「お気遣いなく」の使い方と例文・メール/手紙での書き方
更新日:2024年09月18日
「お気遣いなく」は目上に失礼な言い方?
目上の人に対して「お気遣いなく」を使うのは失礼にあたるのでしょうか。「お気遣いなく」は後に続くはずの動詞が省略された簡略化された文章ですので、本来は上の立場の人に掛ける言葉ではありませんが、口語で使う場合はあまり問題視されません。このような例にはほかにも
・良いお年を(お迎えください)
・お大事に(なさってください)
などのような言葉があります。
「気遣いをする」がもともとの語となりますので、目上にも使える敬語表現にするためには
・「お気遣いなさらないでください」
・「お気遣いないようお願いします」
などが文章では最適です。文頭に「どうぞ」などの言葉を付けると、より柔らかな表現になります。
「お気遣いなく」の類義語と使い分け
決まった言い回しとは言え、謙虚な姿勢が美徳の日本人ですから、「お気遣いなく」と同じような意味合いの言葉はほかにも存在します。言い換えに適した表現や、その使い方をご紹介します。
お構いなく
「お構いなく」も同じくらいによく耳にするセリフです。直接違約すると「構わないでください」=「放っておいてください」のようにも思えますが、「お」が付くことによって相手を思う文章になり、かつ「お気遣いなく」と同じ意味合いのセリフとして定着していますので勘違いをされたり、失礼にあたることはありません。
断るときの使い方として「お気遣いなく」にかぶせて使うことで協調することも可能です。「お気遣いなく、本当にお構いなく」まで言われれば相手も引くことができるでしょうから、歓迎が熱烈すぎて困ったときは同時使用も効果的です。
迎え入れる側が謙遜する表現として「お構いもしませんで」というのも定型です。
お気になさらず
こちらは訪問時などの決まった時ではなく、相手に気を遣ってもらえた時に返す言葉です。「お気遣いなく」や「お構いなく」にくらべて幾分かやんわりとしたニュアンスになります。また、ただ気遣われた時にも使うことはできますが、相手が自分に手間を掛けさせてたり迷惑を掛けたりしたときの謝罪などの返しに対しても自然に使える語句です。
【例】
・「こないだは急な発注でごめんね」⇒「どうかお気になさらないでください」
・「面倒な仕事だけどよろしく」⇒「問題ありませんので、どうぞお気になさらずに」
結構です
申し出を断るときに使います。「いりません」や「やめてください」などよりもやんわりとした言葉で、相手との関係に傷をつけないようなニュアンスで、申し出を拒否することができます。
「結構です」はYESかNOかわかりにくいため、あまり使わないほうが良いとする意見もありますが、前後の文脈や態度などで大抵は判断ができるでしょう。手を前に出したり、首を振るなどのジェスチャーを交えてあげると、わかりやすく丁寧です。
シーン別「お気遣いなく」の使い方と例文
お祝い
「○○とのことでおめでとうございます、今度お祝いさせてください」などの申し出をいただくことがあります。こちらは、この段階では本音なのか社交辞令なのかはまだ判断がつかない段階ですので、それほど一生懸命に返す必要もありません。
「ありがとうございます、どうかお気遣いなく」程度の返答にとどめておきます。相手が本気であれば、後日日程などの打診がありますし、社交辞令であればあなたの「お気遣いなく」を聞いて安心して引いたと考えてください。
お祝いとしてプレゼントなどを渡された場合は、断るのは失礼ですので「お気遣いなく」よりは「お気遣いいただいてしまってすみません、ありがとうございます」などありがたく感じている形に変換しましょう。
お返し
反対に、贈り物をしたときなどにお返しをしてくれる丁寧な人もいますので、そのような方にお返しはいらない旨を伝える時にも「お気遣いなく」も活用できます。
お祝いに食事会などの際、「今日はありがとう、今度お返しするね」などの会話があった時に「ほんとに?ありがとう」と返してしまうと、相手は「お返ししなくては」と考えてしまいます。相手に気を遣わせたくなければ「お気遣いなく、そのうちにね」など、「お返しはなくてもかまわない」くらいのニュアンスを含んだ返答がスマートです。
お礼・礼状
お礼をするときや礼状を送るときには、相手の気遣いを受けた後ですので基本的には「お気遣いなく」という言葉は不釣り合いでしょう。この場合は「お気遣いありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えるようにしないと、場合によっては「迷惑だったのかな」と感じる相手もいますので注意が必要です。
いつも行くたびにいろいろなものを用意されて申し訳ない、ということであれば「次回はどうぞお構いなく」などやんわりと添える程度にしておきましょう。
初回公開日:2017年11月11日
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