頂戴するの敬語や使い方・言い換え・いただくとの違い|謙譲語
更新日:2024年07月12日
「頂戴する」は敬語?意味は?
「頂戴する」や「頂戴します」という言葉を聞いたことがない、と言う人は少ないでしょう。言葉としては何の違和感もありませんが、ビジネスシーンのように敬語表現が求められる状況で使うことは正しいことなのか疑問に思われることもあります。
「頂戴」だけを用いて「ちょうだい。ちょうだい。」と言うセリフもあることから、丁寧さに欠けるのではないかという意見も存在します。それでは「頂戴する」は、敬語として使えるのかについて、意味を踏まえた上でご紹介していきます。
「頂戴」の意味
「頂戴する」の主体となっている言葉「頂戴」の意味からお伝えしますが、この「頂戴」という言葉には3つの意味があります。
1つ目は「もらうこと・もらって飲食すること」のへりくだり表現としての意味で、ニュアンスとしては「もらう」の謙譲語「いただく(頂く)」と似ています。口頭で用いる時には「ちょうだい」の「だい」部分にアクセント(強調)を付けて使います。
2つ目は「与える・売る」の命令形である「与えて・売って」の意味です。命令系ではありますが、そこには親しみが込められており、主に子どもや女性が用いる言葉遣いになります。例えば「それを売って頂戴」というセリフでは、正に命令形の意味で用いられています。口頭で使う時には「ちょうだい」の「うだ」部分を強調します。
3つ目は「顔の上に捧げ持つこと」という意味です。「もらう」の謙譲語は「いただく」ですが、漢字で書く時には「頂く」の他に「戴く」と書くこともできます。すなわち「頂戴」は「いただく」の読みと意味を持つ2つの言葉で成り立っているため「顔の上に捧げ持つ」=「目上から何かをもらうこと」に対して、敬意を示した言葉としても使用できます。
「頂戴する」の成り立ち
上記の意味を持つ「頂戴」に、動作を示す「する」が付くことで「もらう気持ち・もらいたい気持ち」でなく「もらった・もらうこと」が表現されます。
「ちょうだい、ちょうだい」や「それを売って頂戴」という表現では「それが欲しい(もらいたい思い)」が表されていますが、動作を示す「する」を付けると「もらった」ということになり「もらいたい」ではなく「もらう」が現に起こっている状況を表すことができるようになります。
敬語?
では「頂戴する」は敬語なのか、という疑問について見ていきましょう。敬語としての扱いになるためには、言葉を成り立たせる単語の中に尊敬語や謙譲語が存在していることが求められます。
丁寧語も敬語ですが、尊敬語や謙譲語と違って誰にでも使用できるため、敬語なのかという疑問を持つ必要がありません。そのことから「これは敬語なのか」という疑問解決にあたっては、省かれることが多いです。
本題に戻りますが「頂戴する」を成り立たせる「頂戴」と「する」では「頂戴」が「もらう」の謙譲語としての意味を持っています。そのため「頂戴する」は「もらう」の謙譲語として使うことができる言葉ということになります。
「頂戴する」の敬語表現とは?
「頂戴する」は「もらう」の謙譲語に当てはまることが分かりましたが、尊敬語や丁寧語に関してはどうなっているのでしょうか。
尊敬語
「頂戴する」は謙譲語なので、尊敬語としては使いません。尊敬語で「もらう」ことを表す時には「お受け取りになる」や「お納めになる」を用います。
「もらう」の尊敬語では「目上の人がもらうこと」を表すため、「お受け取りになる」や「お納めになる」を敬語抜きで言うと「(目上の人が)受け取った」になります。自分が「もらう」ことではなく、目上の人が何かを「もらう」時に尊敬語で表します。
謙譲語
「もらう」の謙譲語は「自分がもらうこと」を表す時に使用します。基本的に、謙譲語は尊敬語と同じく、目上に対して使用します。ただし、尊敬語は目上の言動を表す時、謙譲語は自分の言動を表す時に用いることは忘れないようにしましょう。
「もらう」の謙譲語は「頂戴する」でも問題ありませんが、場合によっては「いただく」「賜わる」「拝受する」を用いた方が良いこともあります。これら「頂戴する」の言い換えについては、後ほどお伝えします。
丁寧語
丁寧語は丁寧な言葉遣いのことで、その言葉には尊敬語や謙譲語が含まれません。「頂戴する」を丁寧語にする時には「頂戴」を抜いて「もらう」を用い、そこに「ですます調」を付けて「もらいます」になります。
丁寧語は基本的に、同等や目下に対して使用します。しかしながら目上の人に対しても、二重敬語の問題などで使う時があります。「もらいます」のように短文で用いる言葉では、基本的に同等や目下に用います。
「頂戴する」の使い方
初回公開日:2017年10月31日
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