「際に」の使い方を文法と用法から解説|例文・英語表現も紹介
更新日:2024年08月31日
先程の用法を踏まえ「際に」の例文を挙げました。
いずれも、ちょうどそのときを指して「際に」を使用していますが、よく見ると、ちょうどそのとき、以外の意味も含んでいるようにも見えませんか。まず、1の「際に」は、「帰省する」という文と「持って帰ります」という文とをつなぐ役目も果たしています。2に関しても同様な見方ができます。
そして、3の「際に」は「非常ベルが鳴る」という、実際に起こるか起こらないかわからない、あくまでも仮定されたときを指して使われています。4も「際に」の前後の文章が同じ関係になっていると見ることができます。
最後に、5の「際に」は、過去のある時点を指して使われています。
- 帰省する際に持って帰ります。
- 立ち寄った際にお渡しします。
- 非常ベルが鳴った際には避難してください。
- 雨天の際には中止になります。
- 学生の際にした約束。
「際には」と「折には」の違いと注意点
「際に」の類語の1つに「折に」があります。「折に」も「際に」と同様、丁寧な印象を受ける言葉ですが、一般的に「際に」はビジネス用語、「折に」は日常における会話で使用する丁寧語だとされています。
実際に「際に」を「折に」で言い換えてみます。
1と3については、自然な形で言い換えられています。しかし、2については、不自然な印象を受けます。なぜなら、もともと「際に」を使っていた2が、ある仮定の状況を指す意味を持っていたのに対し、言い換えた「折に」には、ある仮定の状況を指す意味がないからです。
つまり、「際に」と「折に」の違いは、ある仮定された状況を指すときに使うことができるかできないかという点にあるということです。
- 帰省する折に持って帰ります。
- 非常ベルが鳴った折には避難してください。
- 学生の折にした約束。
「際に」の言い換え表現
「際に」には「折に」の他にも、「時に」「場合に」といった類語で言い換えることができます。
しかし、類語はどんな時も必ず言い換えとして使用できるというわけではありません。「折に」でも触れたように言葉にはそれぞれ持っている意味があり、言い換えたときに不自然な感じを受けたり、違う意味で受け取られてしまったりすることもあります。
「折に」についてはすでに説明したので、ここでは「際に」と「時(とき)」「場合(ばあい)」が持つ言葉の意味を比較しながら、その使い方の違いについて見ていきます。
「時に」
「際に」を「時に」で言い換えてみましょう。
実際に「際に」を「時に」で言い換えてみても、どれも、特に不自然な印象を受けないことがわかります。なぜなら、「時に」が持つ意味の中には、「際に」を使用した3つの文の持つ意味が含まれているため、不自然さが浮き出てこないからです。
しかし、「際に」と「時に」では、受ける印象が少し異なっています。たとえば、2については、「際に」を使うと、書面に書いてあることを読んでいるような印象を受けるのに対し、「時に」を使うと、直接話しているような印象を受けます。
また、3については、「時に」を使うと、友達同士など親しい間での会話のように聞こえますが、「際に」を使うと、上下関係を意識した間柄での会話のように聞こえます。
- 帰省する時に持って帰ります。
- 非常ベルが鳴った時には避難してください。
- 学生の時にした約束。
「場合に」
では、こちらも「際に」を「場合に」に言い換えてみます。
「際に」を「場合に」にすると、2は自然な形に言い換えられています。また、1も自然に言い換えられているように見えます。しかし、もとの「際に」を使用した文と比べると、「帰省しない可能性がある」という印象を感じないでしょうか。
さらに3については、もとの「際に」を使用した文が過去のある時点を指しているため、不自然な印象を受けます。
つまり、「際に」を「場合に」で言い換えると、あることが仮定されているという印象が強くなるため、過去のある時点を指す場合はもちろん、指す時点が過去以外であったとしても、仮定条件以外での言い換えでは使わないということです。
- 学生の場合にした約束。帰省する場合に持って帰ります。
- 非常ベルが鳴った場合には避難してください。
- 学生の場合にした約束。
初回公開日:2018年01月31日
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