「ありがたい」の使い方｜目上の人に使える？ビジネスで失礼にならない敬語表現

先述した通り、「ありがたい」とは「あることが難しい」ことからきています。つまり、感謝の意より、申し訳ないが断るというニュアンスが強いという印象を持たれることがあるでしょう。

さらに、「ありがとうございます」の方がより丁寧な表現であるため、わざわざ「ありがとうございます」を「ありがたい」に言い換えてしまうと、他意を疑われかねません。

そのため、感謝や喜びを表現するときは「ありがたい」より「ありがとうございます」の方が双方に誤解なく、率直に気持ちを伝えることができます。

「ありがたいです」は印象が悪いことも

「ありがたいです」という言葉自体にも注意が必要です。「ありがたいです」という簡潔すぎる敬語は、とても砕けた使い方をしている印象を持たれることがあります。また、「ありがたいっす」のような若者言葉も砕けた印象はもちろん、軽視している印象すら持たれる可能性があります。

相手によっては馬鹿にしているのではないかなどと、不快に思われてしまうこともあります。「ありがたい」の使用に際しては、感謝している気持ちを最大限に表現する努力をしましょう。

「助かります」も避けるべき表現

「助かります」は「ます」がついているので丁寧になっているように見えますが、上から目線な雰囲気や、自分の都合を押しつけている印象を与えてしまうことがあります。そのため、本来は、目上の者から目下の者に対して使う言葉です。

また、「助かる」はご苦労様などと相手を労う言葉でもあります。「ご苦労様」という言葉も「苦労をかける」という労いの言葉で、目上の人に使うには適していない言い回しとなります。同程度か目下の人に対して使う敬語として、認識しておくと良いでしょう。

「ありがたい」の言い換え表現

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ここまで「ありがたい」を使う上でのルールを記述してきました。ここからは「ありがたい」の言い換えの多機能性を、ご紹介しましょう。

注意点を読んで「ありがたい」は使いにくいと感じていても、こちらの言い換えを全て頭に入れてしまえば、失礼な使い方はしなくなるでしょう。

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」は、最もポピュラーな言い換えでしょう。フランクな感謝の気持ちに敬語をつけるカジュアルな場でも使えますし、「ありがとう」＋丁寧語の敬語表現ですので、ビジネスシーンでも気兼ねなく「ありがとうございます」を使って相手に気持ちを伝えることもできます。

また、それだけでなく「誠に」や「本当に」など、前置きの一言を加えるとさらに丁寧に気持ちを伝えられる言葉となります。感謝の気持ちを伝える言葉を迷ったら、まず「ありがとうございます」を使うと良いでしょう。

「ありがたい限りです」

「ありがたい限りです」は、願ってもいないとか最高にありがたいというような「ありがたい」に輪をかけた表現です。

もっぱら謝意を伝えるときに使われる感謝の気持ちを伝える言葉で、「です」の謙譲表現である「ございます」を用いることで、さらに丁寧な表現になるでしょう。

「ありがたく存じます」

「ありがたく存じます」は「ありがたく思います」をさらに丁寧にした言葉です。

「思います」でも間違いではないのですが、謙譲語の「存じます」を使うことで、より丁寧な表現を求められる場などで役立つ言葉になります。

「感謝しております」

「感謝しております」は、「ありがたい限りです」に近い表現です。こちらはストレートに感謝の気持ちを伝えるのに役立ちます。

しかし、より口語的で親しみを感じる表現でもあります。砕けすぎる印象も持たれるため、使用の際は相手を選んで使いましょう。

「恐れ多いです」

「恐れ多いです」は、「申し訳なく思うのですが」と同義に考えていただいていいでしょう。

これも「ありがたい」を単体で使わないのと同様に、「恐れ多いです」を単体で使うことは少ないでしょう。依頼や頼みごとの前につけて使うと、お願いしたいけど申し訳ないという気持ちを伝えることができます。

「光栄です」

こちらの意味は名誉に思うことで、「ありがたい」とは少し違うニュアンスです。

しかし、「ありがたい」を「光栄です」で言い換えるケースも非常に多くあります。「ありがたい」よりは、正確に気持ちが伝わりやすいでしょう。