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2018年01月06日

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

「いたす」という言葉は、ビジネスシーンでは必ず使う言葉です。しかしその言葉の意味を説明しろと言われると、困ってしまう人もいるでしょう。この記事では「いたす」の正しい意味や使い方を紹介しています。正しい意味を理解して、「いたす」を使いこなしましょう。

「いたす」の意味と使い方

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

「いたす」は一般的には「する」の丁寧な言い方や、へりくだった言い方に使います。しかし、時代劇などには目上の人が、目下の人に対して尊大な言い方をする時に使ったりもします。

また、「いたす」の意味は「する」ですが、その「する」の中でも「全力でする」という意味で使う場合と、「あまりよくないことをする」という意味で使う場合があります。

さらには、ひらがなの「いたす」と漢字の「致す」にも、明確な使い分けがあります。ビジネスシーンではよく使われる言葉ですので、正しい意味を知る事によって、より効果的に「いたす」を使ってみましょう。

漢字の「致す」は動詞

「いたす」を漢字で書くと「致す」ですが、これは動詞です。「届ける」「至らせる」「及ぼす」「引き寄せる」「仕向ける」といった意味になります。

例えば「私の不徳の致すところです」「努力を致す所存です」と言うように使います。逆に「私の不徳のいたすところです」「努力をいたす所存です」とひらがなで書いてしまうと、違和感のある文章となってしまいますので、注意が必要です。

ひらがな

一方、ひらがなの「いたす」は助動詞となります。助動詞とは、「笑われる」の「れる」や「笑わない」の「ない」など、動詞につける事によって意味を付け足す言葉です。

とは言っても、ビジネスメールなどを打つ時に、漢字とひらがなを使い分けるために、「これは動詞だから漢字」「これは助動詞だからひらがな」といちいち調べるわけにもいきません。そんな時には文章の「いたす」を「する」に変換して意味が繋がるかを確かめてください。変換できれば、助動詞なのでひらがなです。

例えば「不徳のイタスところ」を変換してしまうと、「不徳のスルところです」で意味がとおりません。よってこれは漢字で「不徳の致すところ」とわかります。

そして「ご指示どおりにイタシマス」を変換すると「ご指示どおりにシマス」になるので、これはひらがなで「ご指示どおりにいたします」で大丈夫だとわかります。

「いたす」を使った例文・活用

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

不徳の致すところ

「不徳の致すところ」の「不徳」とは、社会性や品性が身についていない事や人の道に反してしまった事を言います。ビジネスシーンでは自分のせいで引き起こしてしまった失敗や不都合を、謝罪するために使います。

同じ意味で「不明の致すところ」という言葉もあります。

思いを致す

「思いを致す」は、時間的・距離的に遠く離れた物事に、強く心を向ける様子を言います。「故郷に思いを致しております」「先人の努力に改めて思いを致す」などの用法があります。

力を致す

「力を致す」は、全力で行う事を指しますが、現在はあまり使われません。戦前の文学にはよく使われていた表現です。「主君のために力を致す」「発展のために力を致す」というように使います。

危うきを見て命を致す

「危うきを見て命を致す」は元々は南北朝時代を描いた古典文学である太平記に出てくる一文から取られた「ことわざ」です。国家の危機に対して命を投げ出して忠義を尽くす事を言います。

現在の日本では国や会社のために、自分の命や生活を投げ出す人は少ないでしょうから、あまり使われない言葉です。ビジネスメールで使ってしまうと、相手にいろいろと心配させてしまうでしょう。

仕を致す

「仕(し)を致す」は官職を辞任して隠居する事を言い、「致仕」とも言います。また中国では70歳になると致仕できるようになったため、70歳を表す言葉でもあります。

古代の歴史的な史料に見られる言葉で、現在、日常的に使われる事はありません。しかし、もしも役職を持っている人が退職して隠居する時に、挨拶の言葉として使うと、歴史好きの人にはわかってもらえるでしょう。

死を致す

「死(し)を致す」は、他人を死に追いやる、つまり殺す事を言います。戦前の文学ではよく使われた表現ですが、現在の日常では使われません。しかし「致死」なら、薬などの「致死量」で目にする事もあるでしょう。

信を致す

「信(しん)を致す」は、深く信仰して祈る事です。これも古典文学にはよく出てくる言葉ですが、現在ではあまり使われません。

蒼蠅驥尾に付して千里を致す

「蒼蠅(そうよう)驥尾(きび)に付(ふ)して千里を致す」は古いことわざです。蒼蠅は「あおばえ」とも言い、ハエの一種です。

驥は1日に千里も走る名馬の事で、「蒼蠅は遠くまで飛ぶことはできないが、名馬の尻尾にくっ付いていれば、千里を走る事ができる」という意味で、「つまらない人物でも偉い人にこびへつらう事で出世できる」というたとえです。

「いたす」の同義語や類義語

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

為す

「為す(なす)」という言葉には、いたすと同じように「する」という意味があります。主に慣用句的に使われる、固い言い回しです。「一人の力ではなしえない」「なすがまま」というように使います。

おこなう

「おこなう」も、いたすと同じ「する」という意味です。おこなうを漢字で書くと「行う」と「行なう」の二通りありますが、これはどちらで書いても構いません。

教科書には「行う」と書かれていますし、ビジネスシーンでも「行う」と書くのが標準です。しかし「行った」という場合は「いった」「おこなった」とどっちでも読めるため「行なった」と送り仮名をふると分かりやすいです。

やる

「やる」という言葉はさまざまな使われ方をしますが、その中に、いたすと同じ「する」という意味も含まれます。「やる」という言葉は「漠然と何かをする」事を指します。

「掃除をやる(行う)」「舞台でロミオをやる(演じる)」「居酒屋をやる(経営する)」というように使います。また「やる」という言葉にも、失敗するという意味もあります。

このように、「やる」は主に日常会話に使われる言葉なので、「いたす」のようにビジネスシーンで使われる事はありません。

つかまつる

「つかまつる」は、「いたす」と同じく「する」をへりくだった言葉です。現在では古風で堅苦しい言い回しなので、「いたす」より使用する頻度は少ないでしょう。

「いたす」の正しい敬語表現

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

「いたす」は謙譲語

「いたす」は謙譲語です。自分や自社に使う場合は大丈夫ですが、他人の行動に「いたす」を使う事は禁物です。

例えばレストランなどで注文をするとき「○○様は、どちらにいたしますか」と尋ねる事は、やってしまいがちな人も多いでしょうが、これは間違った使い方です。

自分がメニューを決める時は「私は○○にいたします」と使いますが、この場合はメニューを選ぶのは相手なので、「○○様は、どちらになさいますか」が正しい使い方です。

敬語は「なさる」か「される」

「いたす」は「する」の謙譲語ですが、「する」の敬語表現は「なさる」か「される」です。どちらも敬語として間違ってはいませんが、「なさる」の方がより敬意があるとされています。

自分と近い上司に対してなら「される」でも構いませんが、ずっと目上の人物や顧客に対しては必ず「なさる」を使います。迷った場合は、「なさる」を使うようにしましょう。

「いたす」と「いただく」の違い

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

「いたす」の方がスッキリした表現

ビジネスシーンにおいて「いたす」と同じくらい使用されている言葉が「いただく」です。どちらも謙譲語ですが、さらに新人を混乱させているのが「させていただく」という表現です。

「いたします」と「させていただきます」では、「させていただく」の方がへりくだっているようなニュアンスを感じて、とりあえず何でもかんでも「させていただく」を使ってしまい、「させていただく症候群」と揶揄される事もあります。

しかし、「いたす」と「させていただく」には明確な使い分けがあります。「させていただく」を多用している人は、一旦落ち着いて、語尾を「いたします」に直しておきましょう。

許可を得る必要がある時には「いただく」

「いただく」は、「(自分が)貰う」の謙譲語です。なので「させていただく」は、「自分が相手に、それをする許可をもらう」時に使います。

例えば、「ご一緒させていただきます」や「(身分証などを)コピーさせていただきます」などは相手の許可が必要なので正しい使い方です。しかし「ご連絡させていただきます」や「ご説明させていただきます」などは、許可は必要ありません。むしろ必ずしなくてはいけない事なので「ご連絡いたします」や「ご説明いたします」が正しい使い方です。

「いたす」と「いたる」の違い

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

「致す」は「至らせる」

「致す」というは、元々「いたらせる」という意味でした。「する」の謙譲語として用いられるようになったのは中世以降です。

至る

「至る」は、「到達する」や「行き届く」などを意味する言葉です。「頂上に至る」「京都から東京に至る」などと使います。

「致す」は「届くようにする」「到達するようにする」という、まだそこに到達はしていないけれど、到達するようにする努力を見せるという、とても謙虚な言葉です。

謙虚にいたしましょう

「いたす」の意味と使い方・例文・正しい敬語表現・類語

いたすという言葉は、ビジネスシーンでは欠かす事ができない謙譲語です。その言葉の意味を紐解いてみると、非常に謙虚な言葉で、まさしく謙譲語の中の謙譲語と言っても過言はありません。

「いたす」「いたします」を使うとき、その言葉の謙虚な意味を思い出すと、自然と心構えが見についてくるでしょう。

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