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「貴所」の意味と使い方
まずは「貴所」の意味と使い方からご紹介していきます。貴所の意味は相手の住所を敬うときに使われる尊敬語の一種です。「貴」という漢字は丁寧に「あなた」というときの「貴方(あなた)」にも用いられているように相手を敬うときに使われます。平たく言うと「貴方の所」です。
そして貴方の「貴」という字に場所の「所」をつけて「貴所」とすることで相手の場所を敬うことができます。
使い方に関しては細かく場所別に分けてご紹介していきます。
役所
使い方は会社のことを敬うときに「貴社」と言うときと同じです。会社の「社」ではなく役所なので「所」に変化しているだけだと考えればとても分かりやすいです。
研究所
「貴所」は相手の住所を敬う場合に使われるので貴所を用いることもできますが、一般的には「貴研究所」が使われることが多いです。
官公庁
「○○庁」といろいろな「庁」がありますがこれらを敬って表現する場合は「貴庁」です。また「○○省」のように同じくあらゆる「省」がありますがこれらに敬意を示して表現する場合は「貴省」となります。
市役所や区役所が「所」で終わるため「貴所」でしたが、「○○庁」と庁で終わるものは「貴庁」、「○○省」と「省」で終わるものは「貴省」と表現します。
「貴所」の読み方
あまり見慣れない言葉なので「貴所」という漢字を見るとどのように読むのだろうと疑問に思う方も多いですが、読み方はとてもシンプルです。そのまま「貴所」は「きしょ」と読みます。
敬語には大きく分けて3種類
敬語表現には大きく分けて丁寧語、尊敬語、謙譲語の3つがあります。特に尊敬語と謙譲語はややこしい上、敬う相手が謙譲語と尊敬語では変わってくるので使い方を間違えると失礼な表現になってしまい注意が必要です。
ここでは尊敬語、丁寧語、謙譲語それぞれの役割をご紹介していきます。
尊敬語
たとえば尊敬語の敬語表現の一つである「~なさる」という尊敬語の敬語表現を利用して、「用意する」を尊敬語にするには「用意なさる」と表現することができます。この場合「用意」を実際に行うのは目上の人で、実際に用意をする人である目上の人に対して敬意を払うことができます。
ですので、「貴所」は目上の人の住所に敬意を示す尊敬語となります。
丁寧語
たとえば先ほどの「用意する」を丁寧語にするには丁寧語の語尾「ます」をつけて「用意します」と表現することができます。「用意する」を「用意します」ということで話し相手に対して敬語で丁寧に話をすることができます。
謙譲語
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たとえば謙譲語の敬語表現の一つである「~いたす」という謙譲語の敬語表現を利用して、「用意する」を謙譲語にするには「用意いたす」と表現することができます。この場合「用意」を実際に行うのは自分自身で、実際に用意をする人である自分の行動をへりくだって表現することで目上の人に敬意を払うことができます。
ですので、自分の会社のことをへりくだる表現の「弊社」は謙譲語となります。
「貴所」と「御所」の違い
ですので「貴所」と「御所」は大きく違います。「貴社」と「御社」のような感覚で間違えて「貴所」のことを「御所」と言ってしまうと全く違う場所を指すことになってしまうので注意しましょう。「御所」は天皇やその親族が住む場所です。
「御社」「貴社」「弊社」「当社」の違い
まず簡単にグループ分けをすると「御社」と「貴社」が相手の会社、「弊社」と「当社」が自分の会社のことを指します。では「御社」と「貴社」、「弊社」と「当社」の違いはそれぞれどう違うのでしょうか。
普段よく見聞きする表現ではありますが、なかなか具体的な違いについてまで考えることは少ないのではないでしょうか。ここでは「御社」と「貴社」、「弊社」と「当社」の違いについてご紹介していきます。何気なく使っている表現ですがこれらはそれぞれ少しずつ違いますので使う際には注意してみましょう。
「貴社」と「御社」の違い
まず「貴社」は文書などで書く時に相手の会社のことを敬って表現する敬語表現です。そして「御社」は話をするときに相手の会社のことを敬って表現する敬語表現です。「貴社」と「御社」の違いは書き言葉か話し言葉かの違いです。
「弊社」と「当社」の違い
まず「弊社」は自分の会社の外で自分の会社のことをへりくだって表現する表現です。なので「弊社」が用いられるのは社外です。
例文をあげると「お足元の悪い中、弊社にお越しいただきましてありがとうございました」のように使われます。このように自分の会社の人ではない社外の人がわざわざ自分の会社まで来てくれた場合は社外の人に用いるので「弊社」を使います。
そして「当社」は自分の会社の中で自分の会社について言うときに使われます。よって「当社」が用いられるのは会社の中です。たとえば、上司に自分の会社の強みを生かして○○を始めてみるのはどうでしょうかと提案するような場面で「当社の強みを生かして○○を始めるのはいかがでしょうか」のように使われます。
この場合社内の人である上司に話しているので「当社」が用いられます。
「貴所」と「貴社」の違い
一方で「貴所」は「貴方(あなた)」という表現もあるように、相手(貴方)の住所を敬うときに使われます。また市役所や区役所に対して敬意を示す場合にも使われます。市役所や区役所は会社ではないので「貴社」は使いません。「貴社」の代わりに「貴所」を使います。
「貴所」と「貴課」の違い
「貴課」とは「経理課」など会社の部署を表現するときに「○○課」という形で会社などで使われますが、その「○○課」に対して敬意を示す際に使われる表現です。「○○課」に対して敬意を示しています。
敬語での「貴所」の使い方
「貴所」の敬称
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「貴所」は例文をあげると「私○○株式会社の○○と申します。年代別の図書館利用人数についてのデータを貴所から頂きたいのですが、下記メールアドレスまでお送りいただくことは可能でしょうか」のように使われます。
このように「貴所」という言葉は用いられ「貴所」に「様」などをつけて表現することはありません。そのまま「貴所」です。
また「貴所」という言葉を用いずに「貴市役所」などのように頭に「貴」をつけて用いることもできます。この場合も「貴市役所」の後ろには何もいりません。しかし「○○市役所○○課○○様」などと個人まで指す場合は後ろに「様」や役職などの敬称を入れましょう。
「貴所」は相手の住所や役所を敬う
「貴所」は目上の人の住所を敬って表現する際に使われたり、市役所や区役所に対して敬意を示す際に用いられる表現です。「貴所」自体は頻繁に使う表現ではないですが、他にも場所に対して敬意を示す言葉は今回取り上げてきたようにたくさんあります。
今回は「貴所」について取り上げましたが、貴所も含めさまざまな場所に対して敬意を示す敬語表現がありますので、それぞれの使い方や違いをしっかりと把握し、正しく敬語表現を使えるようにしていきましょう。