「聴く」の敬語表現・聴くの使い方と例文・聴くの別の敬語表現例
更新日:2024年09月15日
「聴く」と「聞く」の意味と違い分かりますか?
日本語には、たくさんの同訓異字の単語があります。今回取り上げる、「聴く」と「聞く」について、みなさんは正確な意味の違いをご存知でしょうか。
聴くも聞くも、大まかには「音をきく」「耳を傾ける」ことです。では、その違いはなんでしょう。それは、意識の差にあります。シンプルに言うと、「(対象が決まっている)音を注意深くきく」場合に「聴く」といい、それ以外の一般的に「単に耳に入ってくる音をきく」場合に「聞く」を用います。
これから説明する、尊敬語の表現においても用法は、一部を除き「聴く」「聞く」を使った言葉がありますが、漢字の持つ意味はこれをベースに考えればいいでしょう。なお今回は、あくまで「相手の言葉に耳を傾ける」事を軸に話をすすめるので、「聴く」をメインにしています。
なお、「きく」にはもう一つ「訊く」という漢字もありますが、こちらは常用漢字外なので、一般的には使わない方が無難でしょう。
「聴く」の敬語表現の種類について
敬語の種類は三つ
敬語には、その相手や立場などの違いから、三つに分類されます。尊敬語、謙譲語、丁寧語の三つです。それぞれの違いを下図にまとめました。
ここから先は、これらに沿って「聴く」に置き換えた時どうなるかを、みていきましょう。
尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 | |
---|---|---|---|
対象 | 相手 | 自分 | どちら問わず |
使い方 | 目上の相手に対して使う敬語。 | 自分がへりくだり、相手を立てる場合に使う敬語。 | 聞き手に対して、丁寧に述べる敬語。基本は「です」「ます」を付けます。 |
目上の相手に使う尊敬語
先にも書いたとおり、目上の相手に対して使う敬語です。なので、受け身の表現になります。「聴く」を変える場合、「聴かれる」または「お聴きになられる」という表現になります。
後半で詳しく説明しますが、同義語として「拝聴」という言葉を使うことで、より丁寧な表現をする事もできます。「拝聴」の動詞は「拝聴する」なので、未然形に変換し「拝聴される」という受け身の表現にする事ができます。ただしこの「拝聴」は、敬意の度合いがかなり高いので、一般的なビジネスシーンなどにおいては、「聴く」がいいでしょう。
自分がへりくだる謙譲語なら?
尊敬語の対象が相手であるのに対し、自分が対象となる「謙譲語」の場合はどうでしょう。この敬語の目的は、「自分がへりくだる」=「自分の立場を低める」ことによって、相手の立場を尊重するものです。なので「聴く」においては、「お聴きする」という表現になります。
尊敬語と同じく、「拝聴」を使った場合も同じで「拝聴する」という言葉になります。しかし、尊敬語と同じくこの言葉は敬意が高すぎる印象もあるので、使用するさいには「かしこまりすぎる」印象を与えるので注意が必要です。
万能の丁寧語
見出しに「万能」と書きましたが、基本的に「です」「ます」を使うだけで、おおよそのシーンに丁寧な印象を与えるので、余程かしこまった状況以外では、丁寧語を使うのが無難だといえます。今回の「聴く」の場合には、使用方法は「聴きます」「聴きました」で問題ありません。さらに、冒頭の「聞く」と「聴く」の違いにさえ気をつけて、使うシーンを分けるといいです。
「聴く」の敬語を使ってみよう!
敬語の使い分け方とは?
ここまで、敬語の種類と使い方の基本は説明したので、おおよそは理解できた事でしょう。基本的には、下記のとおりです。
・「尊敬語」=相手の立場を立てる時に使う。
・「謙譲語」=自分の立場を落として、相対的に相手の立場を立てる時に使う。
・「丁寧語」=相手を問わず、丁寧な対応をする時に使う。
しかし、ある一定の条件での敬語の用法に落とし穴があります。よくある例としては「お客様に、自分の上司にあたる人を表現するとき」です。この場合、立場はお客様が一番高くなり、自分と上司は同じ立場になります。
つまり、「お客様」に対して「上司の話」を伝える場合は、「聴きました」になります。逆に、「上司」に対し「お客様の話」を伝える場合は、「お聴きした」となります。このような間違いは、よく後になって「しまった」と気づく事が多いので、注意しましょう。
メールでよくある失敗と改善
初回公開日:2018年02月19日
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