「お口に合ってよかったです」の敬語表現・使い方・別の敬語表現
更新日:2024年06月28日
「お口に合ってよかったです」の敬語表現は?
食べ物の贈り物をした時、「美味しかった」と言われたら嬉しいです。そのお礼の言葉として用いるのがこの「お口に合ってよかったです」という言葉です。食の好みは結構難しいものですので、相手に「美味しい」と言われると贈った甲斐があります。その安堵と嬉しさを表現するために「お口に合ってよかったです」という表現を用います。
しかし「お口に合ってよかったです」は友人などには使えますが、目上の人に使うには、やや敬語のレベルが足りず、また稚拙な印象を与えます。なぜならこれは、丁寧な敬語の形にはなっていますが、ビジネスやその他改まった場面では、表される敬意が足りない、敬語レベルが低い言葉だからです。
ではお口に合ってよかったです、のふさわしい敬語の表現はどんなものなのでしょうか。
丁寧語です
お口に合ってよかったです、は丁寧な敬語の表現です。丁寧語と言います。丁寧語とは、相手に敬意を示し、丁寧に接する時に使う言葉です。主に「です」や「ます」または「ございます」、接頭語の「お・ご」などが丁寧語として数えられます。
お口に合ってよかったですは、接頭語の「お」をつけた「お口」で「好み」や「嗜好」を表し、好みと一致したことを表す「合う」に、丁寧語の「です」文末にして、「お口に合ってよかったです」すなわち「美味しいと言ってもらえて安堵しています」という感謝を示す丁寧な敬語にしています。
しかしビジネスで使う敬語としては、敬語レベルが足りないため、「お口に合ってよかったです」ではなく他の言葉に言い換えて用いる必要があります。またお口に合ってよかったですは、口頭で使うことがほとんどですので、お口に合ってよかったですを文章で使う場合はふさわしい敬語の形にして用いることが望ましいです。
「お口に合ってよかったです」の敬語での使い方は?
丁寧な敬語表現であるお口に合ってよかったですを使う場面はどんな時でしょうか。多くは食べ物の贈り物をして「ありがとう、美味しかった」と言ってもらえたときや、手料理を振る舞って「おいしかた、ごちそうさま」と言われた時に「お口に合ってよかったです」と返答します。
友人や知人、同僚などなら「お口に合ってよかったです」で十分返答になりますが、上司や目上の人の場合には、この表現がふさわしいのか考えてしまいます。
「お口に合ってよかったです」と声に出してみるとわかるとおり、やや稚拙な印象を受けます。なぜならこれは、丁寧な敬語の表現ですが、敬語のレベルが目上の人に使うにはやや不足しているからです。
敬語の種類は丁寧語
疑問に感じるのは「お口に合ってよかったです」の「よかったです」の部分です。これは丁寧語と呼ばれます。丁寧語の意義は相手に敬意を払い丁寧に接するということです。日常でよく使われる敬語の表現ですが、もっと改まった場面や、上司には使えるのでしょうか。
結論から言えば「よかったです」は敬語にはなりません。「よかった」に丁寧語である「です」をつければ敬語、というわけではなく、本来は「ようございました」や「よろしゅうございます」が「よかったです」の正しい敬語の形になります。
しかし「ようございます」「よろしゅうございます」は、ビジネスであってもあまり用いることのない、どちらかと言えば堅苦しい敬語表現です。そのため改まった場面や上司などに用いる時には、「お気に召していただきましてありがとうございます」や「喜んでいただけて何よりでございます」など、その場面に合わせた返答を用いましょう。
こう使います
食べ物の贈り物のお礼への返答の際に用います。この時「美味しかった」や「あれはどこで手に入るの?」など、相手が「美味しかった」という感想を持っているだろうときに「お口に合ってよかったです」と使うのが正しい使い方です。
お口に合ってよかったですは、「美味しかった」「もう一度食べたい」などのプラスの感情に対する返答なので、「ありがとう」と言われただけなら、「どういたしまして」や「喜んでいただけたら幸いです」などの当たり障りのない返答でいいでしょう。
例文
それでは、実際の会話を想定した例文をご紹介します。
相手:「この間いただいたクッキー、とても美味しかったわ。どこで手に入るのかしら」
自分:「お口に合ってよかったです。あれは〇〇というお店の限定品なんですよ。」
相手:「この間クッキーをいただいてどうもありがとうございます」
自分:「お口に合うかどうかわかりませんが、召し上がってください」
メールでの使い方は?
「お口に合ってよかったです」は書き言葉としてはやや稚拙な印象を受け、また文章にするとさらに敬語レベルが下がります。メールや文章などで「お口に合ってよかったです」と同じ意味の言葉を使いたい時には「喜んでもらえて何よりと存じます」や「お気に召していただき幸いです」などの言い換えしましょう。
また食べ物を送った時に添える文章では、少し形を変えて「お口に合うかどうかわかりませんが、召し上がってください」や「ご笑納ください」「ご笑味ください」などへりくだった敬語の形にします。
「ご笑納」「ご笑味」は「笑って納める(受け取る)」「笑って味わう」という謙遜の言葉です。「笑ってしまうほど粗末なものですが」という遠回しな意味があり、「心ばかりのものをお送りしました。ご笑納ください」と使います。ただし、これれは「葬儀」や「法事」などの不幸に関する贈り物には絶対に使ってはいけません。
「お口に合ってよかったです」を敬語表現する
初回公開日:2018年03月29日
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