「とりあえず」を伝えたい時に使える敬語表現|ひとまずとの使い分け
更新日:2024年06月14日
「とりあえず」とは
「とりあえず」には二つの意味があります。まず一つ目は「まず第一に」「何はさておき」と言った優先的な意味です。二つ目は「一応」「さしあたって」と言った、その場しのぎですませるという意味です。
「とりあえず返事をしておく」「とりあえずお礼まで」と、何気なく使うことが多いのですが、実は少し厄介なコトバなのです。
では、「とりあえずご報告いたします」という文言を例文として「とりあえず」の部分を優先的な意味の「まず第一に」とその場しのぎの意味の「一応」に置き換えて確認してみましょう。
まず第一に ご報告いたします
この文だと、「一番に、何はさておき、ほかの何より後回しにせず報告する」と捉えることができるので、やる気も感じられ、悪い印象を与えることはありません。「とりあえず」が、常にこのような意味で使われるコトバであれば、ビジネス用語として使っても全く問題はありません。しかしながら、多くの場合でこちらの意味として捉えられることはありません。
一応 ご報告いたします
いかがでしょう。「とりあえず」の印象が、ガラリと変わります。「面倒だけど仕方なく報告しているのだ」と言っているような不快感があります。その報告内容すら自信のない不確かなものに思えてしまいます。
ビジネスの世界では、「とりあえず」は、この「一応」の意味で捉えられることがほとんどです。たとえ文の締めの「いたします」を「させていただきます」とへりくだった言い方に変えても印象はそれほど変わりません。「この報告は大丈夫なんだろうか」と相手に不安を与えてしまいます。
ひとまず ご報告いたします
「とりあえず」のように誤解を招くようなコトバは、あえて使わず、他のコトバを使いましょう。むしろ「とりあえず」を省いて「ご報告いたします」だけの方が、コトバ足らずであっても不快感を与えずにすみます。「報告」の頭に付けている「ご」も「いたします」も敬語の一部なので、それほど失礼はありません。
「とりあえず」と同じような意味を持つコトバに「ひとまず」と言うコトバがあります。漢字では「一先ず」と書き、今後のことは別にして、その時点で一応の区切りをつけると言った意味を持ちます。「ひとまずご報告いたします」と表現すれば「とりあえず」のように誤解されることはありません。
「とりあえず」も「ひとまず」も敬語ではない
ここまで「とりあえず」と「ひとまず」について説明してきましたが、「とりあえず」を「ひとまず」に差し替えることが敬語表現になるわけではありません。そもそも「とりあえず」や「ひとまず」は副詞なので後に来る用語を修飾する言葉にすぎません。
「ひとまず」をビジネス用語として使うのは、「とりあえず」に比べてマイナスなニュアンスがないからでした。しかし、後に続く文言に、しっかりと敬語表現ができていなければ「ひとまず」を取り入れた意味がなくなってしまいます。
敬語の変換表
敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語の三つがあります。尊敬語は目上の人を敬う表現で、自分の側に属さない人を高める言いかたです。謙譲語は目上や自分の側に属さない人に対して自分をへりくだって表現する言いかたです。そして丁寧語は相手を問わず日常で使う表現であり、聞き手に配慮した言いかたです。
この下に敬語の変換表のリンク先を載せました。敬語がよくわからない方は覗いてみてください。
敬語を使いこなす
敬語は社会人としての常識です。きちんと使いこなせないと、時には教養を疑われたり、相手に不快な思いをさせたりすることもあります。それだけなら個人の問題でいいのですが、きちんと敬語が話せない社員を雇っている会社の品格が下がることもあるのです。
敬語に不安のある方は、敬語について書かれた本を一冊は持ちたいものです。手引書を参考に日々、正しい敬語や丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
「させていただきます」と「いたします」
続いて「ご報告させていただきます」と「ご報告いたします」の敬語表現をを比較してみましょう。
「させていただく」をつければ敬語の謙譲表現(へりくだった表現)になると思っている人がいるかもしれません。確かに「いたします」より丁寧に感じます。しかし「させていただく」が単純に「する」の謙譲表現になるとは限りません。適切でない時に使ったり、使いすぎたりすると逆にわずらわしく、相手に不快感を与えてしまいます。
「させていただく」の使いかた①
初回公開日:2017年07月18日
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