「むしろ」の敬語表現・むしろの使い方と例文・別の敬語表現例
更新日:2024年08月05日
「むしろ」の敬語表現は?
「むしろ」とは、「どちらかといえば」や、「いっそ」という意味で、比較し選択するという表現です。「むしろ」は副詞にあたり、他の語を装飾する語なので、このままの形で使用するため、敬語的な表現の変化はありません。
むしろは、「もし」に接尾語の「ろ」がついて「もし」や「どちらかといえば」となり、これに、漢文で同じような意味で「〜する方がいい」という意味の「寧」を当て、「寧ろ」となりました。
敬語表現とは、相手を敬う表現にするという目的で使われるため、「むしろ」はそのままの形で使用し、前後の文章を敬語にします。
「反対に」という意味でも使いますが、その場合には、相手のお詫びや感謝を否定し、自分がお詫びや感謝を示すことによって、敬語と同じ効果が得られます。
針のむしろの「むしろ」とは違います
針のむしろとは、慣用句で、周囲の非難や冷遇、自責の念などにより、心の休まらない状態を言います。この慣用句で使われている「むしろ」は、比較選択をする「むしろ」ではなく、い草やわらで編まれた敷物のことを言います。
「針のむしろ」は、針が植えられたむしろに座っているように、いたたまれない気持ちの時に使います。ここで紹介している、比較選択の「むしろ」とは、違う意味なので注意してください。
「むしろ」の敬語での使い方は?
「むしろ」には敬語表現はありません。しかし意味をきちんと理解して使わないと、基本的な日本語を使えないとして失笑を買う恐れがあります。「むしろ」は比較し選択する、「どちらかといえば」という意味の副詞ですので、どちらか二つ比べてどちらかより良い方を選ぶ場合に使ったり、「反対に」と言った意味で使います。
敬語の種類は?
「むしろ」は副詞です。そのため「むしろ」の敬語表現はありません。敬意を示すための敬語は、前後の文で表現をします。
「むしろ」は「自分がどちらかを選ぶ」という意味ですので、敬語の種類は、へりくだった形の謙譲語と丁寧語で構成された敬語表現になります。
使い方は?
むしろは、どちらか二つから、より良いものを選択するという意味なので、「AよりむしろBが好き」というように使います。「〜するよりも〜する方がいい」という使い方もし、四文字熟語の「鶏口牛後」は、この「むしろ」の使い方をしています。
「鶏口牛後」の意味は「大きな集団の尻にいるよりも(牛後)、むしろ小さな集団の長(鶏口)になれ」で、元は漢文です。漢文では、「寧為鶏口無為牛後」となり、「牛後となるよりむしろ鶏口となれ」と訳されます。
また「反対に」という使い方もされます。何かを相手にして、お礼を言った時に「お礼をするのはむしろ私の方だ」というように使います。敬語で表現すると「感謝申し上げるのは、むしろ私の方でございます」となります。
メールでの使い方は?
むしろは、どちらかといえば口語で使用する言葉です。メールは、簡潔な内容で書くことが前提とされるので、「むしろ」はあまり使用しません。
使用する場合には、相手からお礼のメールが届き、その返信として「こちらこそ、ありがとうございました」というように、「むしろ」よりも「こちらこそ」の方がスマートかつわかりやすい表現になります。
AとBという仕様があって、相手方がA案を押しているが、自社ではB案を押している場合などに「AよりもむしろBの方が(優れている理由を述べて)いいと考えております」というように、何か相手側から問いかけがあって、それに返信する、という形で使われます。
「むしろ」には敬語表現はないので、前後の文での敬語が必要になります。
ビジネスでの使い方は?
ビジネスでの使い方は、仕様書などで、どちらも条件を満たしている案件で、AかBどちらにするか、というような際に使います。「どちらかといえば」という意味で使う場合には、なぜそちらを選ぶのか、という理由を明確にする必要があります。
理由を明確にすることで、優れている点がくっきりとし、選択する際の一助になります。むしろを使う場合には、状況的には「どちらを選んでも変わりない」という場面が多く、むしろの後に選ぶ理由を述べることで、優れている面が強調されます。
また、相手を立てるためにも使用します。お詫びや感謝をされた際に、相手からの感謝を一度否定し、「むしろ」自分の方が悪かった、感謝するという使い方をします。そうすることで、相手のお詫びや感謝をさらに強めて返すという、相手を立てる、敬語表現と変わらない効果が得られます。
「むしろ」を敬語表現するときの例文は?
「どちらかといえば」という意味でむしろ使う際には、なぜそちらを選ぶのか、という理由を明確にすることで、優れている点を強調することができます。
むしろには「かえって」や「反対に」という使い方もあります。ただし、ただ単に「むしろこちらこそありがとうございます」というよりは、何をしてしまってお詫びしているのか、何をしていただいて感謝しているのかはっきりと理由を伝えることで、「むしろ」の後に続くお詫び、感謝の言葉が生きてきます。
また、相手のお詫びや感謝を一度否定してから、「むしろ」とつなげることで、さらにお詫びや感謝の気持ちが強調される、という効果があり、敬語と同じように「丁寧な人だ」という印象を残すことができます。
例文【どちらかといえば】
初回公開日:2018年02月24日
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