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「言っていただく」の使い方と例文・敬語の種類・別の敬語表現

更新日:2024年01月20日

「言っていただく」はどのような敬語表現でしょうか。敬語の種類、使えるシチュエーションなどを挙げて、くわしく説明します。また、「言っていただく」の誤用例や、「言っていただく」が使えない場合、その時の代用できる敬語表現などもご紹介します。

「いただく」の間違った使い方

「言っていただく」の敬語部分である「いただく」間違った使い方をされることが多いので、例文を用いて説明します。

よく耳にするのは、「~させていただきました」のような表現です。これは、誰かに何かをさせてもらう=誰かから何かをする許可をもらう、という意味で使われることが多く、これ自体は使いどころを間違えなければ正しい敬語としてつかうことができます。

しかし、相手からの許可が要らない場合などに「させていただく」を用いると、「そちらの意向に関係なく~する」という意味で伝わってしまうことがあるので、「提出させていただきました」や「辞退させていただきます」といった用例は不適切です。

また、「拝見させていただきます」などのように、謙譲語+「させていただく」は、謙譲語を重複して使う、二重敬語の扱いになります。「させていただく」を謙譲語と一緒に使わないように注意しましょう。

「言っていただく」の別の敬語表現

「言っていただく」と似た表現がいくつかありますが、使われているものの中には、誤った表現も多々あります。間違っているとされているが実は正しい使い方などもあり、判断するには敬語の知識が必要です。

おっしゃっていただく

「言っていただく」に似た表現として、「おっしゃっていただく」という表現をよく耳にします。これは、二重敬語にあたるので間違いだと認識されることが多いですが、実は正しい言い方です。

二重敬語とは、一つの表現に、同じ種類の敬語が重複してつかわれることを言います。「おっしゃる」というのは「言う」の尊敬語で、「いただく」は謙譲語。敬語が同時に使われていますが、異なる種類の敬語であれば、二重敬語にはなりません。敬語の方向性が違うので、重複した意味にはならないということです。

「言っていただく」の「言う」の部分を尊敬語に変えただけの表現ですので、「言っていただく」よりも丁寧な表現になります。

二重敬語について浅い理解だと間違いを招きますし、「おっしゃっていただく」が正しい敬語だと認識していても、二重敬語自体を知らなかったとなると、他に誤用をまねくことになってしまいますので、注意が必要です。

「言っていただく」と「言ってくださる」

「言っていただく」について説明してきましたが、同じようなシチュエーションで「言ってくださる」という言葉を使うことがあります。一見どちらも言い換えが可能なように見えますが、実はきちんとした使い分けがあります。

「いただく」というのが「もらう」の謙譲語であるのに対し、「くださる」という言葉は「もらう」の尊敬語です。「(わたしがあなたに)もらう」と、「(あなたがわたしに)くれる」の違いからも判断できるように、「言っていただく」と「言ってくださる」とでは動作主が違います。

さきほども述べたように、「いただく」は「こちら側が相手に依頼して」というニュアンスを含みますが、「くださる」は「相手が進んで行ったことでこちらが恩恵を受ける」という感じが強くなります。例えば、「書類を送ってくださりありがとうございます」よりも、「書類を送っていただきありがとうございます」のほうが自然だと言えます。

「言う」の敬語表現

「言っていただく」という表現は、これまで紹介してきたように、使われる場面が比較的限られています。こちらから言うことを依頼したり、相手がそれを言うことでこちらに恩恵がある場合に使うのが適切な敬語表現だからです。

しかし、「言っていただく」以外で「言う」の敬語を使いたい場面は他にもあり、それぞれ使い分けを知る必要があります。どのようなものがあるのか、簡単にご紹介します。

「言う」の尊敬語

「言う」の尊敬語は「おっしゃる」です。「先生が、今日の授業は自習だと言った」という例文を用いて、考えてみましょう。

単純に尊敬を表すときは、「先生が、今日の授業は自習だとおっしゃいました。」で結構です。これを「言っていただく」を用いて、「先生に、今日は自習だと言っていただきました。」と言ってしまうと、自習にしてくれとこちらが頼んだような言い草になります。

他にも、尊敬の助動詞「れる」「られる」を使った表現で、「言われる」という尊敬表現もありますが、「れる」「られる」は、尊敬以外にも可能や受け身といった意味で使われる表現です。

「先生が、今日の授業は自習だと言われました。」だと、文自体は誤りを含んでいませんが、先生が言ったのか、先生が誰かにそう言われたのか、判断がつきにくくなってしまいます。意味の取り違いを防ぐためにも、「おっしゃる」を使った方が良いでしょう。

「言う」の謙譲語

「言う」の謙譲語は「申す」「申し上げる」です。謙譲語ですので、「言っていただく」との使い間違いをすることはないでしょうが、動作主はあくまで自分側であることには注意しましょう。自分の名前を言うときなどに、「~と申します。」という表現を使う機会もあり、よく使われる敬語のうちのひとつだと言えます。

「言っていただく」を正しく使いこなそう!

これまで説明してきたように、「言っていただく」は、相手に何かを依頼して、もしくは相手が言うことがこちらの恩恵になる場合に使われる敬語表現です。依頼して恩恵を受ける立場の者として、相手に対する敬意をただしく伝え、失礼のないようにしなければなりません。

ビジネスシーンでは、敬語の使い方を間違えることが命取りになることもあります。逆に正しく敬語を使うことで気持ちのよい商談をすることもできます。同僚や上司、ビジネスパートナーなどと円滑に仕事をしていくために、社会人としてしっかりみにつけておきたいマナーです。正しく使いこなせるようになりましょう。

初回公開日:2018年03月28日

記載されている内容は2018年03月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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