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シャチとはどういった生物?知能の高さや生態についても紹介

更新日:2024年11月21日

シャチは水族館の人気者ですが、知能の高さや何歳まで生きるのかなど、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。本記事はシャチの知能の高さや群れでの生活の様子を紹介しています。水族館では見られないシャチの姿を知りたい方はぜひチェックしてみて下さい。

狩りは隊列を組んで効率的に行う

先ほど、シャチは「獲物によって狩りの方法を変えている」とご紹介しましたが、狩りにおいては、他にも知能の高さが活かされている行動があります。シャチは、隊列を組み換えながら進むことで、速度を落とさずに敵へ向かっていくことができるのです。

シャチは狩りを行う際に、群れの中でさらにグループを作ります。そして先頭を泳ぐグループが疲れてしまったら後ろについていたグループが先頭に来る、といったように隊列を組み換えながら進んでいきます。このような協力プレーによって体力を温存し、獲物に挑むのです。

人間との関係について

自分よりも大きな獲物でさえ捕食してしまう「海の王者」シャチですが、人間のことは獲物と見なしてはいないと言われています。そのため、水族館のショーでも人間の指示に従って芸をすることができます。

人間とシャチの交流は、約60年前に初めて捕獲に成功したことから始まりました。それまではシャチのことを海の危険な生物としか認識していませんでしたが、研究が進められるうちに、人間を襲わないことや人懐っこいことが分かり、現在のように多くの人から愛される人気の海洋生物になりました。

しかし、シャチには危険な一面もあります。過去に水族館で飼育されていたシャチがトレーナーを溺死させてしまった事故もあるからです。シャチはただ遊んでいただけという説もありますが、本来のシャチの強さを忘れてはいけないことを痛感されられた事故となりました。

このような事故を受けて、水族館での飼育について慎重に考えるべきだという意見もあります。シャチは広大な海を泳ぐ生物です。狭い水族館にいることでストレスが溜まり、人間を敵視してしまう恐れもあると言われています。

シャチの発声に見る知能の高さ

先述のとおり、シャチはポッドと呼ばれる群れで行動していますが、群れの仲間とコミュニケーションをとる際には「コール」と呼ばれる鳴き声を使います。

コールは群れによって異なったものを使用しています。つまり、知能の高いシャチは、様々なコールを使い分けることできるのです。これは人間でいう方言のようなもので、実際に人間の方言と同様、生息区域が近いと同じような方言を持っています。

この方言は様々な役割を担っています。仲間かどうかを見極めるだけでなく、子孫繁栄の際にも役立ちます。シャチは近親との交配を避ける習性を持っているため、自分たちとは異なったコールを使う相手を選ぶことがあります。

また、この方言は、群れの中で継承されていると言われています。このような仕組みを形成して集団行動を行うことができるということは、シャチが知能の高い生物だという証拠です。

人間の言葉に反応して模倣しようとする

過去に、シャチが人間の言葉を模倣できたという報告があります。フランスのマリンランド水族館にいる「ウィキー」というシャチに「ハロー」や「ワン、ツー」、「バイバイ」といった言葉を繰り返し聞かせたところ、同じ音を発したのです。

人間が繰り返し伝えた回数は、わずか17回ほどでした。この実験結果により、知能の高さとともに模倣能力の高さを証明することができました。これにより、シャチが使う方言は後天的に身につけているという説が有力になってきました。

音声の波形が人間に近いとされる

人間の声を模倣した「ウィキー」の声は、決して人間の声とは似ていません。しかし、研究によると、シャチの音声の波形は人間のものと比べて、かなり似ていることが分かりました。

ちなみに、今回の実験で行われた模倣はあくまでオウム返しのため、決して言葉の意味までは理解できていないだろうと言われています。

シャチの生態について

ここまでは、シャチの知能の高さを中心に、狩りの様子や群れでの生活、言語についてご紹介してきました。ここではシャチのその他の生態について、ご紹介します。

シャチは環境に適応する能力も高いため、世界各地の海に生息することが可能で、中には河口域で生息するシャチもいます。泳ぐスピードは時速約50kmと非常に速く、1日で100kmほど泳ぐこともできるほどの持久力も持っています。

先述のとおり、シャチは群れで行動しますが、母系社会のため中心となっているのはメスです。寿命も、オスは30~38年、メスは46~50年と言われており、メスの方が長いです。

また、シャチの赤ちゃんは育てるのが難しく、出産後の生存率はなんと50%です。シャチは水中で呼吸ができないため、生まれた直後から水面に上がって呼吸をする必要があります。そのため、お母さんは赤ちゃんの体を水面まで押し上げてあげなくてはいけませんが、上手くいかず亡くなってしまう赤ちゃんが多いのです。

無事、子供が育ち始めたら、狩りの練習を始めます。群れの大人たちは、子供のために練習用の獲物を持ってくるのです。ちなみに、この練習用の獲物は、殺さずに逃がす姿が確認されています。子育てにおいても、シャチの知能と社会性の高さが分かります。

シャチは高い知能を持った生物であることを理解しよう

いかがでしたか。シャチの、知能をいかした狩りの方法や優れた社会性、コミュニケーション能力についてご紹介しました。

基本的に、シャチの性格は好奇心旺盛で、人間を襲ったという報告はほとんどありません。しかし愛らしい見た目だけで判断するのは危険です。先述のとおり、シャチは群れで活動するため、高い知能を持ったイルカや、自分たちよりも大きなクジラまでも、協力プレーで捕食してしまう生物です。さらに群れに対する仲間意識もあるため、仲間が傷つけられた場合は復讐もできるのです。

シャチは、非常に高い知能を持った、まさに「海の王者」です。今後も人間とシャチが仲良く共存していくためには、シャチのことを正しく理解して正しく接する必要があります。

初回公開日:2022年09月21日

記載されている内容は2022年09月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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