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「かます」の意味と由来|4地域の方言での使い方・ぶちかます

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「かます」とは

映画やドラマ、あるいはバラエティ番組などを見ていると、「かます」という言葉を耳にすることがあります。

しかし、この言葉の正確な意味を正確に把握している人はどれだけいるでしょうか。あなたは大丈夫ですか。ここでは「かます」について、改めて説明していきます。

ちなみに、ここで言う「かます」とは、魚の「カマス」や、「猿ぐつわをかます」で用いられる「かます」は除外します。

「かます」の漢字表記

「かます」は、地方によって意味がまったく異なります。当然、意味によって漢字も違ってきます。私たちが一般的に使うのは、標準語での「かます」の場合が大部分でしょう。

例えば、よく使う表現、「ハッタリをかます」なら、漢字は「嚙ます」となりますし、東北地方での意味からあえて漢字にすると「掻ます」になるでしょう。

いずれにしても、「かます」を漢字表記することはほとんどなく、「かます」とひらがなで表現します。

「かます」の意味

「かます」の意味は、地方によって、3つのパターンに分けられます。ひとつは「かきまぜる」「かきまわす」の意で、北海道・東北地方で使われる際の意味合いです。

関西地方では、「打撃を与える」という意味で使われます。相手にツッコミを入れるときなどにも「かます」といった表現をします。

一方、標準語としての「かます」は、「ハッタリをかます」からもわかるように、「言う」「する」などの意味を持っています。

「かます」の由来/方言

「かます」は地方ごとにそれぞれの意味がありますから、由来も地方によって異なります。ここでは北海道・東北地方での由来について説明します。

この地方での「かます」は「かきまわす」「かき混ぜる」の意味を持ちますが、前者の言葉が短縮されて「かます」になったとされています。

「訛っている」というより、北国の方言は短縮された単語が多く、この言葉もその一例です。

「かます」の使い方

「かます」は地方によって意味が異なることは、すでに触れました。意味が違えば、使うシチュエーションも当然、異なります。

東北、北海道、関西、そして標準語と、地方ごとに持つ意味にふさわしい「かます」の使い方を紹介していきましょう。

1.東北地方

青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島の6つの県をまとめて東北地方と呼ばれます。これらの県における「かます」は、具体的にはどんなシーンで、どのように使うのでしょうか。

「かき混ぜる」の意味での使い方

ひと口に東北地方と言っても、それぞれの県には、それぞれの特徴があり、習慣も言葉も微妙に違っています。東北地方は広いですから、当たり前と言えば当たり前です。

ただ、「かます」に関しては、東北地方特有の共通語と言えるでしょう。いずれの県でも「かき混ぜる」「かきまわす」の意味を持っています。もちろん、使うシーンも同じです。

例文「しっかりかましなさい」

「かます」はいろいろなところで使われますが、東北地方の場合、特に多いのは、料理でのシーンではないでしょうか。

例えば、小麦粉や卵、バターなどの食材をボウルに入れてかき混ぜるとき、誰かが別の人のおぼつかない手つきを見て、「しっかりかましなさい」と言うときは、「しっかり混ぜようよ」という意味です。

「甘酒よくかまして飲まんね」(甘酒をよくかきまわして飲みなさい)と言う表現をすることもあります。

2.北海道

北海道は地理的には東北地方と非常に近く、言葉もまた東北弁に近いと言われていますが、札幌などでは標準語を使う傾向が強いとされています。

そんな北海道での「かます」は、どう使われているのでしょうか。

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東北地方と同じ

前にも触れたように、北海道での「かます」の意味は、東北地方とまったく同じです。したがって、使うシチュエーションも東北地方と変わりません。

「しっかりかますことがポイント」などいうように、調理の際、材料を混ぜたりするときに用います。

北海道でも東北地方でも、「かます」は一般的な言葉です。ただ、実際に使うのは上の世代の人が多く、若い世代は「かきまわす」を使うことのほうが多いと言われています。

3.関西地方

関西地方では、テンポのいい関西弁に乗せて、日常的に「かます」が会話の中に登場します。上方お笑い芸人のトークでも頻繁に出てきますから、なんとく意味を知っている人は多いでしょう。

念のために言っておくと、関西地方での「かます」は、北海道や東北地方とまったく違う意味を持っています。

会話の中に「かます」が出てきたとき、東北地方での意味と受け取って聞いてしまうと、話が噛み合わなくなりますから、注意しましょう。

「くわせる」「やっつける」の意味での使い方

関西地方で使われる「かます」は、「くわせる」「やっつける」の意味を持っています。「くわせる」は、「飯を食わせる」といった意味ではもちろんなく、「だます」「ごまかす」「引っ掛ける」という意味です。

関西弁で「かます」を使うとすれば、「かましてやった」「かまされた」などの表現をしますが、前者なら「やっつけてやった」「引っ掛けてやった」、後者なら「だまされた」「いっぱいくわされた」と言った意味合いです。

例文「一発かましたれ」

関西弁で言う「一発かましたれ」は、いろいろなシーンで使われます。例えば、かなり本気で「あいつをやっつけてやれ」という場合にも使います。

軽いノリで「ぎゃふんと言わせてやろう」というようなときにも「かます」の表現が用いられます。

この「ぎゃふんと言わせる」も、関西人特有の「ツッコミ」でぎゃふんと言わせるのか、言葉で相手を打ち負かすのか、体力で勝負するのか、など、多くのシチュエーションが考えられます。

4.標準語での「かます」の使い方

方言として使われるだけでなく、「かます」は標準語でもよく使われます。

標準語では、基本的には「言う」「する」の意味を持ちますが、接頭語をつけて使うこともあり、この場合は意味が微妙に違ってきます。

ただ、どんな意味にしろ、フォーマルな場では使いません。無礼講のときは例外ですが、基本的には、目上の人との会話で使う言葉ではないと心得ておくのが正解です。

「かます」は非常にカジュアルなシーンで使う言葉です。

「言う」「する」という意味での使い方

標準語における「かます」には、「言う」「する」の意味があることは既述しました。ただ、例えば「お礼を言う」ときに「お礼をかます」、「お辞儀をする」ときに「お辞儀をかます」などとは言いません。

標準語の「かます」は、こちらから何かを仕掛ける、衝撃を与える、といったニュアンスを含んだうえでの「言う」「する」の意味を持っています。仕掛ける、衝撃を与えるというニュアンスは関西弁での「かます」も同様です。

例文「ハッタリをかます」

自分を大きく見せたり、相手を威圧するために、大げさなことを言ったり、強気な態度を取ったりすることを「ハッタリ」と言います。

「ハッタリを言う」の表現でも十分に通用しますが、「ハッタリをかます」のほうが「ハッタリ感」が増し、相手により衝撃を当てられそうなインパクトがあります。

「ハッタリをかます」は、非常によく使われる表現です。ただ、乱暴な印象は否めないため、フォーマルなシーンでの使用は避けましょう。

例文「ボケをかます」

「ボケをかます」は、そのままの意味は「とぼけたことを言う」「ボケた行動をする」になります。ただ、ニュアンスとしては、もっと強い印象で、関西弁にも通じたものがあります。

「ボケをかましてやった」となれば、「ボケた行動で相手をぎゃふんと言わせた」と言う意味合いが強くなりますし、「ボケかましてるんじゃねぇよ」となれば、「とぼけた言動をとるな」というように相手への牽制、抗議の意味も含まれてきます。

接頭語をつける使い方

北海道・東北弁や関西弁ではないことですが、標準語での「かます」は、接頭語をつけて用いられることがあります。「ぶち」という接頭語をつけた「ぶちかます」の表現がそれです。

日本語に限ったことではありませんが、言葉には「接頭語」というものがあります。

接頭語とは、それ自体単独で用いられることはなく、別の言葉の頭につけることで、その言葉と一緒になってひとつの意味を持ったり、語調を整えたりする言葉のことです。

例文「ぶちかます」

「ぶちかます」は、「相手に強い衝撃を与えること」です。関西弁で言うところの「一発かましたれ」に限りなく近い意味で、用いるシーンもほぼ同じと考えていいでしょう。

「ぶちかます」よりもっとくだけた言い方で「ぶっかます」と表現することもあります。

ちなみに、土俵の上でふたりの力士が体を激しくぶつけ合うことを、相撲用語で「ぶちかまし」と言います。一般的には「体当たり」と言う言葉に置き換えられます。

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「ぶちかます」の類語・言い換え表現

標準語として使われる「ぶちかます」には、似たような表現がいろいろあります。類語・言い換え表現を紹介しましょう。

もちろん、「ぶちかます」とまったく同じ意味を持ってはいませんが、覚えておけばボキャブラリーが広がることは間違いありません。

「強襲する」

「強襲する」とは、「強引に攻める」「不意に襲撃する」「猛烈な勢いで襲うこと」などの意味があります。「ぶちかます」の意味のひとつ、「相手に攻撃を与える」に似ています。

ふたつの言葉は類語と言えますが、「ぶちかます」の替わりに「強襲する」は使いません。

前者は口語表現として日常的に使われますが、後者は「続けざまの安打でピッチャーを強襲」というように、スポーツ中継などで使われることのほうが多いと言えます。

「襲い掛かる」

「相手に攻撃を与える」という意味では、「襲い掛かる」は「ぶちかます」の類語です。「ぶちかます」と似た意味を持つ言葉は何かと問われたら、「襲い掛かる」を挙げても間違いではありません。

ただ、「襲い掛かる」には「ぶちかます」が持つ微妙なニュアンスが含まれていなことは確かです。

「ぶちかます」を「襲い掛かる」に言い換えると、「あいつに一発衝撃をくわせてやれ!」といった強い意味合いは薄められてしまいます。

「突っ込む」

「ぶちかます」には「相手がひるむような攻撃をする」という意味もあります。そう考えると、「ぶちかます」の代わりに「突っ込む」を使っても語弊はないでしょう。

例えば、仕事の場で、他社とのコンペで新プロジェクトを勝ち取ろうとするとき、チームのリーダーが「ぶちかまそう」と言うことがあります。

「失敗を恐れず、突っ込もう」ということで、ここでは「ぶちかます」は、メンバーの士気を高めるための言葉となります。

「襲撃する」

「襲撃する」の言葉自体は一般的にも使われます。しかし、「ぶちかます」の置き換えとして使うのは非常にレアで、例えば、暴走族が対立グループを打ちのめそうとするときくらいでしょうか。

普通の人が「襲撃する」の文字どおりの意味の言い換えとして「ぶちかます」を使うことは、ほとんどありません。

ただ、例えば、仲間を誘って友人の家に突然遊びに行くとき、「襲撃する」という意味で「ぶちかます」を使うことはあるでしょう。

「切り込む」

「切り込む」には、「やっつける」「襲い掛かる」「攻める」などの意味があります。額面どおりに受け取ると、物騒な印象がありますが、ビジネスでも「切り込む」はよく使われます。

例えば、イベント企画運営の会社が、行政が主催する大プロジェクトへの参加を考えたとき、「ぜひとも切り込んでいきたい」といった表現をすることがあります。

これを受け、社員同士の会話には「ぶちかまそう」の言葉が登場することもあるはずです。

「かます」の意味を理解して正しく使おう

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「かます」は、地方によって意味が異なり、使うシーンも使い方も違っていることがわかったはずです。地方ごとの違いを頭に入れ、臨機応変に使いこなせるようになりましょう。

ただし、関西人以外の人が関西弁としての「かます」を乱用すると、当事者である関西人からはもちろん、そうでない人からも「うざい人」と見られることもあるので、注意しましょう。

方言を理解して使いこなそう

「かます」と同じように、日本全国にはたくさんの方言があります。中には一般的な言葉として使われるようになっているものも少なくありません。

あなたも、そうとは知らずに、別の地方の方言を日常的に使っている可能性も否定できません。ポピュラーになった方言に限って、間違った使われ方をしている場合もあります。あなたは大丈夫でしょうか。よく知られた方言について、おさらいをしてみましょう。

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