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「なるべく早く」の敬語表現
仮にあなたが上司だとします。部下から「この件の対応ですが、なるべく早くお願いします」と言われたら、どのように感じますか。おそらく、あまり良い気分にはならないという人も多いのではないでしょうか。
目下の人から上司など目上の人に対して「なるべく早く」という表現は適切ではありません。では、目上の人や上司に対して「なるべく早く」対応してほしい場合、どのように伝えるのが正しいのでしょうか。
「なるべく早く」には敬語はない?
「なるべく早く」を失礼のない内容で伝える方法とは?
言葉を分解し、失礼のない言葉に置き換える
はじめに、「なるべく早く」という言葉を「なるべく」と「早く」という2つの言葉に分解します。「なるべく」には、可能なかぎり、できるだけといった意味があります。「なるべく」という言葉を可能なかぎりという言葉に置き換えてみましょう。
「早く」は、急いでという意味があるため、目上の人や取引先に対して急がせるような言葉は、相手に不快感を与えてしまう可能性があります。このような場合は、クッション言葉を利用しましょう。
「クッション言葉」とは?
いきなりお願いされると不快感を感じてしまう人もいますので、お願いや依頼をする場合は、このような「クッション言葉」をうまく利用してみましょう。
「なるべく早く」のような場合も、クッション言葉を利用することで、相手に失礼のない言葉に変えることができるので、おすすめです。
クッション言葉をうまく利用して柔らかい印象の言葉と組み合わせる
たとえば、なるべく早く回答がほしい場合は、「お忙しいところ大変恐縮ですが、できる限りでかまいませんので早めのご回答をお願いします」といった形に変えてみましょう。
「クッション言葉」を入れることで、急がせるという意味を柔らかい表現に変えることができますし、「できる限りでかまわない」という言葉を付け加えることで、強制的な印象からお願いする形の印象に変えることができます。
「なるべく早く」の敬語での使い方
なるべく早くしてほしいが、不快感を与えないようにしなければならないため、言葉選びが難しいと考えてしまう人もいるでしょう。そのような場合は、「○月○日が締め切りのため」のように理由や期限があるという内容を伝える方法がおすすめです。
前にご紹介したクッション言葉と理由や期限があるということを伝えることで、相手に不快感を与えずに、なるべく早くしてほしい、急いでほしいということを伝えるようにしてみましょう。
敬語の種類
前の項目でも少しご紹介しましたが、敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つの種類があります。相手の行動について敬語にする場合は、「尊敬語」を使います。自分の行動をへりくだった表現にする場合は「謙譲語」を使います。
「会う」「行く」といった言葉を「会いました」「行きます」といったように「~しました」「~です」のように丁寧な言葉にすることを「丁寧語」といいます。「です」「ます」といった表現も丁寧語になります。
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使い方
また敬語には「尊敬語」や「謙譲語」だけではなく、「ご依頼」「お花」のように「お」や「ご」などを言葉の前につけたり、「~いただく」のような言葉を使うことで丁寧語にする場合があります。
敬語は、1つの文章に2つ以上の敬語を重ねて使うことはあまり良くないとされており、このような使い方のことを二重敬語といいます。相手に失礼ない言葉にしようとして、丁寧にしようとし過ぎてしまいますと、表現がくどくなり内容がわかりにくくなってしまうことがあります。
失礼な表現を使わないことはもちろん大切なことですが、あまりくどい言い回しは逆に印象が悪くなってしまうこともありますので、注意しましょう。
メールでの使い方
「ご多忙中のところ大変申し訳ございませんが、早急にご返信くださいようお願いいたします」といった表現や「(会場準備の都合により)恐縮ですが早めにご連絡いただけますと幸いです」といった使い方がおすすめです。
このようにクッション言葉を利用したり、急いでいる理由を入れることで、相手に不快感を与えず、なるべく早くというニュアンスを伝えることができます。また、「~いただけますと幸いです」という言い回しもビジネスでは良くと使われていますので、覚えておくと便利な言葉です。
ビジネスでの使い方
「なるべく早くお願いできますでしょうか」という内容ですと、相手になるべく早くやってほしいという印象があります。なるべく早くやってほしいということを伝えるのですが、このような言い方に変更すると、仕事の優先順位を相手に決めてもらうことができます。
【例文】
「こちらの件ですが、優先して進めていただくことは可能でしょうか」
優先してほしいという言葉を入れることで、なるべく早く対応してほしいということを伝えることができますし、なるべく早く対応できるかどうかの判断を相手に確認することができます。
どうしてもお願いしたい内容について優先が不可能と言われた場合は、前の項目でご紹介したクッション言葉や言い換えの言葉を利用して「なるべく早く」お願いしたいということを伝えると良いでしょう。
「なるべく早く」を敬語表現するときの例文
「なるべく」という言葉にはいくつかの類語があります。類語を使って「なるべく早く」という言葉を敬語表現に変える方法をご紹介します。
できるだけ
【例文】
・お忙しいところ大変恐縮ですが、できるだけ早めの回答をお願いいたします。
・○月○日が締め切りとなっておりますので、できるだけ早めのお申し込みをおすすめします。
・お忙しいところ大変申し訳ございませんが、できるだけ早めの対応をお願いすることは可能でしょうか。
できるかぎり
【例文】
・できるかぎりでかまいませんので、早めのご対応をお願いいたします。
・できるかぎりでかまいませんので、早めのご対応をいただけますと幸いです。
仕事の納期はゆとりをもって計画する
自分の仕事であれば、自分の都合で仕事の計画を立てることができますが、相手に何かを依頼しなければならない場合、相手の人にも仕事の計画があります。急ぎで仕事を依頼するということは、その分相手の人に負担をかけることになります。
「なるべく早く」仕事をお願いしなければいけない場面は、数多くありますが、可能な限り「なるべく早く」という状況を作らないことも大切です。
相手の都合も考慮した表現を心がける
そのため「なるべく早く」という言葉を使うときは、相手の都合を考慮した敬語表現にすることを心がける必要があります。他の人に何かをお願いするときは、できる限りゆとりのある状態で依頼するのがベストなのですが、どうしても急ぎで依頼しなければならない場合は、相手の都合を考慮した敬語表現を心がけるようにしましょう。