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「髪を結う」の読み方は?
今回は、「髪を結う」の意味や使い方、各地域の方言などをご紹介します。「髪」の部首は「髟(かみがしら、かみかんむり)」で、音読みで「ヒョウ」と言い、長い髪が垂れ下がっている様子を表わします。
「結」の部首は「糸(いと、いとへん)」で、音読みでは「シ、ベキ」、訓読みで「イト」と言います。意味は絹糸などの糸、糸のように細く長いもの、糸を張った琴や琵琶などの弦楽器、ほんの少しの量、わずかなことなどを表します。
「髪を結う」の意味と使い方は?
「結」の音読みは「ケツ、ケイ、ケチ」、訓読みは「むす(ぶ)、ゆ(う、わえる)、す(く)」といいます。また、新潟県新潟市に「結(むすぶ)」、栃木県那須塩原市に小結(こゆい)」などの地名があります。
「髪を結う」の意味は、髪の形を整えて結ぶことをいいます。使い方の例を挙げると「古風な島田に髪を結う」「少女は桃割れに髪を結っていた」「パーティ用に華やかなアレンジに髪を結う」などです。
「髪を結う」の方言での使い方は?
同じ地域で暮らしていても、方言は時代と共に移り変わるので、必然的に世代や年代によって使う言葉が異なります。高齢者が使っていた方言も廃れていき、若い人の間では言わなくなることもあります。
神奈川県は「結わく」「結ぶ」、埼玉県では「しばる」「結ぶ」、群馬県では「しばる」で、髪型によって「髪をまとめる」を使います。茨城県は、東北弁のような訛りがあり、「しばる」を使います。「髪うっとうしいから、あだましばれよ(髪をまとめなさい)」などと言います。
北海道の方言
髪を簡単にゴムなどで結ぶ場合は「髪をしばる」といい、かなり年配の人は「髪を結(ゆ)わえる」や「髪を結(ゆ)わく」と言います。また、「髪をいわく」とも言い、「結わく」から訛った言葉とされています。
東北地域の方言
宮城県仙台市は、おさげなどの三つ編みは「結う」、馬の尾(しっぽ)に似ていることが由来のポニーテールは「結ぶ」で、これ以外は「髪をまとめる」と言います。また、福島県でも「結わく」「結わえる」ですが、年配者は「髪をゆっつばる」と言います。
関西地域などの方言
「くくる」は髪を結ぶことで、成人式や結婚式などで着物を着る時に髪をセットする場合には「髪を結う」という解釈し、「髪を結ぶ(くくる)」意味に捉えません。関西地方の人には、「しばる」や「結わえる」という言葉はしっくりしない感じを抱かせます。
反対に東北や関東地方の人が耳にすると、「くくる」はしっくりせず、縁起の悪い言葉や別の意味を連想させます。たとえば「首をくくる」や「腹をくくる」などです。
中部地域の方言
中国地域の方言
九州・四国地域の方言
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熊本県や大分県などでは、「髪を結う」を「髪をくびる」と言います。「先生に注意されるから、くびっとけ」などと言います。鹿児島県は「髪を結う」は「髪をくくる」あるいは、「髪を結ぶ」と言います。四国地域は関西地方と似ていて、「髪を結う」を「髪をくくる」と言います。
「髪を結う」と「髪を結ぶ」の違いは?
「髪を結ぶ」は、布や紙、糸などの細長いものを絡めて組んで繋ぐこと、または、その結び目を意味します。使い方の例を挙げると「仕事をする時は髪を結ぶ」「食事の時は邪魔になるので髪を結ぶ」などです。
日本髪の歴史
「髪を結う」習慣は江戸時代からで、合理的に生み出されたのが「日本髪(結髪)」で、日本民族独特の髪型全体をまとめていいます。最初に「髪を結う」ようになったのは歌舞伎役者や遊女などで、やがてその風習が庶民にも広まり、公家や武家社会でも「日本髪」が取り入れるようになりました。
「日本髪」が全国の人々に根付くと、少女か中年女性かなどの年齢、身分、武士か商人かなどの職業、貧富の格差、既婚か独身かなどで、していいとされる髪型は幕府によって取り決められるようになりました。
日本髪の特徴
当時装飾品に使われる素材はとても高級で、簪(かんざし)はさんごや翡翠(ひすい)など、櫛(くし)はべっ甲、「根がけ」は絹紐や緋縮めんなどを使用していました。「びん」とは、頭部の側面両側の髪をいい、「たぼ」とは頭部の後ろに張りだした箇所を表わします。
鬢付け油は、髪がきれいに整った状態を保つために使うもので、菜種油(なたねあぶら)や木蝋(もくろう)、香料などを混合して固く練った油です。
日本髪の髪型
「桃割れ」は、今の女子高生くらいの年齢の少女がする髪型で、「銀杏返し」の流れを引きます。名前のいわれは、桃の果実にまげの形が類似している所からきています。「銀杏返し」は、江戸時代の末から明治にかけての髪型で、少女の「蝶々まげ」が起源となっています。
明治時代に入って徳川幕府が終わり、西洋文明を受け入れるようになると、「日本髪」は実生活上お金がかかる、重たく活発に動けないなど非合理的と見なされ、洋式の束髪(髪を結んでまとめた女性の髪型で、当時流行った洋風スタイル)が取り入れられて徐々に廃れてゆき、今日に至っています。
「結う」の他の意味
「結ぶ」の他の意味
思想や信条が同じ人が組むことを意味する「国交を結ぶ」などです。
約束を取り交わす「契約を結ぶ」などです。
2つの場所をつなぐことを意味する「島と島を結ぶ釣り橋」などです。
まとまって形成されることを意味し、果実や木の実が実る「桃がたわわに結ぶ」、空中の水蒸気が固まる「野薔薇の葉に露が結ぶ」、物事の良い結果で「たゆまぬ努力が実を結ぶ」などです。
小説などの文章を最後にする締めくくり、結びを意味する「物語を結ぶ」などです。
「髪を結う」の類語は?
結び目を形づくるを意味する「結(ゆ)いつける」「結びつける」「結(ゆ)えつける」「結わえ(付け)る」「結び合わせる」などです。
使い方の例を挙げると「都市部と過疎地を結ぶ取り組み」「彼の気持ちを繋ぎ止めるために尽くしました」「親が子供の人生を縛り付けてはいけない」「ロープで船を繫ぐ」「猫の首に鈴のついた紐を結わえつける」「母親はきれいな色のリボンで少女の髪を結んだ」などです。
「髪を編む」
髪を結うアレンジヘアーでおしゃれを楽しもう
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指輪やネックレスなどを身に付ける習慣がなかった分、髪を宝石類などで飾り付けたのでしょう。現代は誰もが自由にさまざまな髪型を「結う」ことができ、多くのヘアースタイルがあるので、「髪を結う」色々なアレンジをしておしゃれを楽しみましょう。