになります。もともとは「卸・卸売」と同様に食品や花などの物流において存在する業務形態でしたが、自体の流れと共にファッションや個性化志向が強まり、アパレル業界では製造卸が増加したと言われています。

仲卸

「仲卸(なかおろし)」は、「卸売市場内で卸売業者と小売業者を仲介する業者」のことです。「卸売業者」は「卸す」の意味に当てはまる業務を行う人のことであるため、その業者と小売業者の仲介となる「仲卸」とは意味が異なりますが、混同されやすいので類語に挙げました。

通常は「卸売業者が小売業者に直通で商品を売り渡す」のですが、青果物・食肉・水産物・花などの卸売市場では、「卸売業者と小売業者の間に仲介が入る」ことがあります。その仲介業務や、その業務を行う人を「仲卸」と呼びます。

通常の物流は「製造者→卸売業者→小売業者」ですが、場合によって「仲卸」を要する時には「製造者→卸売業務→仲卸→小売業者」という物流になります。

行商

「行商(ぎょうしょう)」は、「店を構えずに商品を持って売り歩く」商売方法を意味します。また、そのような商売方法をしている人のことです。人を指す場合は、「行商人」とも言います。「卸」では「お客様に販売」ではなく「取引先との売買」になるため、店を構えているわけではない場合も多くあります。

その点では「行商」と「卸」の意味は似ますが、表していることは異なります。「卸」は「製造者から商品を購入して小売業者に売り渡す」でしたが、「行商」は「店を構えず商売を持って売り歩く」です。「行商」には「製造者から購入して小売業者に売り渡す」ことなく、「店を構えず商売を持ってお客様に売り歩く」ことなので、業務形態の違いが明白と言えます。

「卸す」の対義語は?

「卸す」の対義語は、「仕入れる」です。「仕入れる」は「小売業者が問屋から買うこと」を意味するため、「卸す」が表すこととは真逆であることが分かります。「問屋が小売業者に売ること(卸す)」「小売業者が問屋から買うこと(仕入れる)」ですので、「卸す」は「売る側の行動」、「仕入れる」は「買う側の行動」を表しています。

「問屋」は「製造者から商品を購入する」時には「買う側」になりますが、「卸す・仕入れる」の意味には「問屋・小売業者」といった存在を表す語が含まれています。つまり、「問屋と小売業者の間で行われる物流」を表す時にしか使えないということです。

「卸す」を使った例文!

「卸す」を使った例文を確認してみましょう。

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「魚を卸す」の意味は、「漁業者から魚を購入して小売業者に売り渡す」業務です。鮮魚を取り扱う小売店や、漁業者、漁業関係者などの中では「魚を卸す・魚の卸」といった表現がよく用いられます。例文としては、「水揚げされた魚を買い取って鮮魚の小売店に売り渡す」などがあります。

スーパー

「スーパーへ卸す」の意味は、「製造者から商品を購入してスーパーという名の小売業者に売り渡す」業務です。スーパーはいろんなものが販売されていますが、店の種類で言えば小売店に属します。そのため、「卸」としてスーパーとつながりのある「卸売業者」も存在します。例文としては、「メーカーから買い取った商品をスーパーに売り渡す」などがあります。

「卸す」を敬語で使う場合は?

「卸す」を敬語で表現する時には、「卸します」など丁寧語の形にして使用します。「卸売業者」などのように「卸(おろし)」で使う時には、そのままの形で用いても問題ありません。

「卸す」と「下ろす・降ろす」を正しく使い分けよう

「卸す」の意味は「問屋が商品を小売業者に売り渡す」であり、「下ろす」は「上から下へおろす」、「降ろす」は「乗り物からおろす・高い所から低い所へ移す」の意味を持つため、同音語でもそれぞれ表す内容は違っています。

「下ろす・降ろす」は紛らわしい使い方もありますが、「卸す」は全く意味が違うため、混同することなく正しい意味で用いることができます。

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