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「とりあえず」を伝えたい時に使える敬語表現|ひとまずとの使い分け

更新日:2024年01月01日

「とりあえず報告します」「とりあえずお礼まで」とよく耳にする「とりあえず」ですが、このコトバは敬語として使用してもいいのでしょうか。その場しのぎに聞こえる「とりあえず」を置き換えるなら、どんなコトバや表現があるのでしょう。そんな疑問をここで考えてみましょう!

「させていただく」は、本来「わたしの行動(すること)」に「あなたの許可」があれば「ありがたい」という意味で使われるものです。報告することが義務であったり仕事であるなら「ご報告させていただきます」より「報告いたします」のほうが適切であり、すっきりしています。

報告することがこちらの都合である場合には「~させていただく」を使うのは正解です。報告することを許可してもらう必要があり、時間をとらせてしまう相手の負担に感謝もしますから。そのような場合は「ご報告させていただきたいことがあるのですが、お時間はございますか?」と言葉が続きます。

「させていただく」の使いかた②

もうひとつ例を挙げておきましょう。上司から○○についての資料を作るように指示されたとします。その資料を提出するときに「お申しつけの資料を作成させていただきました」と報告するのは敬語を使ってはいるのですが自然ではありません。

資料を作ったのは指示があったからで上司の許可を求めたわけではありません。そして資料を作った行動を誰に感謝するというのでしょうか。「お申しつけの資料を作成いたしました」で十分です。敬語は相手を敬う気持ちを持ってシンプルに表現する方が伝わりやすいです。

取り急ぎの連絡をするときの敬語表現

急ぎの報告をするときのビジネスメールに「取り急ぎご報告まで」という文言があります。この文言は敬語表現ではありませんから上司や取引先やお客様には使ってはいけません。「とりあえず急いで」と言う意味があり、あわただしい印象を与えてしまうこともあります。また「報告まで」と言葉を切り取ったように簡略化しすぎるのもビジネス用語としては感心しません。

至急に報告するとき

早急にお客様や目上の人に短く用件を伝える時は、省略した内容を伝えるのですから、なおさら言葉選びが大切です。そんな時は「なにはともあれ」「とにかく」を意味する「まずは」というコトバが使えます。

「まずは、要点のみをご報告いたします」や少し丁寧に「簡単で恐縮ですが、まずは要点だけ報告いたします」と伝え、その後できるだけ早く詳細を送ります。もちろんこちらの都合で報告を聞いてもらう場合は「報告させていただきます」と敬語を謙譲表現にしなければいけません。「いたします」も敬語ですが丁寧語の分類の中に入ります。

「ひとまず」を使う

「ひとまず」は副詞だと先ほど述べました。副詞は名詞を修飾しないのが基本なのですが、「ひとまずの」の形で名詞を修飾することがあります。この「ひとまずの」を使う例として「ひとまずの報告にて失礼します」という言い方があります。

「ひとまずの報告」と「ひとまず報告する」は同じようで微妙な違いがあります。「ひとまずの報告」は、まだ未完成な報告内容に対して「ひとまずの」がかかっています。よって追加報告があることを意味します。「ひとまず報告する」は報告をする行動にかかっています。こちらは、この報告のみで終わる場合にも使えます。

後に追加報告をする必要がある時は「後ほど改めて報告いたします」と付け加えると丁寧になります。


「とりあえず」を多面的にみる

この記事で「とりあえず」は、誤解されやすいので使うのは避けた方がいいと説明してきましたが、絶対に使うべきでないというわけではありません。時と場合によっては「とりあえず」が生かされることもあります。

法政大学キャリアデザイン学部の坂爪洋美教授の『キャリアにおける「とりあえず」という考え方』の解説を下に紹介しました。あなたが「とりあえず」の詞を耳にした時の受け止め方が変わると思います。ぜひ一読してみてください。

初回公開日:2017年07月18日

記載されている内容は2017年07月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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