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「もしかして『じゃん』って方言なのかな?」
「『じゃん』ってそもそも方言なの?」
このような疑問や興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そもそも「じゃん」が方言なのか、地域別でどのような使い方や意味になるのか、日本語における方言の種類はどういったものがあるのか、などをご紹介します。
本記事を通じて、「じゃん」という言葉の成り立ちや、使う人の住んでいる地域による違いなどについて理解を深めることができるでしょう。
もっと正しく日本語を理解し、コミュニケーションを円滑に進めたい方は是非この記事をチェックしてみてください。
「じゃん」は方言といえるのか?
「頑張ってるじゃん」「いいじゃん」「やるじゃん」のような使い方をしますね。
では、「じゃん」はそもそもどういう意味を持つ言葉なのでしょうか?
次に、「じゃん」の意味についてご紹介します。
方言「じゃん」の持つ意味
そうした「じゃん」が持つ本来の意味合いから、別の物事や表現に派生する形で、「○○だからこちらが正しいでしょう」や「そういうことだから○○になるでしょう」といった、コミュニケーションとしての機能が持たされる場合があります。
「じゃん」の発祥地とされる山梨県でも、この上記の「じゃん」が持つ意味合いや活用法は同じで、「○○でしょう」や「○○じゃないか」、また「○○ではなく、△△でしょう」という表現が省略されて「じゃん」という言い回しが方言として落ち着いたことがうかがえます。
「じゃん」の語源
「そうじゃ、あんか」は、「そんなことがあるのか、そうなのか」を意味する言葉で、そこから「じゃん」に転化したものと考えられています。
そして、「じゃん」という言葉が初めに使われたのは、山梨県の甲府地方とされています。
明治時代初期に、甲府地方とその周辺の方言を一覧にした文献の中に「じゃん」という表記があり、それは神奈川県や横浜市、また中部地方・信州地方で「じゃん」が方言として使われる以前の記録とされています。
この山梨県甲府市から主に貿易や商売を経て、「じゃん」という方言は人々の交流から広く伝わったとされ、その延長で当時貿易が盛んだった神奈川県・横浜市をはじめ愛知県全域まで、さらには長野県や静岡県の方言としても落ち着きました。
横浜が発祥の地ではない
「じゃん」という方言がいつ頃から使われ始めたのか、それをはっきり示せる正確な資料は現代において認められませんが、現存する「日本全域の方言にまつわる各文献や資料」から推測すると、主に信州地方がその発祥とされ、さらにピンポイントの地方としては山梨県甲府市がピックアップされています。
横浜で「じゃん」の使用が盛んに認められるようになるのは1926年以降であると言われています。
国立国語研究所の客員教授によると、横浜の発展とともに「じゃん」が流入したものとされており、戦前にはすでに横浜で使われていたそうです。
したがって、横浜は「じゃん」の発祥の地ではないと言えます。
方言「じゃん」の語形に見る使い方
「じゃん」は、元々は「ではないか」という標準語が話し言葉として変形したものと考えられています。
「ではないか」の「では」は元は「それでは」であり、「それでは」が「それじゃ」になるように「じゃ」に、「ない」は「行かない」が「行かん」になるように「ん」になり、「か」は脱落してなくなったとされます。
つまり、「じゃん」は、「では・ない」という言葉の語形変化によって成立した言葉であり、「ではないか」という意味を持つ言葉であると言えます。
【地域別】方言「じゃん」の使い方
ここでは、「じゃん」の地域別の使い方をご紹介します。
横浜における方言「じゃん」
もともと、神奈川県の方言には「じゃんか」という言い方で「じゃん」の言い回しがありました。
しかし、この「じゃん」や「じゃんか」という方言が使われるようになったのは比較的新しく、昭和初期頃から使われるようになったものとされています。
静岡における方言「じゃん」
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語尾に「じゃん」をつけて確認のために使うため、東京などでみられる使い方に近いですね。
ちなみに、同じような意味の静岡の方言では「だら」「ら」があり、ともに「○○だろう」「○○だよね」を意味します。
愛知における方言「じゃん」
ちなみに、愛知県三河地方(岡崎市付近)は「じゃん」の発祥地とされ、代表的な三河弁には「じゃん」のほかに「だら」「りん」があります。
なお、同じ愛知でも尾張地方(名古屋周辺)では異なる使い方になります。たとえば、「風が強いじゃんね」というと「風が強いからね」という意味で、理由を説明するときに使います。
山梨における方言「じゃん」
地理的には、山梨は富士山を挟んで静岡と向かい合っていますが、「じゃん」の使い方も静岡と同じような意味で使われているようです。
島根における方言「じゃん」
そのため、ここまでに見てきたような語尾につく使い方ではなく、副詞として文中に登場します。
東京における方言「じゃん」
したがって、横浜の方言に近い意味で使われると言えます。
方言「じゃん」の使用例
たとえば、標準語では、「あの犬かわいいじゃん」「あいつ足早いじゃん」のように、確認の意味合いで使います。
これに対し、「じゃん」の起源とされる愛知県三河地方では、「この前ナゴヤドームに野球を観に行ったじゃんね」という言い回しで「この前ナゴヤドームに野球を観に行ったんだよ」という意味を表します。
また、名古屋付近では、「雨が降ってきたじゃんね、走って帰ったんだがね」という表現で、「雨が降ってきたから、走って帰ったんだよ」という意味になります。
ちなみに、山梨や静岡では、「昨日メールを送ったじゃんか」で「昨日メールを送ったよね」という使い方をします。
したがって、方言「じゃん」は地域によって意味が若干変わり、使い方もさまざまであると言えます。
日本語における方言の種類
ここでは、「第三の言語」「浜言葉」「特殊な方言」についてご紹介します。
第三の言葉
山窩が使用していたとされる暗号を連想させる「サンカ語」や、山奥で狩猟を行なっていた者たちが常用語としていた「マタギ語」、外国との貿易のさなかで常用されていた言葉に見られた「ピジン言語」を発祥とする「小笠原語」、さらには岩手県気仙地方で聞かれた独立言語とされる「ケセン語」など、一般的にほとんど知られていない方言が認められます。
こうした「第3の言葉」なども人種間や特定の分野における方言として分類されるため、「じゃん」という表現がもしこの特定の分野の方言に使われていた場合、「じゃん」という方言の詳細な発祥地は益々もってわからなくなってしまいます。
浜言葉
青森県八戸市沿岸をはじめ、岩手県三陸海岸、宮城県の女川町、神奈川県相模湾沿い(三浦三崎~湯河原)、千葉県の外房地方、九十九里浜、静岡県駿河湾沿い、愛知県三河地方の沿岸部、和歌山県、大阪府泉州、北海道 、兵庫県播州など各地に浜言葉と呼ばれる言葉、方言がみられます。
その特徴としては「荒っぽい口調」や「気っ風(きっぷう)のよい言葉」として知られ、地方独特の流暢な言い回しによる方言に見られています。
特殊な方言
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「キツい」、「しょうゆ顔」、「ソース顔」などといった「流行語に見間違われるほどの言葉や言い回し」も、この「若者言葉」のうちから発生した言葉であり、たとえば「じゃん」という方言も、こうした特定の若者の間で展開されて流行し、そのまま地方の方言として根付いたという見方も考えられます。
「じゃん」の使い方を理解して適切な場面で使おう
「じゃん」という方言がいつ頃から使われ始めたのか、それをはっきり示せる正確な資料は現代において認められませんが、現存する「日本全域の方言にまつわる各文献や資料」から推測すると、主に信州地方がその発祥とされ、さらにピンポイントの地方としては山梨県甲府市がピックアップされています。
しかし現代では、いろいろな地域・地方でこの「じゃん」という言葉が使われており、先でご紹介したように「方言は人々の交流によって伝わっていく」という、リアルタイムで言葉が伝わることを目の当たりにさせられます。
したがって、現代に見られる各地方の方言の成り立ちを正しく理解し、日本人だからこそ「日本語を正しく使うこと」を意識しましょう。