「くらい」の敬語表現・くらいの使い方と例文・別の敬語表現例
更新日:2024年09月04日
「ぐらい」の敬語表現
「ぐらい」の敬語表現とはどのようなものでしょうか。敬語はビジネスマナーや、社会人としての知識として必須事項ですが、敬語表現といってもただ敬語を使ってさえいれば正しいというわけではありません。その言葉の持つ意味や性質を正しく把握して使用することが重要です。
ですのでまず敬語表現についての説明より先に「ぐらい」の語句の特徴などについて見ていきましょう。
さてこの「ぐらい」についての意味や性質ですが、日本語特有の性質を持っています。独特の特徴を持っているために、使いどころを誤ると誤解を招いたり、失礼にあたる恐れも出てきます。次項ではこの「ぐらい」の言葉の特徴と、この言葉を用いるメリットとデメリットについて説明します。
特徴
「ぐらい」の言葉の特徴として、曖昧さを含んだ語句である点があります。これは、はっきりと物事を定義せずにぼやかして表現するニュアンスがあり、相手の気持ちや場の雰囲気、態度などをくみ取ってコミュニケーションを図る日本固有の文化です。
この特徴によりメリット、デメリットも分かれる面があるため、「ぐらい」の敬語表現を知識として知るよりも、この言葉を使っても良いかどうかの判断力も問われることになり、「ぐらい」という言葉そのものが使いどころの難しい言葉だと言えます。
次項では「ぐらい」の特徴と、メリット、デメリットについて掘り下げていきます。
メリット
上記で説明したように「ぐらい」にはあいまいさを含んだ言い回しです。そのため相手や自分に裁量の余地を与えることになるので、角の立たない伝え方ができます。例えば「午後一時に集合」と「午後一時ぐらいに集合」では、前者ならば一時までに到着しないと遅刻扱いになりますが、後者の表現では一時を5分過ぎたぐらいでも許容範囲になります。
このような表現に現れるあいまいな表現は、断定しないことで責任をグレーゾーンにし、場の責任感を全員で共有していこうとする一種のチームワークとして日本の製造業や中小企業で良い方向に機能していた背景があります。この考え方は組織内での横断的なコミュニケーションの一助となる面もあり、視点を変えれば曖昧さも組織や集団の強みにつながる面も再認識できます。
デメリット
「ぐらい」の言葉のデメリットは、メリットの部分の裏返しと言えます。つまり、正しい情報が欲しい相手に対しては混乱の原因となります。「3時ぐらいに新幹線が出発します。」というアナウンスでは乗客が困ってしまいます。
また目上の人に対しての言葉としては失礼にあたり、たとえ敬語表現を用いても意味はありません。もちろんビジネス上の約束事でもふさわしくない言葉となります。
「ぐらい」の敬語での使い方
「ぐらい」の敬語表現について見ていきます。どのような使い方があるのでしょうか。
敬語の種類
敬語表現は大別して尊敬語、丁寧語、謙譲語の3つになり敬語を使う人の立場に対応して変化する用法です。相手の立場を持ち上げる場合は尊敬語、逆に相手にへりくだる場合は謙譲語、話題となっている人に対して敬意を表す場合は丁寧語を使用します。
本題の「ぐらい」の敬語表現の種類ですが、この言葉には上記で説明した敬語表現はありません。つまりどの種類の敬語の用法も使えないということです。では「ぐらい」は敬語で使用できないのかというと、厳密にはありませんが、敬語表現に近づけることは可能です。ここからは「ぐらい」の敬語としての使い方を基本的な使い方と、メールでの使い方について説明します。
使い方
上記で紹介したように「ぐらい」の語句に敬語表現はありませんが、ビジネスシーンで習慣的に使用される敬語表現にビジネス敬語があります。このビジネス敬語においては「ぐらい」も敬語表現があり、「ほど」と変化して使用されます。
多くの場合、「どれぐらい」といった意味合いでは「いかほど」と使われます。また他の敬語表現と組み合わせて使用することで、より敬語表現としても違和感のないものとなります。
ただし、ビジネス敬語として認知されていたとしても正式な文書や、形に残る契約書などには不向きです。あくまで会話時のコミュニケーションに使用することが「ぐらい」の語句の限界とも言えるので、状況に応じて使っていきましょう。
メールでの使い方
メールでの「ぐらい」の敬語としての使い方ですが、メールの特性上、相手の反応や応答をリアルタイムで得る事ができない点を考慮する必要があります。またメールの送信先が複数の人に閲覧される可能性があると、誰に対しての敬語表現が適切なのか判断に迷う場面も出てきます。
以上の点を踏まえての「ぐらい」の敬語としての使い方は、まずメールの送り先の立場を考慮した上で正しい敬語表現に則った文章を心がけます。そして「ぐらい」の箇所を「ほど」に変換しますが、この言葉自体あいまいな意味合いになってしまうので、仕事上でのメールでは「ぐらい」の頻度を下げた内容にしたほうが誤解も少なくなります。
「ぐらい」にはあいまいさと同時に微妙なニュアンスも含まれるため、メールの送り主と受信者の間で見解にあらかじめずれが生じるおそれがある場合には、「ぐらい」の語句をできるだけ使わないことも判断の一つです。
初回公開日:2018年02月23日
記載されている内容は2018年02月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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