契約書の割印を押す場所・押す箇所と押し方|1枚/冊子/甲乙
更新日:2024年11月14日
契約書の割印を押す場所・押す箇所と押し方
今回は契約書等に押す「割印」についてです。割印の意味や必要性、どういった効果があるのかなどを説明しながら、正しい押し方や、契約書の種類によっての違いなどを解説します。
正しい知識を持って契約に望めれば、よくわからない契約を結ばされたり、不安を残しながら契約を結んでしまうことが少なくなります。
甲乙について
まずは契約書における甲・乙についてご説明していきます。契約書において、契約者を分かりやすく区別するために、甲や乙といった表記をします。
この甲と乙などは、契約者のどちらかが甲になるといった細かい決まりはありませんが、不動産の取引の場合は、物件の所有者が甲で借主が乙、金銭貸借契約も貸主が甲、借主が乙となる場合が多いようです。
契約書にその都度、契約者名をフルネームで書いていては、契約書の紙がどんどん増えていくので、昔からこのスタイルで一貫しているのが、日本における契約書です。甲・乙の他に、丙など三者間取引の場合は区別の種類が増えます。
印鑑を押す種類について
本題の「割印」についてご説明していきます。先ほど説明したように契約書には甲や乙などといった、「誰かと誰かがなんらかの契約を交わす」といった二者間以上での取引という意味があります。
この際押される割印には、契約書の正本と副本や、原本と写しといった二枚の書類が元々一枚だった事を証明する意味がありますので、割印は正本と副本などが存在する用紙で必要な印という事になります。
この他契約書には、「契印」という複数の綴りになっている契約書のつながりを表すため(又はあとで途中のページが抜き取られたりする不正を防ぐため)に、1ページ目と2ページ目等ページ間に渡って押すものや、「捨印」という契約書の端など本来印鑑を押さない場所に押して、書き足したり、書き直したり(軽微な修正に限る)を役所などに委ねる印などがあります。
また、修正の為に文言などに直接押して、二重線を引いたりする「修正印」など、契約書に押す印鑑は多種多様です。なので、まずは印鑑を押す意味と、理由を理解していく必要があります。
1枚・複数・冊子の場合
割印を押すにあたって1枚・複数枚・冊子になっている場合はどうするのかについて説明します。割印の意味から言えば、1枚の場合でも正本と副本があればその正本と副本にまたがって割印を押す必要があります。ただし、契印(ページ間のつながりを表す)はいりません。この割印と契印が一番意味を混同しやすいので注意してください。
この意味から複数枚を要する契約書であっても、冊子タイプになっている契約書であっても、正本と副本、又は原本と写しの表紙部分の正本と副本に、またがるように押すのが基本となります。冊子タイプの場合は背表紙同士に押す場合もありますが、当事者間の理解があれば特に問題はありません。
繰り返しますが、割印と契印は似ているようで意味は全く違いますので、取り違えないように注意が必要です。
賃貸契約書の割印の役割
賃貸借など
不動産における賃貸借契約書での割印の役割をみていきます。通常の賃貸借契約書は貸主(甲)と借主(乙)の他に仲介業者名や連帯保証人の欄があるのが一般的ですので、割印は契約当事者が全員押すことになります。
契約当事者とは、貸主・借主・連帯保証人のことで「中身を後日差し替えられたり、内容を変えられたりして困る人」を差します。
なので、不動産の賃貸借契約を締結する際には、同じ書類を2部用意してその2部にまたがるように割印を押すことになります。3部の場合は3部にまたがるように押しますが、不動産の契約ですと、大抵は貸主と借主が相互保管になることが通常ですので、押す場所だけ注意して押しましょう。(2枚の高さを合わせるなど、双方に印影がしっかりと写るようにします)
重要事項説明書の割印
賃貸借契約書の場合は同時に、重要事項説明書の交付も受けますが、この書類は不動産の仲介業者などが、借主と貸主の双方に説明する説明文書になりますので、割印を押さないことも多いようです。心配であれば、仲介業者と契約者で割印を押される事をしますが、通常はあまり行われません。
契約書・収入印紙の割印の位置や押し方
契約書・収入印紙の割印についてみていきます。まず収入印紙への割印ですが、収入印紙への割印は他の割印と少し意味が違います。国が税法の中で再利用を防ぐ為に押すことを義務付けているからです。なので、収入印紙の割印は消印とも呼ばれ、ペンなどで斜線を引くことでも可能です。(印鑑か署名によることとなっています)
契約書においての割印は初めにご説明したように、同じ書類が2つある証明(改ざん防止など)になりますので、内容の如何に問わず正本・副本があることを証明するための印鑑となります。
双方など
通常の契約書においての双方とは、甲や乙などの当事者間の事を表します。なのでこの双方が契約書に捺印しますが、割印は正本・副本が存在する書類のみに適用されます。
収入印紙への割印は例え当事者が何人いても、意味が「再利用の禁止」なので、誰か一人が署名又は捺印すればよいとなっています。
ここでひとつ、印鑑や署名に関する意味を説明しておきます。契約のときは「署名・捺印」と、「記名・押印」という表記がなされる時がありますが、これは全然意味が違います。署名は「本人が自筆で書く」ですが、記名は「本人以外が書く」となります。又捺印と押印は諸説ありますが、捺印が本人・押印が他人と分けられている場合もあるようです。
一番問題なのは「記名」で、これだけの書類だと、裁判などで効力を発揮出来ない書類とされてしまいます。なので、契約書作成の際は署名・捺印を基本とした上で、割印や契印などをしっかり行うようにすることが大切です。
契約書の割印を失敗した時の対処法
これまで、契約書についての割印の意味や押し方の説明は出来ましたので、次に押し間違えてしまった時の対処方法についてみていきましょう。
人間ですから、間違えてしまうことはあります。特に普段押し慣れていない印鑑を押す時のミスは誰にでもありますので、割印を失敗した時について説明します。
失敗の仕方にもよりますが、片方(下半分など)が鮮明でもう片方が不鮮明の場合は、別の場所にもう一度押し直せば大丈夫です。上半分もなんとなくは写っているという場合は、相手方と相談にはなりますが、二重線を引いてから他の場所に押し直すこともあります。
しかし、二重線は加筆といって、修正が後から加えられた証明にもなりますので、2部の書類の同一性を証明するものとしては弱くなってしまいます。極力ペンなどでの加筆はせずに、押し直しで対処しましょう。もしくは、言いにくいですが、契約書を作り直して正確に押しましょう。
袋とじの契約書の割印は表裏どっちに押すのか
初回公開日:2017年09月14日
記載されている内容は2017年09月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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