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「中納言参りたまひて」の敬語の向き・敬語表現と現代語訳

更新日:2024年08月07日

この記事では、清少納言が書いた枕草子「中納言参りたまひて」に出てくる敬語についてまとめています。誰から誰への敬語なのか、また敬語の種類や品詞分解、さらには敬語の現代語訳まで詳しく解説します。主語のない敬語が続きますが、一つ一つ見ていきましょう。

「中納言参りたまひて」とは

「中納言参りたまひて」は、平安時代の作家である清少納言が書いた「枕草子」の一つです。「中納言参りたまひて」は、学校で習う方も多いですが、主語のない敬語が多く、敬語の向きや文意が読み取りにくいという特徴があります。

誰から誰への敬語なのか、また敬語の種類や品詞分解、さらには敬語の現代語訳まで詳しく解説します。主語のない敬語が続きますが、一つ一つ見ていきましょう。

「枕草子」について

「枕草子」は、平安時代に中宮定子に家庭教師として仕えていた清少納言が書いた随筆です。随筆とは、筆者の経験や感想をまとめたものでエッセイとも呼ばれます。「中納言参りたまひて」はその中の一つの章です。

文章の種類が3つあるとされ、「~は」や「~なもの」などで始まり、そのテーマに当てはまるものを列挙していく「類聚章段(るいじゅしょうだん)」、日常生活や式の自然を観察した「随想章段」、筆者の出仕した中宮定子の周りの宮廷社会を振り返った「回想章段/日記章段」から成り立っており、「中納言参りたまひて」はこれに含まれます。

登場人物は多く、当時の宮廷に出入りしていた人のほとんどです。筆者である清少納言はもちろん、彼女がつかえていた中宮定子、時の天皇で定子の夫であった一条天皇、そして定子の家族が主に登場します。

「中納言参りたまひて」のあらすじ

「中納言参りたまひて」は、定子の弟である藤原隆家が清少納言たちに、「珍しい骨を手に入れた」と自慢しに来ることで始まります。清少納言はユーモアにあふれた人物だったので、隆家に対して「これまで見たことのない素晴らしい骨だなんて言っているけど、本当はクラゲの骨なのではないですか?クラゲに骨はないですけど。」と気の利いた言葉を返します。

隆家は、「その言葉もらった。」といわんばかりに、清少納言の言葉を自分の言葉としてしまいます。清少納言は、自慢話になってしまうので、本当はそのことを隠しておきたいけど、人々はきちんと記録しておくようにというので頭をかかえています。

「中納言参りたまひて」に出てくる敬語の向き・方向

まず、「中納言参りたまひて」を読むうえで重要なのは敬語の向きですが、予備知識として誰が誰に敬語を使っているのかを確認しましょう。

対象者

「中納言参りたまひて」の登場人物を整理すると、筆者である清少納言、清少納言が仕えている中宮定子、定子の弟である藤原隆家の3人です。この章では、藤原隆家は中納言と呼ばれています。

「中納言参りたまひて」では、定子は中宮と呼ばれ、天皇のお后様なのでこの3人の中では一番偉い存在です。よって、隆家が定子に向かってする行動は、謙譲語で書き表されています。ただし、隆家も貴族なので、清少納言は彼にも尊敬語をつけています。彼の中宮に対する行動の語尾に、尊敬語をつけています。

誰から誰へ

まず、「中納言参りたまひて」の筆者である清少納言は女房ですので、定子と隆家に対して敬語を使う必要があります。順位は中宮定子、藤原隆家、清少納言です。この2人の中でも定子が絶対的な存在ですので、隆家の行動を謙譲語で表すことによって、清少納言の定子に対する敬意を表しています。

地の文の敬語

「中納言参りたまひて」をはじめ、この物語を書いているのは清少納言なので、会話文ではない地の文に使われている敬語は、清少納言から定子、隆家いずれかに対する敬意を表しています。

「中納言参りたまひて」では、定子、隆家それぞれの行動はどちらも尊敬語で書かれています。しかし、隆家の定子に対する行動は、謙譲語と尊敬語を組み合わせて書かれています。

この場合、謙譲語は筆者から定子、尊敬語は筆者から隆家に向いています。

定子の隆家に対する行動においても謙譲語と尊敬語を組み合わせて表現しています。ただし、二人を区別するために定子には尊敬を表す二重敬語が使用されています。この場合、謙譲語は筆者から隆家、二重尊敬は筆者から定子に対する敬意です。

もちろん、清少納言自身の行動は謙譲語で書かれており、これは定子、隆家に対する敬意を表しています。

会話文の敬語

「中納言参りたまひて」の会話文での敬語は、尊敬語の場合は動作の主体を敬い、謙譲語の場合は動作をうける方を敬います。丁寧語は、話し手から聞き手への敬意を表します。

隆家の会話には、丁寧語がつかわれており、定子に対する敬意を表しています。定子の会話では敬語は使われていません。

敬語の種類

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初回公開日:2018年02月24日

記載されている内容は2018年02月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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