「当社と弊社」「貴社と御社」の正しい使い分け方・メール例文
おわかりになりましたか。そう、「貴社様」という使い方です。敬語である「貴社」にさらに「様」をつけてしまっています。こういった二重の敬語は、特にアルバイトを経験されたみなさんがマニュアルで習ってしまっている場合が多いです。気をつけて直していきたいですね。
2:「御社」が使われるケース
「御社」についている「御」も相手を敬うときに用いる表現です。「御社」の他にも、御園(幼稚園)、御校(学校)、御行(銀行)などの使い方があります。こちらは主に、会話で用いられます。
しかし、会話に「貴社」、文書に「御社」を使っても絶対に間違いとは言えません。ただし、「きしゃ」は「貴社」以外にも汽車、記者、帰社、などの同音異義語が多くあり、聞き取り間違う場合があります。ですから、話し言葉にはあまりむいていません。
また、文書には「貴社」を使うということが広く浸透していますので、メール等に「御社」と書くと、失礼だと不愉快に感じられる方も多くいらっしゃいます。文書には「貴社」が無難なようです。ですから、先ほどの選択肢は、(5)を正解とするのがふさわしいです。
3:メールでの使い方例
「貴社」と「御社」の使い方の違いをご理解いただけたと思います。では、実際にはどのように使うのか、メールでの例を紹介いたします。メールでは、「貴社」を用います。
- 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
- 貴社の製品である○○につきまして…
- 貴社と共同開発中の…
また、会話では「御社」を用います。
- 御社で企画されております×月×日のイベントに、弊社の…
- 御社の求人を拝見し…
当社・弊社・貴社・御社の使い分けは、ビジネスシーンにおいてどれだけ重要なのか
当社・弊社や貴社・御社など、ほんのささいな違いではないかと思われる方もいらっしゃることでしょう。ビジネス用語の中には、同様に細かい使い分けをするものがたくさんあります。その他にも、名刺を出す順・受け取る順、座席や名簿の順、敬称のつけ方など、細かいビジネスマナーはたくさんあります。それらは、無駄なことなのでしょうか。
ビジネスにおいては、取引先の会社や顧客に不愉快な思いをさせることは、自分自身だけでなく、会社やそのブランドの信用の失墜につながります。では、人を不愉快にさせないためにはどうするか、その答えがマナー=礼儀なのです。
ビジネスも、結局は人と人とのつながりです。正しい言葉遣い、節度のある態度ができると、相手に大変よい印象を与えます。それが信頼にもつながります。さらに、マナーを知っていることは、場に応じた行動ができることにつながります。社会人は、学生時代とは違って、立場や場面によって、また相手に応じて行動しなければなりません。アルバイトのときの対応マニュアルには載っていないようなことが、常時起こるのです。
取引先の会社にお礼のメールを出すためには、どの言葉を選べばいいのでしょう。初めて顧客を訪問したときには、どういう行動するのがよいのでしょうか。電話を取り次ぐときには、ミスをしてしまったときには・・・。そのようなときに、正しい言葉や行動のチョイスのよりどころになるのがマナー=礼儀です。マナーを知っていることで、あわてずに行動できる対応力がつきます。それは、その人にゆとりと自信を与えます。
ですから、当社・弊社・貴社・御社の使い分け程度は簡単にできるくらいのビジネスマナーは当たり前に身につけておく方がよいということです。「マナーは人のためならず(自分のためになる)」、または、「マナーは身を助ける」ですね。