「言っていただく」の使い方と例文・敬語の種類・別の敬語表現
更新日:2024年07月03日
敬語「言っていただく」の意味
「言う」は普段の会話でもよく使う表現です。敬語表現もいくつかの言い回しがあるので、ビジネスシーンでは、適切なものを選んで使えなければなりません。「言っていただく」という表現も、よく使う敬語表現のうちのひとつですが、「言っていただく」という敬語は正しい言い回しでしょうか。また、他にどのような言い方があるのでしょうか。敬語の種類や例文を用いて、詳しく説明してきます。
尊敬語
「言っていただく」の正しい使い方を理解するには、まず敬語について、尊敬語と謙譲語の知識を知っておかなければなりません。どちらも相手や話の中心人物に対して敬意を表す表現ですが、尊敬語と謙譲語では使い方がかなり異なります。
尊敬語とは、相手の立場を高める敬語表現で、相手の動作やものを表す言葉のことを言います。「来る」の尊敬語「いらっしゃる」や「食べる」の尊敬語「召し上がる」などのように、相手が動作主である動詞の形が変わります。「お~になる」などの尊敬語もあります。
謙譲語
これに対し、謙譲語は自分や自分側の人がへりくだることで、相対的に相手の立場が上がる表現です。先ほど尊敬語で紹介した「食べる」の尊敬語は「召し上がる」ですが、自分がへりくだる謙譲表現では、「いただく」になります。尊敬語と謙譲語を使い分けには、動作主が誰なのかに注意しましょう。
早速「いただく」が出てきましたが、「言っていただく」の「いただく」は、当然「食べる」の謙譲語ではありません。敬語の種類、意味が何になるのか、詳しく見ていきましょう。
「言っていただく」の使い方
では、「言っていただく」の敬語の種類はどちらでしょうか。具体的にご紹介します。
敬語の種類
「言っていただく」は「言う」という動詞に「いただく」がついた形です。「言う」は活用していますが、これ自体に尊敬の意味はなく、「いただく」が謙譲語ですので、必然的に「言っていただく」も謙譲表現になります。
この「いただく」は、「もらう」「食べる・のむ」の謙譲語として使われますが、この場合は、動詞の連用形を受けて、その動作で自分が恩恵を受けるという意味を付加する補助動詞として使われています。
「もらう」にも似たような意味があり、「言ってもらう」と言い換えても内容は同じですが、謙譲語である「いただく」を使うことで、より相手に敬意を表した言い方になります。何かを言ってもらうことでこちらが恩恵を受けるのですから、ほとんどの場合で「言ってもらう」よりも「言っていただく」の方が適切な表現になるでしょう。
「言っていただく」の使い方
「言っていただく」の使い方としては、「言う」の動作主が敬意の向かう先であることを確認しなければなりません。「先生に褒めていただきました」などの例文からも分かるように、謙譲語「いただく」がついている動詞「ほめる」の動作主は、相手になります。謙譲語だからと言って、安易に動作主が自分だと決めてはいけません。
また、「いただく」は「もらう」の謙譲語の意味がありますので、「自分から依頼して」というニュアンスを含みます。「言っていただく」をより深く理解するために、「言ってくださる」との比較を説明する必要がありますので、後ほど「くれる」と「もらう」の違いを用いて詳しく説明します。
「言っていただく」使えるシチュエーション
使い方で紹介したように、「言っていただく」は、こちらがのぞんで相手に言ってもらう時に用いる表現です。そして、「自分が依頼したことをやってもらう」という文脈が含まれることもあるので、「受付でお名前を言っていただいて、~」などの例文が考えられます。
この場合、名前を言うのは相手、そして言うことを依頼しているのが自分ですので、「言っていただく」を用いた適切な使い方と言えます。
ただ、この例の場合も、「お伝えいただく」などの表現の方がよく聞く表現ですので、「言っていただく」以外の言い回しが考えられることも多いです。
敬語「言っていただく」の例文
「言っていただく」をつかえる例文はどのようなものがあるでしょうか。例えば、「先生に~と言っていただきました。」この場合、先生が言ったことによって恩恵を受けるというよりは、先生に言ってもらったことがありがたい、というニュアンスです。
逆に、相手が先に述べた案件について後から説明を加える場合などに、「先ほど言っていただいた件ですが」のような例文を用いるのは不適切だと考えられます。相手が述べたことが、何かのオファーなどの、こちらに利益のある内容であれば別ですが、そうでもないかぎり、「先ほどおっしゃっていた件」で充分です。
「言っていただく」は限定された条件下でしかつかえないので、「言う」の敬語表現についても、後ほどまとめて説明します。
初回公開日:2018年03月28日
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