「お気遣いなく」の使い方と例文・メール/手紙での書き方
更新日:2024年09月18日
尊敬語・謙譲語と日本語の定型的な言い回し
学校の国語で敬語を学びますが、実際の場面で聞いたことのないような敬語に出くわしたり、勉強した敬語以外にも独自のマナーや常識があったりと、そのルールの奥の深さに驚かれた方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
日本語はそのルールや規則以外にも、「詫びさび」や「奥ゆかしさ」「謙遜」といった独特の暗黙の了解のようなものが存在します。その複雑さから、日本語は世界の中でも困難な言語のうちのひとつと言っても過言ではないでしょう。
尊敬表現と謙遜表現
日本語では「相手に対しては持ち上げる言葉を使う」「自分に対してはへりくだる言葉を使う」ことが良いとされるマナーがありそれが「尊敬語」と「謙譲語」にあたります。動詞はもちろんの事、名刺などにも反映されています。
【例】
・(尊)ご怜息様⇔(謙)愚息
・(尊)貴社⇔(謙)弊社
・(尊)能文⇔(謙)拙文
シーン別の定型の言い回し
また、実際に思っているかどうかは別として、とあるシーンで決まりきったセリフを添えるというマナーも存在します。
【例】
・つまらないもの(お口汚し)ですが (贈り物を渡すとき)
・不束者ですが (自分の子供などに使う)
「つまらないもの」としつつ実際は吟味して選んでいるし、「ふつつかな娘ですが…」と言いながら自分の子に対して本心ではないことが多いです。そんな言い回しのひとつに「お気遣いなく」という言葉があります。今回はこの「お気遣いなく」というセリフについてその意味や使い方をご紹介していきます。
「お気遣いなく」の意味
き‐づかい〔‐づかひ〕【気遣い】の意味
出典: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/52813/meaning/m0u/%E6%B0%... |
出典:デジタル大辞泉(小学館)
1 あれこれと気をつかうこと。心づかい。「どうぞお気遣いなく」
2 よくないことが起こるおそれ。懸念。「情報が漏れる気遣いはない」
「気遣い」は文字どおり相手に気を遣うことで、「お気遣いなく」はこの意をとって「気は使わないでください」「気にしないでください」というのが直接の意味になります。同じ意味ではありますが、使うシチュエーションによって少々ニュアンスは違ってきますので、あいまいにではなく、この機会に意味を理解しておきましょう。
「お気遣いなく」の使い方とポイント
「お気遣いなく」が使われるシチュエーションはそう多くはありません。あまり使う機会がないセリフだからこそ、スマートに使いこなすことができれば、相手にもマナーがしっかりしていると良い印象をもってもらうことができるでしょう。
お願いする時
「お気遣いなく」を使うシーンとして思い浮かぶのが、訪問先などでお茶やお菓子などを出されたときでしょう。日本では迎える側が訪問する側をお茶などでもてなすのが一般常識とされており、これは両者の関係にかかわらず、訪問側の確認を得ずに行われます。
そのため、この時の「お気遣いなく」は、拒絶や断りの意はなく「ありがとうございます」と同等レベルの返しと言えます。「ありがとうございます。これ以上のお気遣いは結構ですよ」といった、相手を思いやる気持ちを短く凝縮した一言です。
先回りしすぎてお茶の準備を始めた段階でこう言ってしまうと、厚かましい印象がありますので、お茶を出された時や聞かれた時など相手からアクションがあったときが、使うタイミングでしょう。
断る意味での使い方
他に「お気遣いなく」は、どういったときに使われるのでしょうか。例えば、おなかがいっぱいなのにお代わりをよそわれそうなときなど、ありがたいけれどさまざまな理由でそれを断る際の、やんわりとした日本語的な表現として使うかたもいるでしょう。
「いりません」や「送らなくてよいです」などはっきりと断ってしまうと、言われたほうは厳しく拒絶された印象を受けます。「結構です」「大丈夫です」などのあいまいな断り文句と同様、「お気遣いなく」もそのような使われ方をします。回りくどく鬱陶しく感じる方もいるかでしょうが、友人や親しい知人を除いては、自然と使えるようにしておきましょう。
初回公開日:2017年11月11日
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