表千家と裏千家の違い・どっちが有名か|道具/作法/点て方
更新日:2024年09月13日
裏千家とは
一方、宗旦の死後、宗旦が隠居生活をしていた「今日庵」を継いだのが、四男仙叟宗室(せんそうそうしつ)でした。今日庵は、本家の象徴である「不審庵」の裏手にあったため、宗室の系譜は裏千家として続いていくことになります。
武者小路家とは
また、茶道の道から離れていた次男一翁宗守(いちおうそうしゅ)も、のちに漆屋から戻り、不審庵、今日庵から少し離れた武者小路通りに茶室「官休庵」を作り、自身の茶道を追求することになります。
これが、武者小路家の始まりとなりました。
表千家と裏千家 有名なのはどっち?
こうして三家に分かれた千家ですが、現代の知名度はどうなっているのでしょうか。
やはり「千家」の名前がそのまま使われている表千家と裏千家は、武者小路家よりも知名度は高く、名前を聞いただけでお茶の家元だとわかる方も多いでしょう。さらに、表千家より裏千家のほうが茶道に詳しくない方でも、耳にする機会が多いのが現状です。
たとえば、国賓の方が来てお茶をたてる、となると招かれるのは裏千家です。ニュースなどでも裏千家の名前をよく聞きます。実は、表千家の16代、千玄室さんに、三笠宮崇仁親王の次女容子内親王が嫁ぎ、両家は親せきになっています。そうした関係も、表舞台で目にする機会に差が出ていると考えられます。
流派によって道具の違いはあるの?
それでは、流派によってお手前で使う道具に違いはあるのでしょうか。代表的な表千家と裏千家で違いを見てみましょう。
まず目につくのは袱紗です。女性が使う基本的な袱紗は、表千家は朱色、裏千家は赤色です(男性はどちらも紫色)。また濃茶の時の袱紗の大きさも変わります。
さらに茶筅にも違いがあります。表千家は煤竹で作られた茶せんを使いますが、裏千家は白竹を用います。また、お茶菓子をいれる菓子器も、表千家はふたつきの喰籠を使い、裏千家はふたを使わない鉢を使用します。
比較的、表千家はシンプルなものを、裏千家は現代的、華やかなものを使う傾向があげられます。
表千家と裏千家で作法はどう違う?
もちろん、両家では作法も違います。作法の違いは多く、ここですべてをご紹介することはできませんが、いくつか作法の違いを見てみましょう。
まずは歩き方です。部屋に入るとき、表千家は左足から入り、裏千家は右からと決められています。さらに、畳一畳を何歩で歩くかなど、歩き方の所作には細かい決まりがあります。
立ち上がるときも表千家は両足をそろえて一度に立ち上がりますが、裏千家は片足を立ててから立ち上がります。ほかにも、道具の使い方でも両家に違いがあります。例えば、袱紗を腰から抜く時に表千家は袱紗を三つ折りに、裏千家は二つ折りにします。
ひとつひとつを比べていくと、数えきれないほどの違いがありますが、それぞれの作法によって決められた所作はとても美しい立ち居振る舞いとなり完成されています。
お茶のたて方にも違いがある?
主人がお客さまにお抹茶を立てる一連の動作を「お点前」と言いますが、この稽古にあたる「割稽古」だけでも、各流派にたくさんの数があり、作法の違いを細かく言い切るのは難しくなりますが、それを踏まえたうえで、いくつか確認してみましょう。
まず目につくのはたてられた抹茶の状態です。表千家では、あまり泡立てずに丸い泡がたっているところに、三日月のような泡のないところが浮かぶくらいのたて方がよいとされています。
一方、裏千家ではよく泡立ち、まるでカプチーノのようなたて方がよいとされています。そのため、裏千家のお茶は泡によってまろやかな味わいになり、表千家はお茶の味が強く感じられます。
さらに、お客さまにお茶を出す時、表千家は反時計回りに2回お茶碗を回しますが、裏千家では時計回りに回します。細かい違いは多々ありますが、表千家のお点前は自然で流れるように、裏千家はメリハリの利いたお点前という印象です。
お茶を始めるならどの「千家」?
ここまで、表千家と裏千家の違いをいくつか見てきました。実際に、これからお茶を始めるならどちらの家ものがおすすめなのでしょうか。
表千家は本家の流れをくんでいるためか、伝統を重んじ、比較的保守的な雰囲気があります。一方で、裏千家は伝統を重んじつつも、新しいやり方をどんどん取り入れていく風潮があります。また、裏千家は積極的に茶を広めたことから、ドラマなどで使われることも多く、学校の茶道クラブなども裏千家を取りいれているところが多くなっています。
すそ野が広く、始めるきっかけは裏千家のほうが作りやすい環境にあるでしょう。しかし、表千家、裏千家ともにそれぞれの個性や特徴があり、どちらも茶道という日本文化を担ってきたことに違いはありません。
自分に合った流派を見極めよう
初回公開日:2018年03月13日
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