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「髪を結う」の意味と使い方・類語・読み方|方言/髪を結ぶ

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「髪を結う」の読み方は?

女性がゴムやリボンなどで髪をまとめる時に「髪を結う」と言います。読み方は「髪(かみ)を結(ゆ)う」と読みます。「結う」には他にも意味があり、また、意味が似ている「結ぶ」という言葉もあります。

今回は、「髪を結う」の意味や使い方、各地域の方言などをご紹介します。「髪」の部首は「髟(かみがしら、かみかんむり)」で、音読みで「ヒョウ」と言い、長い髪が垂れ下がっている様子を表わします。

「結」の部首は「糸(いと、いとへん)」で、音読みでは「シ、ベキ」、訓読みで「イト」と言います。意味は絹糸などの糸、糸のように細く長いもの、糸を張った琴や琵琶などの弦楽器、ほんの少しの量、わずかなことなどを表します。

「髪を結う」の意味と使い方は?

「髪」そのものの音読みは「ハツ、ホツ」、訓読みは「かみ」で、画数は14画、意味は髪、髪の毛、長さを表わす単位、一寸の百分の一、ごく少量の数を表わします。熊本県熊本市に「黒髪(くろかみ)」、長崎県佐世保市に「黒髪町(くろかみちょう)」という地名があります。

「結」の音読みは「ケツ、ケイ、ケチ」、訓読みは「むす(ぶ)、ゆ(う、わえる)、す(く)」といいます。また、新潟県新潟市に「結(むすぶ)」、栃木県那須塩原市に小結(こゆい)」などの地名があります。

「髪を結う」の意味は、髪の形を整えて結ぶことをいいます。使い方の例を挙げると「古風な島田に髪を結う」「少女は桃割れに髪を結っていた」「パーティ用に華やかなアレンジに髪を結う」などです。

「髪を結う」の方言での使い方は?

日本は南北に長く各地域で独特の方言があり、「髪を結う」もさまざまな言い方があります。関東地方から見ていくと、まず東京では、「髪を結ぶ」「髪を結(ゆ)わく」が普段使用されます。また「髪をしばる」や「髪を束ねる」も使います。年配の人は「結う」や「髪を結(ゆ)わえる」の言葉を使います。

同じ地域で暮らしていても、方言は時代と共に移り変わるので、必然的に世代や年代によって使う言葉が異なります。高齢者が使っていた方言も廃れていき、若い人の間では言わなくなることもあります。

神奈川県は「結わく」「結ぶ」、埼玉県では「しばる」「結ぶ」、群馬県では「しばる」で、髪型によって「髪をまとめる」を使います。茨城県は、東北弁のような訛りがあり、「しばる」を使います。「髪うっとうしいから、あだましばれよ(髪をまとめなさい)」などと言います。

北海道の方言

北海道では「髪を結う」を「髪をしばる」と普段よく使う言葉として用いられ、「髪を結ぶ」や「髪を結う」も言います。「髪を結う」は、昔の桃割れや高島田のような日本髪や、パーティーなどでドレスを着るときに合わせて、髪をセットして作ることを意味します。

髪を簡単にゴムなどで結ぶ場合は「髪をしばる」といい、かなり年配の人は「髪を結(ゆ)わえる」や「髪を結(ゆ)わく」と言います。また、「髪をいわく」とも言い、「結わく」から訛った言葉とされています。

東北地域の方言

東北地域では、「髪を結う」は「髪を結(ゆ)わく」「髪を結(ゆ)わいて」といい、山形県では「髪を結う」も用います。また、秋田県は少し独特で「髪をつなぐ」と言います。「お母さん、髪つないで」「髪、つないでやるが(髪を結んであげようか)」などと使います。

宮城県仙台市は、おさげなどの三つ編みは「結う」、馬の尾(しっぽ)に似ていることが由来のポニーテールは「結ぶ」で、これ以外は「髪をまとめる」と言います。また、福島県でも「結わく」「結わえる」ですが、年配者は「髪をゆっつばる」と言います。

関西地域などの方言

京都や大阪、兵庫、三重県などの関西地域は「髪を結う」を「髪をくくる」と言います。「お母さん、髪くくって」「髪くくりなさい」などといいます。たとえば新聞の束をごみ出しでまとめる時などにも紐でくくるといます。

「くくる」は髪を結ぶことで、成人式や結婚式などで着物を着る時に髪をセットする場合には「髪を結う」という解釈し、「髪を結ぶ(くくる)」意味に捉えません。関西地方の人には、「しばる」や「結わえる」という言葉はしっくりしない感じを抱かせます。

反対に東北や関東地方の人が耳にすると、「くくる」はしっくりせず、縁起の悪い言葉や別の意味を連想させます。たとえば「首をくくる」や「腹をくくる」などです。

中部地域の方言

北陸では「髪を結う」や「髪をくくる」と言います。何かを結びつける、くくり付ける時は「結わえる」を使います。愛知県では、「髪を結う」は「髪をしばる」と言います。同じ愛知でも名古屋では、「髪を結う」を「髪をからげる」と言います。また、長野県では愛知県と同じ「髪をしばる」といいます。

中国地域の方言

中国地方は「髪を結う」を「髪をくくる」と言いますが、山口県では「髪をきびる」、岡山県では「髪をうったて」と言います。山口県では、例えば新聞の束をまとめる時にも「きびる」を使います。

九州・四国地域の方言

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福岡県や長崎県などの九州地域では、「髪を結う」を「髪をきびる」と言います。「作業しやすいように、髪の毛の長い人は必ずきびって下さい」「悪いけど、髪きびってくれない」などと言います。

熊本県や大分県などでは、「髪を結う」を「髪をくびる」と言います。「先生に注意されるから、くびっとけ」などと言います。鹿児島県は「髪を結う」は「髪をくくる」あるいは、「髪を結ぶ」と言います。四国地域は関西地方と似ていて、「髪を結う」を「髪をくくる」と言います。

「髪を結う」と「髪を結ぶ」の違いは?

「髪を結う」は、髪を整えてさまざまな髪型を作って結ぶことをいいます。使い方の例を挙げると「源さんは髷をきっちり結う」「若い女性は髪を桃割れに結う」などです。

「髪を結ぶ」は、布や紙、糸などの細長いものを絡めて組んで繋ぐこと、または、その結び目を意味します。使い方の例を挙げると「仕事をする時は髪を結ぶ」「食事の時は邪魔になるので髪を結ぶ」などです。

日本髪の歴史

平安時代ごろからの習慣になっていた「垂髪(すいはつ)、垂れ髪、下げ髪ともいう」は、長い髪を結ったりせずに垂らしたままの髪型で、家事や農作業、その他の作業などに支障がありました。

「髪を結う」習慣は江戸時代からで、合理的に生み出されたのが「日本髪(結髪)」で、日本民族独特の髪型全体をまとめていいます。最初に「髪を結う」ようになったのは歌舞伎役者や遊女などで、やがてその風習が庶民にも広まり、公家や武家社会でも「日本髪」が取り入れるようになりました。

「日本髪」が全国の人々に根付くと、少女か中年女性かなどの年齢、身分、武士か商人かなどの職業、貧富の格差、既婚か独身かなどで、していいとされる髪型は幕府によって取り決められるようになりました。

日本髪の特徴

「日本髪」は、「元結(もとゆい)、髪の根元部分をまとめるために用いる紐」で「前髪」、「びん」、「たぼ」を分けます。それを全てまとめて頭の上部に髷(まげ)をセットアップします。鬢(びん)付け油を付け、簪(かんざし)、櫛(くし)などの色々なヘアーアクセサリーで飾りました。

当時装飾品に使われる素材はとても高級で、簪(かんざし)はさんごや翡翠(ひすい)など、櫛(くし)はべっ甲、「根がけ」は絹紐や緋縮めんなどを使用していました。「びん」とは、頭部の側面両側の髪をいい、「たぼ」とは頭部の後ろに張りだした箇所を表わします。

鬢付け油は、髪がきれいに整った状態を保つために使うもので、菜種油(なたねあぶら)や木蝋(もくろう)、香料などを混合して固く練った油です。

日本髪の髪型

「日本髪」の主な髪型は、「丸まげ、桃割れ、銀杏返し、島田まげ」などがあります。「丸まげ」は結婚している女性が結う髪型で、型をびんの中に入れて丸く形をセットするところから名付けられました。

「桃割れ」は、今の女子高生くらいの年齢の少女がする髪型で、「銀杏返し」の流れを引きます。名前のいわれは、桃の果実にまげの形が類似している所からきています。「銀杏返し」は、江戸時代の末から明治にかけての髪型で、少女の「蝶々まげ」が起源となっています。

明治時代に入って徳川幕府が終わり、西洋文明を受け入れるようになると、「日本髪」は実生活上お金がかかる、重たく活発に動けないなど非合理的と見なされ、洋式の束髪(髪を結んでまとめた女性の髪型で、当時流行った洋風スタイル)が取り入れられて徐々に廃れてゆき、今日に至っています。

「結う」の他の意味

「結う」の意味には、他に布製の細い紐やわらや麻などで作った太い縄紐などで縛ること、結び付けて形作ることをいいます。使い方の例を挙げると「浴衣の帯を結う」「筆を結う(イタチや馬、リスなどの動物の毛を結って日本画用の筆などを作ります)」などです。

「結ぶ」の他の意味

誤解や食い違いなく意思の疎通が密接な交流を意味する「絆を結ぶ」などです。

思想や信条が同じ人が組むことを意味する「国交を結ぶ」などです。

約束を取り交わす「契約を結ぶ」などです。
 
2つの場所をつなぐことを意味する「島と島を結ぶ釣り橋」などです。

まとまって形成されることを意味し、果実や木の実が実る「桃がたわわに結ぶ」、空中の水蒸気が固まる「野薔薇の葉に露が結ぶ」、物事の良い結果で「たゆまぬ努力が実を結ぶ」などです。

小説などの文章を最後にする締めくくり、結びを意味する「物語を結ぶ」などです。

「髪を結う」の類語は?

「髪を結う」の類語はたくさんあります。地域社会や組織団体での結束または、精神的な絆が確かなことなども意味する「結びつける」「繋ぎとめる」「繫(つな)ぐ」「縛り付ける」「結い付ける」「結ぶ」「結(ゆ)わく」などがあります。

結び目を形づくるを意味する「結(ゆ)いつける」「結びつける」「結(ゆ)えつける」「結わえ(付け)る」「結び合わせる」などです。

使い方の例を挙げると「都市部と過疎地を結ぶ取り組み」「彼の気持ちを繋ぎ止めるために尽くしました」「親が子供の人生を縛り付けてはいけない」「ロープで船を繫ぐ」「猫の首に鈴のついた紐を結わえつける」「母親はきれいな色のリボンで少女の髪を結んだ」などです。

「髪を編む」

「編む」は、竹や草などの植物、毛糸、髪の毛などの細くて長いものを組み合わせて形ある物に仕上げることをいいます。使い方の例を挙げると「長い黒髪を三つ編みに編む」「あけびや山ぶどうの蔓を編んで作った籠やバッグ」「竹で編んで作った竹籠製品」「毛糸でセーターを編む」などです。

髪を結うアレンジヘアーでおしゃれを楽しもう

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今回は「髪を結う」の意味や使い方、「髪を結ぶ」との違い、日本各地の方言などをご紹介しました。昔はヘアースタイルが自由ではなく、身分階級や年齢などによって厳しく決められていました。にもかかわらず、髪に飾るアクセサリー類は高級素材で、美意識の高さが感じられます。

指輪やネックレスなどを身に付ける習慣がなかった分、髪を宝石類などで飾り付けたのでしょう。現代は誰もが自由にさまざまな髪型を「結う」ことができ、多くのヘアースタイルがあるので、「髪を結う」色々なアレンジをしておしゃれを楽しみましょう。

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