Search

検索したいワードを入力してください

2018年01月20日

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員の位置づけは契約社員とどう違うのでしょうか。嘱託社員の定義やその給料、賞与などの他、社会保険や退職金の有無などを、実態調査の結果と照らし合わせて紹介します。また、有給休暇や副業、何歳まで続けられるかなど、関連する事項も含めて紹介します。

嘱託社員の位置づけ

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員という呼び方を聞くことがあるでしょうが、会社などでの嘱託社員という雇用形態の位置づけはどのようになっているのでしょうか。嘱託社員の定義や嘱託社員の実態などを国の統計などからみてみましょう。

嘱託社員の定義

嘱託社員に関して、法律上の定義はありません。非正規雇用労働者のなかの一つの雇用形態にあたるのですが、厚生労働省の「雇用の構造に関する実態調査」の就業形態の用語解説のなかで、「嘱託社員」は次のように定義されています。

嘱託社員(再雇用者):定年退職者などを一定期間再雇用する目的で契約し、雇用する者をいう。グループ企業の退職者を含む。

注釈として、パートタイムや臨時労働者でも、この定義にあてはまる場合は嘱託社員とする、としています。また、定年退職者などの再雇用者でも、専門的な能力を発揮して特定職種に契約を交わして従事する場合は「契約社員(専門職)」とする、となっています。

つまり、嘱託社員は定年退職などの退職者を再雇用した場合の社員が対象となるので、一般的には60歳以上の高齢者が中心になります。この用語解説では、パートタイムや派遣社員などの就業形態も定義していますので参考に紹介します。

嘱託社員の実態

一般的には60歳以上が中心の嘱託社員は、総務省の「労働力調査」によると、平成28年では約119万人で非正規雇用の約5.9%の構成比になっています。平成27年が約117万人、26年が約119万人でほとんど変化がありません。ちなみに雇用形態別の人数は次のようになっています。

●正規雇用  3367万人
●非正規雇用 2023万人
・パート   988万人
・アルバイト 415万人
・派遣社員  133万人
・契約社員  287万人
・嘱託社員  119万人
・その他   81万人

また、この「労働力調査」からは嘱託社員の年齢構成が解ります。平成28年の119万人の男女別を含めた年齢層別の人数は下表のようになります。定年退職などの退職者の再雇用者が中心の嘱託社員なので、特に男性の場合、55歳未満の構成比が極端に低いことが解ります。嘱託社員は定年退職者の再雇用者を対象として良いでしょう。

男女計(万人)男性(万人)女性(万人)
65歳以上30255
55~64歳554214
45~54歳14311
35~44歳1129
25~34歳725
15~24歳111
総数1197444

嘱託社員と契約社員の違い

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員と契約社員は、雇用期間に定めがある有期雇用契約を会社と交わしている点で、雇用形態としては同じ分類になります。嘱託社員は契約社員のなかに含まれるといっても良いでしょう。嘱託社員が定年退職などで退職した人の再雇用で高齢の人が中心であるのに対して、契約社員には若い世代から幅広い年齢層の人たちがいる違いがあります。

契約社員の定義

厚生労働省の「雇用の構造に関する実態調査」の就業形態の用語解説のなかで、「契約社員」は次のように定義されています。

契約社員(専門職):特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者をいう。

ここでいう「特定職種」の例として、科学研究者、機械・電気技術者、プログラマー、医師、薬剤師、デザイナーなどの専門職種があげられています。定年退職者の再雇用者などの嘱託社員や、パートタイム労働者、臨時労働者でもこの定義にあてはまれば「契約社員」としてカウントされます。

つまり、契約社員は特定の専門的な能力をもって専門職種に従事することを、会社と雇用期間を定めた契約を交わして従事している人たちをいいます。その専門的な能力の評価によっては契約社員でも非常に高収入を得ている人たちもいます。

嘱託社員への契約書

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員は会社と契約を交わして雇用されます。平成25年に「高齢者雇用安定法」が改正されて、会社は従業員のうち希望者全員に65歳までの雇用の機会を与えることが義務付けられました。

また、労働契約法の第20条では、「有期の雇用契約の場合の労働条件について、正社員の労働条件と比較して不合理に低いものであってはならない」という定めがあります。

嘱託社員はほとんどの場合、有期の雇用契約なので、この労働契約法第20条が示す、労働条件が正社員の労働条件と比較して不合理に低いものでないか、という点をよく確認して契約する必要があります。

契約書の記載項目

契約書の記載項目、内容には法律で義務付けられている項目などもあります。定年後再雇用社員、嘱託社員の雇用契約で必ず明示しなければならない項目には次のような項目があります。

●労働契約の期間
●就業場所
●従事する業務内容
●始業・終業時刻
●所定労働時間を超える労働の有無
●休憩時間
●休日
●休暇
●賃金の決定・計算方法・支払方法
●賃金の締め・支払時期
●退職に関する事項 ※解雇事由を含む
●昇給に関する事項
●契約更新の有無、契約更新の判断基準

また、制度を設ける場合には次のような項目を明示しなければなりません。
●退職金が適用される範囲、退職金の計算・支払方法
●臨時の賃金、賞与などに関する事項
●休職に関する事項

1週の所定労働時間が正社員より少ない場合は次の項目を明示しなければなりません。
●昇給の有無
●賞与支給の有無
●退職金支給の有無

契約雇用期間

65歳までの間、契約の雇用期間が満了になると雇用継続を希望すれば、契約の更新を繰り返すことになります。契約の雇用期間はさまざまですが、実態はどうでしょうか。

厚生労働省が3~5年おきに行なう「就業形態の多様化に関する総合実態調査」に非正規社員の雇用期間の調査があります。最新調査の平成26年の結果をみてみましょう。

雇用期間の定めのある人は88.4%で、その内訳は次のようになっています。

1ヶ月~3ヶ月未満 0.2%
3ヶ月~6ヶ月未満 0.6%
6ヶ月~1年未満  8.0%
1年~2年未満   73.4%
2年~3年未満   1.0%
3年以上      4.0%
不明       1.2%

最頻値は1年~2年未満の73.4%ですが、恐らくほとんどが1年の雇用契約でしょう。ちなみに、契約社員の場合も1年~2年未満が最頻値で62.2%になっています。

嘱託社員の給料の相場

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

一般的に嘱託社員の給料は、定年前の正社員の時と比較して5~7割程度になると言われています。労働契約法第20条では、「有期の雇用契約の場合の労働条件について、正社員の労働条件と比較して不合理に低いものであってはならない」としていますが、多くの嘱託社員の労働条件は正社員と比較して楽な条件になっていますので、給料を下げられても止むを得ないでしょう。

定年前の正社員の時と比較して仕事の内容や責任の程度などがほとんど変わらない場合についても、「嘱託社員の年収が、正社員の年収と比較して、年収ベースで2割程度減額になっていたとしても、直ちに不合理な労働条件にはあたらない」と判断した裁判例があります。まったく仕事の内容や責任の程度が正社員と変わらなくても、年収ベースで2割程度の賃金の差が許容されていることになるので、5~7割程度の年収になってしまうことに異議は唱えられないでしょう。

嘱託社員の給料の実態

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」には、いろいろな就業形態の単月収入の調査があります。平成26年9月の単月スポット調査のなかの、嘱託社員と正社員の月収の結果を下表に示します。

正社員の最頻値が20~30万円未満、嘱託社員の最頻値が10~20万円未満になっています。正社員の月収を25万円、嘱託社員を15万円とすると、嘱託社員は正社員のちょうど6割の月収になります。嘱託社員は正社員の5~7割と言われていることが裏付けられます。

嘱託社員(%)正社員(%)
50万円以上2.39.6
40~50万円未満5.313.6
30~40万円未満10.226.8
20~30万円未満34.833.7
10~20万円未満41.714.9
10万円未満5.10.2
支給なし0.10.2
不明0.50.9

嘱託社員の賞与

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員の賞与は、契約の内容によって支給の有無が決まりますし、あったとしても額は契約内容によって正社員と同じ条件とは限りません。むしろ同じ条件ということは滅多になく、寸志程度のことが多いでしょう。

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では、そのなかに賞与支給制度の調査もあります。平成26年の調査では、嘱託社員の賞与支給制度の適用率は55.7%になっています。したがって45%の人たちには賞与の支給はありません。

また、賞与の支給があったとしてもその額は正社員と同じようにはいきません。総務省の「労働力調査」のなかに雇用形態別の年収の階級別比率のデータがあります。平成28年の正社員と嘱託社員のデータを下表に示します。

嘱託社員の年収最頻帯は200万円強と推測されます。月収の最頻帯が15万円程度ですから賞与は年間20~30万円程度と推定されます。

嘱託社員(万人)正社員(万人)
100万円未満978
100~199万円31277
200~299万円35611
300~399万円19671
400~499万円9532
500~699万円7624
700~999万円3346
1000~1499万円197
1500万円以上118
総数1193355

嘱託社員の退職金

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

嘱託社員に退職金制度があるかないかも契約の内容によります。嘱託社員の多くは定年退職時に退職金をもらっている人が多いので、嘱託社員に退職金制度を設けている会社は多くはありません。

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では退職金制度の調査も行なっています。平成26年の調査では、雇用形態別の退職金制度の適用率は次のようになっています。

正社員    80.6%
嘱託社員   15.7%
契約社員   14.2%
パートタイム 4.3%
臨時労働者  7.4%
派遣労働者  10.9%
その他    12.0%

嘱託社員への適用率は低いですし、在任期間からみても退職金の額はあってもさほど多いものではないでしょう。

嘱託社員の社会保険

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

社会保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、労災保険などがあります。嘱託社員の場合には、勤務時間が正社員のおおよそ3/4以上であれば強制加入になります。実態を含めてそれぞれの社会保険をみてみましょう。

健康保険

嘱託社員でも、75歳までは健康保険に加入することが原則です。ただ、定年後再雇用で就業時間を減らした場合は、健康保険の加入の対象から外れることがあります。具体的には、次の場合は健康保険の加入対象になりません。

●従業員500名以下の企業で、嘱託社員の所定労働時間および所定労働日数が正社員の3/4未満の場合

●従業員501名以上の企業で、嘱託社員の週の所定労働時間が20時間未満あるいは1か月の所定内給与が8万8千円未満の場合

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の平成26年調査では、嘱託社員の健康保険制度の適用率は87.4%になっています。

厚生年金保険

厚生年金保険への加入は、嘱託社員の場合でも70歳の誕生日の前日までは加入することが原則です。ただし、就業時間数などから健康保険の加入の対象から外れたときは、厚生年金保険の加入対象からも外れます。

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の平成26年調査では、嘱託社員の厚生年金保険制度の適用率は82.9%になっています。

雇用保険

嘱託社員でも、64歳になった年の3月までは、定年前と同じように雇用保険料を給与から天引きされます。ただし、定年後再雇用で就業時間を減らして、週の所定労働時間が20時間未満となったときは、雇用保険料の負担はありません。

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の平成26年調査では、嘱託社員の雇用保険制度の適用率は81.1%になっています。

介護保険と労災保険

嘱託社員でも、65歳の誕生日の前日までは定年前と同じように介護保険料を給与から天引きされます。ただし、定年後再雇用で就業時間を減らして、健康保険の加入の対象から外れたときは、65歳の誕生日の前日までは介護保険料の負担はありません。

また、労災保険は、嘱託社員でも年齢にかかわらず、保険の対象となります。

嘱託社員は何歳まで?

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

「高齢者雇用安定法」によって、希望者に対して会社は65歳まで雇用の機会を与えることが義務づけられていますから、嘱託社員も65歳までは問題なく契約を更新することができます。

また、「嘱託社員の実態」の項で紹介したように、総務省の「労働力調査」の平成28年の調査では、65歳以上の嘱託社員は30万人います。65歳を超えて嘱託社員を続けるためには、どのようにすればよいのでしょうか。

無期雇用転換制度

無期雇用転換制度は、平成25年の労働契約法改正で、嘱託社員のような有期雇用社員が「繰り返し契約更新を行って5年を超えた場合には、契約期間の制限を設けない無期労働契約に切り替えることができる」制度です。例えば、60歳から1年毎の契約更新を繰り返して65歳を過ぎた時に、無期契約社員への転換を希望すれば、会社はそれを了承しなければなりません。

この制度を使えば65歳を過ぎても嘱託社員として仕事をすることができます。ただ、会社側は無期雇用契約になると会社側の都合で退職させられないなどのことがあるので、この制度には消極的です。平成27年には、この制度を対象外とすることができる有期雇用特別措置法が施行されたので、この法律の適用を検討している会社も多いと言います。

そのような背景があって、65歳を過ぎての無期雇用契約には労働条件の悪化などの待遇もありえますので、契約内容には注意しましょう。

嘱託社員の就業規則

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

就業規則には、その会社で就業するにあたって守らなければならない規則がまとめられています。常時10人以上の従業員がいる会社は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。

嘱託社員の方は、定年前までの長い就業期間中に就業規則を読む機会は多々あったことでしょう。就業規則には、始業や終業の時刻、休憩時間、休日、休暇などに関する決まり事で、「契約書の記載事項」の項で紹介したような項目についての規則などが決められています。

一般的に、就業規則のなかで特別に嘱託社員などの雇用形態別に規則が書かれていることはあまりありません。ほとんどは正社員を対象にした規則が書かれています。嘱託社員の場合は個別の雇用契約書で特別に決められたことの他は、「就業規則に準じる」というようなことが契約書内に記載されていますので、関心のある事項についてはもう一度就業規則をみておきましょう。

嘱託社員は有給休暇はとれるのか?

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

有給休暇は、嘱託社員であっても週30時間以上の労働時間であれば取得できます。雇用契約のなかの休暇の項でも決められていることなので、よく確認しましょう。

定年退職時の残有給日数も嘱託社員への継続雇用がスムースに行なわれれば、そのまま繰り越されます。たまには有給休暇を使って家族や友人と旅行などに行くのも良いでしょう。有給休暇を有意義に活用しましょう。

嘱託社員は副業可能か?

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

副業ができるかは、その会社の就業規則に定められています。副業を禁止する規則がなければ、もちろん副業をすることはできますが、禁止されていたとしても禁止する理由に法的な正当性がなければ有効なものとは言えません。

副業を原則として法律で禁止している公務員でも、地方公務員を先陣として解禁の動きが広まってきています。嘱託社員は収入も少ないので、より良い生活していくために副業をせざるを得ない状態になることもあります。正社員よりも時間的な余裕は多少あるので、この時間を活かして副業のようなことを行なうチャンスはあります。いろいろな人と相談してみるのが良いでしょう。

嘱託社員としてまだまだ活躍を

嘱託社員の給料の相場と契約社員との違い|社会保険/退職金

定年退職後の嘱託社員は、豊富な知識や経験があることからその仕事内容にあまり問題はありません。現役時代よりは収入や就業時間が減り、もっと仕事をしたいという人が多いのではないでしょうか。

定年退職後は余暇や趣味、家族とのんびり過ごすのも良いでしょうが、一億総活躍時代と言われるなか、望む人には65歳までということでなくもっと長い期間嘱託社員として活躍できるような状況になることが期待されます。嘱託社員にはまだまだ元気な人たちがたくさんいます。

←前の記事へ

【キャリア別】コンサルタントの平均年収|フリーランス/経営

【職業別】新卒の手取りの給料の平均・計算方法|2年目/14万

Latests