間違いも多い「見てもらう」の敬語表現と例文|謙譲語/丁寧語/尊敬語
更新日:2024年09月16日
「見てもらう」の正しい敬語表現・謙譲語・丁寧語・尊敬語
正しい敬語表現を覚えよう
「見てもらう」この言葉一つ考えるだけでは、あまりピンと来ないものですが、実際には、日常生活や仕事上では思っている以上によく使っている言葉です。特にビジネスにおいて「この資料を上司に見てもらいたい」「この文章はおかしくないか〇〇さんに見てもらおう」と思うことは多いのですが、実際に相手に伝える場合はどのような表現を用いるのが適切なのでしょうか。
「見てもらう」は「見て(見る)」+「もらう」という二つの言葉が組み合わさっているため、敬語表現はやや難しく混乱してしまいがちです。使用頻度も比較的高いので、間違った表現を使ってしまうと間違った表現を覚えてしまい、そのまま癖になってしまいます。ここでは正しい表現を覚えて、「見てもらう」の敬語表現を使いこなせるようになりましょう。
謙譲語
謙譲語は、相手に対する自分の動作をへりくだった形で表現するものです。へりくだって自分の立場を下げることにより、相手に対する敬意を表します。自分だけではなく自分の側の人(同じ組織の中にいる人など)の動作に対しても用います。
「見る」の謙譲語は「拝見する・見せていただく」、「もらう」の謙譲語は「いただく」なので、この二つを繋げて「見てもらう」の謙譲語としたいところです。しかし、「見る」のは自分ではなく相手の動作で関係性がおかしくなってしまうため、謙譲語を用いることはできません。
そのため、謙譲語として使おうとするのは誤りで敬語表現を用いて「見てもらう」と言うときには、丁寧語もしくは尊敬語を用いる必要があります。
丁寧語
丁寧語は、相手や自分の立場に関係なく、「です・ます」などをつけて丁寧に表現するものです。1対1の状況でも使用しますが、特にプレゼンテーションのように自分から大勢の人に向かって話をする際に使います。
「見る」の丁寧語は「見ます」、「もらう」の丁寧語は「もらいます」なので、丁寧語で「見てもらう」と言いたい場合には「見てもらいます」となります。しかし、「見てもらいます」という表現はあくまで丁寧語であるため、「見てもらう」の敬語表現として用いると相手に対してくだけすぎている印象を与えてしまうこともあります。
日常生活でのちょっとした会話であれば問題はありませんが、仕事上では状況をよく考えた上で使うようにしましょう。
尊敬語
尊敬語は、目上の人を敬う表現で、相手の動作そのものに関係する言葉です。自分の立場に関係なく相手に対する敬意を表します。同じ組織内の上司にも、組織外の人にも使用します。「見る」の尊敬語は「ご覧になる」、「もらう」の尊敬語は「賜る・お受け取りになる」です。
しかし、「見てもらう」における「もらう」は自分の動作になるので、ここでこれをそのまま尊敬語に変換することは不適切です。そのため、ここでは「もらう」の反対語である「与える・あげる」を用いる必要があります。「与える・あげる」の尊敬語は「くださる」なので、「見てもらう」を尊敬語で表現する場合には「ご覧いただく」とするのが正しい表現です。
メールで使える「見てもらう」の敬語表現例文
基本的な敬語表現を押さえた上で、さらに覚えておきたいのがメールで使える敬語表現です。「見てもらう」の尊敬語表現である「ご覧いただく」を用いても問題はありませんが、何度も繰り返し同じ言葉を用いるのは不自然な場合がありますし、できることならばさまざまな表現を使い分けたいところです。また、メールの相手との関係性やメールでの状況によっても使う言葉を選ぶ必要があります。
文書を見てもらう場合
メールでやり取りをする中で何かを見てもらう場合に多いのが、文書に関するものです。これは、作成したワードやエクセルなどの書類を、相手に確認してもらいたい場合や書類を提出する場合です。また、プレゼンテーションでの資料などもここに当てはまり、使用頻度は非常に高いでしょう。
例:次回の会議の資料を添付しますので、ご確認ください。よろしくお願い申し上げます。
例:先月のプロジェクトに関する報告書が出来上がりましたので、ご確認をお願いいたします。
文書を添付する場合には、「見てもらう」を「ご確認」に言い換えることができます。メールで文書を見てもらう場合には、必ず何を見てもらうのかについて言及しましょう。そうすることで、万が一の添付漏れにも相手に気づいてもらえますし、添付ファイルが複数ある場合にわかりやすくなります。
講演を見てもらう場合
仕事で講演をしたり、裏方として講演会に携わることもあります。また、芸術・芸能関係の仕事では演奏会や舞台などがあります。業種・業界が限定されるものなので、メールでの使用頻度は高くはありませんが、頭に入れておくと良いでしょう。
例:先日は、舞台にお越しいただきありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
例:○月○日に展覧会を開きます。●●さまにはぜひご覧いただきたく思います。お忙しいかとは思いますが、ご都合がよろしけばお越しくださいませ。
講演や舞台の場合には、直接的に「見てもらう」という言葉を用いるだけはなく、会場に足を運ぶことについての表現を用いることもできます。また、講演会や音楽会の場合には聴くことに関する表現を用います。
執筆物を見てもらう場合
編集や執筆の仕事で長い文書に関してやりとりする場合です。「ご覧ください」や「ご確認ください」など上記で出した文章でも構いませんが、執筆物などを見てもらう際には他の言い回しを使うこともできます。
例:コラムの原稿が出来上がりましたので、お読みいただきたく存じます。
例:商品に関する記事を添付しましたので、ご一読ください。
比較的長い文書になる場合には、「見てもらう」の代わりに読むという動詞を使用することもできます。こちらの方が相手にじっくりと読むイメージを与えるので、あまり短い文書に使ってしまうとやや不自然になることもあります。
「見てもらう」に関するビジネス用語
初回公開日:2017年09月10日
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