敬語「お送りする」の意味とは?使い方・例文・注意点を解説
更新日:2024年06月23日
敬語「お送りする」の丁寧表現
最初に「お送りする」は「送る」を「お~する」の形に変化させた謙譲語であると説明しました。
一言に「お送りする」といっても日本語は変化が多く、「お送りします」「お送りいたします」と言い切りの形が変化します。ここからはこの変化についてさらに詳しく解説します。
「お送りします」
「お送りする」の「する」を「します」としてさらに丁寧語に変化させた形です。
敬語を使うには言葉を向ける先を考える必要があります。
「お送りする」は、まず「お~する」に変化させて自分の行動自体をへりくだっていっていますが、「する」のままでは相手に向ける表現としては間違いです。
例えば自分だけが見る手帳などに「先生をお送りする。」と書くのであれば自分に向けている言葉であるため敬意は必要ありません。
言葉として声で発して伝える相手がいるのであれば、敬語を使いたい場合は「先生をお送りします。」とするのが正しいです。
複雑な部分ですが間違わないようにしましょう。
「お送りいたします」
「お送りいたします」は「する」を丁重語の「いたす」にした、丁寧語よりさらに敬意の度合いが高い言葉です。
丁重語の「いたす」を使うことで自分の行動をへりくだって伝えることで相手を立て、同時に相手へ向けた言葉としても丁重な表現になっています。くわえて丁寧語の「します」を足しています。
謙譲語の種類のうちの一つである丁重語と丁寧語の複合です。二重敬語ではなく正しい表現です。これは二重敬語が例えば丁重語と丁重語というような同じ意味の言葉が重なった場合を指すためです。
「~~いたします」は丁重な表現であるためビジネスシーンにふさわしく、よく使われますが、多用すると固い印象になりすぎることもあるので注意しましょう。
敬語「お送りする」の注意点
よく使える便利な敬語の「お送りする」ですが、使うにあたっての注意点も存在します。
ここからは敬語「お送りする」をより正しく使う場合の注意点を細かく見ていきましょう。
「お送り致します」とは書かない
「お送りいたします」を「お送り致します」とした場合は間違いになります。
これは「致す」が補助動詞として使われ、本来の意味では使われていないからです。
本来「致す」には「届くようにする」または「結果を引き起こす」などの意味しかないため、単体では謙譲語ではありません。
別の単語とつながって文章中に出る場合のみ本来の意味ではなく補助動詞として扱われます。そのため敬語として「~いたします」と使いたい場合はひらがな表記にします。逆に動詞として使う場合は「致す」と漢字で表記するという決まりがあります。
「お送りいたします」という表記が正しいので間違わないようにしましょう。
「送らせていただきます」「お送りさせていただきます」は本来は許可が必要
よく見かける表現として「送らせていただきます」・「お送りさせていただきます」があります。
しかしこれは不自然です。「送る」に「~させていただく」を足していますが、本来「~させていただく」を使うのは、自分が相手に対して行うことに相手の許可を得て、自分がその恩恵を受ける場合です。
例えば「仕事を休ませていただく」であれば自分が休むことに会社なり上司なり休むことに対する許可が必要で、その許可があることで実際に仕事が休めるので自分に恩恵があります。
「送る」という行動を取るのに相手の許可が必要ないかというと疑問が残り、完全に誤りであるとも言い切れません。しかし文脈に左右されたり、誤りであると感じる人もいたりするため、「お送りします」・「お送りいたします」とする方が無難です。
「送らさせていただきます」は誤用
日本語の文法には活用形があります。文法から見て正しいのは「送らせていただきます」です。
「送らせていただきます」は、動詞「送る」+助動詞「せる・させる」+接続助詞「て」+動詞「いただく」+丁寧語「する」5つの言葉が合わさっています。この言葉を合わせるときには正しい形があり、法則があります。これを活用形と言います。
「送る」「いただく」は動詞で、この活用形は他動詞五段活用です。
また「せる・させる」は助動詞で、他の何かの動作をさせる場合に使う言葉です。「送る」と「いただく」をつげるために使っているのでこの場合は接続詞になります。
「せる・させる」を接続詞として使う場合、動詞は必ず未然形でしか接続できません。また「せる」は五段・サ変動詞に、「させる」は上一段・下一段・カ変動詞に使われます。
「送る」は他動詞五段活用であるため、未然形は「送ら」。五段活用であるため使う接続詞は「せる」です。ここからさらに助詞につなげるため、「せる」、「いただく」を連用形に変形し「せ」+「て」+「いただき」+「ます」となります。
このため日本語の文法から見て正しいのは「送らせていただきます」です。
活用を間違う不安があるのであれば「お送りします」か「お送りいたします」を使う方が無難です。
同僚・目上の人・取引先などで使い分ける
もともと「お送りする」とした時点で謙譲語に変化しているため敬語表現です。
しかし「お送りいたします」とした方が敬意の度合いが高いので使う相手によって使い分けるのが望ましいです。
同僚や親しい上司であるば問題ありませんが、目上の人・取引先などであれば「お送りいたします」を使うのが無難です。
敬語「お送りする」の英語表現
初回公開日:2018年02月19日
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