「現れる」と「表れる」の意味と使い方・違い・使い分け方
更新日:2024年10月15日
「現れる」と「表れる」の意味の違いは?
「現れる」の対象は「物・人・事柄」などです。一方で、「表れる」の対象は「考え・感情・傾向」などになります。一番大きな違いは、「現れる」の対象には人が含まれますが、「表れる」の対象には人が含まれていません。例えば、「アーティストがステージに現れた」という表現では、一般的には「表れる」は使用されません。
また、「現れる」は、物理的に目に見えてわかるというニュアンスがあります。一方で、「表れる」の対象は考えや感情などで、物理的に目に見えるというニュアンスとは異なります。
「現れる」と「表れる」のややこしい違いは?
ややこしい例として、「薬の効果が現れる」という表現があります。対象は薬の効果となるので、物理的に目に見えるかというと疑問に思う方もいるでしょう。しかし、薬によって体調がよくなった場合など、効果としては目に見えてわかります。そのため、「現れる」と表現する例が多く見られます。
また、「態度に表れる」という表現を考えてみましょう。こちらは、考えや感情が態度に表れることを意味します。場合によっては、目に見えて態度でわかることもあるでしょう。しかし、物理的に目に見えるかというと、ニュアンスが若干異なります。
考えや感情が態度に表れ、他人に感知されるようになることを意味するので、「表れる」の使用例が多く見られます。
状況別「現れる」と「表れる」の使い分けは?
「現れる」と「表れる」の使い分けを、状況別にさらに詳しく見ていきましょう。使い方や例文を合わせて覚えておくと、使い分けをしやすくなります。
効果
効果の場合、「現れる」が使用される例が多く見られます。例えば、「筋トレの効果が現れる」「ダイエットの効果が現れる」「腹筋の効果が現れる」「ランニングの効果が現れる」「薬の効果が現れる」など、身近な例に置き換えるとわかりやすいでしょう。
これらは、いずれも目に見えて効果がわかることを意味しています。「ダイエットの効果が現れる」と表現すれば、ダイエットをした結果、体つきが変わったことが目に見えてわかることを意味します。「筋トレの効果が現れる」という表現でも、筋トレの効果が目に見えてわかることを示しています。
一方で、「表れる」が使用される例もあります。「表れる」は「表に出る」という意味でも使用されるので、「効果が表れる」と表現しても間違いとは言えません。例えば、「削減効果が表れる」のような使い方もあります。このように使い分けが難しいですが、一般的には「効果が現れる」の方が多いと言えるでしょう。
症状
症状も、効果と同じように「現れる」で示される例が多いです。例えば、「多くの症状が現れる」「自覚症状が現れる」「必ずしもその症状が現れるわけではない」「吐き気や嘔吐などの症状が現れる」「せきや発熱などの症状が現れる」「頭痛やめまいなどの症状が現れる」といった使い方があります。
こちらも、症状が目に見えてわかることを意味しています。例えば、「せきや発熱などの症状が現れる」と表現すれば、せきや発熱が起こっている状態が目に見えてわかることを示します。「自覚症状が現れる」という表現も、自分で症状が自覚できるくらい、症状がわかることを意味します。
一方で、「症状が表れる」と表現される場合もあります。こちらも「表に出る」という意味で、「頭痛などの症状が表れる」といった使い方があります。効果と同様に使い分けが難しいですが、こちらも「症状が現れる」の方が多いと言えます。
成果
成果も、症状や効果のように「成果が現れる」という表現が多く見られます。例えば、「練習の成果が現れる」「筋トレの成果が現れる」「トレーニングの成果が現れる」といった使い方があります。
こちらも、成果が目に見えてわかるというニュアンスがあります。「練習の成果が現れる」と表現すれば、練習をした結果、目に見えて成果が出たことを意味しています。「トレーニングの成果が現れる」などの表現も、トレーニングの成果が目に見えてわかるというニュアンスがあります。
一方で、「成果が表れる」と表現される場合もあります。「表に出る」という意味で考えると、「成果が表れる」と表現しても間違いではありません。ただ、効果や症状と同様に、「成果が現れる」の方が比較的多く見られます。
効果・症状・成果における使い分け
上で挙げたように、効果・症状・成果などは「現れる」と「表れる」が両方使用されます。これらの使い分けについて、さらに詳しく考えてみましょう。
「現れる」が使用される場合、目に見える形でわかるという意味が強調されます。「効果が現れる」「症状が現れる」「成果が現れる」などの使い方が多いのは、目に見えてわかるという点を強調したいためと言えるでしょう。
一方で、「効果が表れる」「症状が表れる」「成果が表れる」と表現する場合、目に見えてすぐにわかるとは限りません。表に出たとしても、すぐに目に見えてわかるとは言えない場合、「表れる」を使用する例があります。
非常にややこしいですが、効果・症状・成果についての例文や用例をおさえておくとわかりやすいです。
人
先ほども見たように、対象が人の場合は「現れる」が使用されます。例えば、「彼が現れた」「アーティストがステージに現れた」「救世主が現れた」「天才が現れた」などの使い方があります。
ただし、あくまで人物が対象となる場合です。人の性格や感情は必ずしも「現れる」で表現されるわけではありません。例えば、「態度に表れる」や「顔に表れる」といった表現は「表れる」が使用されています。また、「本性が現れる」というのも、「本性が表れる」と表現される場合があります。
「本性が現れる」「本性が表れる」の場合、隠れていたものが見えるようになるという意味で「現れる」を使用することができ、考えや感情などが表に出るという意味では「表れる」を使用することができます。
「現れる」と「表れる」の類語は?
初回公開日:2018年05月17日
記載されている内容は2018年05月17日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。