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2018年02月16日

派遣の交通費は確定申告するべきか・支給される割合と交渉方法

近年ではすっかり少なくなくなった派遣社員ですが、その派遣社員の待遇でも交通費に関する支給や確定申告の問題は彼らにとっても非常に気になるところです。そこで今回は、派遣社員に対する交通費支給の事情や確定申告をすべきかどうかについてを見ていきましょう。

派遣の交通費は確定申告するべきか

もはや決して少なくない存在となった派遣社員ですが、正社員に比べるとさまざまな面で待遇が抑えられていることが少なくありません。特に交通費の場合は支給してくれるところもあれば、支給すらされずすべて自己負担の場合も少なくありません。

ところで、仕事をしている身であれば毎年の初めに昨年1年分の確定申告をするという作業がありますが、派遣社員の場合、交通費の確定申告は必要なのかどうかについては悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は派遣社員と交通費にまつわる事情を踏まえたうえで、交通費の確定申告をするべきかどうかという問題について見ていきましょう。

派遣の交通費は出ないのか

派遣社員の交通費の確定申告をするかどうかといっても、まずは派遣社員の交通費が実際のところきちんと支給されるのか、それとも支給されないのか、もし支給されるとしたらどのくらいもらえるのかについての情報がないとわからないでしょう。そこでここではまず、現状として派遣社員が交通費を支給してもらえているのかどうかについて見ていきましょう。

結論から言えば、多くの場合、建前上では交通費は支給されています。ただし、正確には発生している時給に含まれているという扱いになっており、このため実質上は出ていないと感じられることも少なくありません。

もちろん、派遣契約によっては交通費が支給される場合もありますが、そのような場合は交通費を支給する代わりに時給が安く抑えられている、もしくは交通費の分も含めて時給を高めに設定していることがほとんどです。

交通費が出にくい理由(1):派遣会社側の事情

それでは、なぜ派遣社員に対しては実質交通費が出にくくなっているのでしょうか。その理由としてまず挙げられるのが、派遣社員を送り出している派遣会社(派遣元)と派遣先企業との関係が挙げられます。

派遣会社は派遣社員を送る対価として、派遣先企業から派遣料金を受け取ります。そして、この派遣料金の中から派遣会社の経費(派遣会社の人件費や広告宣伝費など)を差し引いた金額を給料として派遣社員に支給しています。

もちろん、この時点で交通費を支給するかどうかも派遣会社の判断によりますが、この際に時給に含めて支給するか、時給とは別に交通費を支給するかという選択を迫られます。そうなると、給料計算がしやすいことと経営面の事情から考えて時給に含めて支給するという形を取る場合が非常に多いです。

交通費が出にくい理由(2):そもそも義務ではない

また、派遣会社側に派遣社員に交通費を支給することが義務付けられていないという点も交通費の出にくい理由として挙げられます。派遣社員の交通費の問題と法律の関係は後ほど詳しく触れますが、実は派遣社員の交通費支給についてきちんと明記した法律の条文は存在しません。

そして、これは派遣社員に限ったことではありませんが、企業が雇用した人間(正社員やアルバイト・パート、契約社員、派遣社員など)に支給する交通費は福利厚生という扱いになります。これに関しても、特に法律で支給しなければいけないと明記されている存在ではなく、むしろ企業側が独自の判断で支給しているにすぎません。

このため、派遣会社側としてはわざわざ利益を減らしてまで交通費を派遣社員にきっちり支給しなければならないというわけではないため、結果として派遣社員に交通費が出にくくなっています。

出るとしたらいくらまで

それでは、派遣社員に交通費が出る場合は最高でいくらくらいまで支給されるのでしょうか。先ほども見たように、一般的には交通費も企業からすると福利厚生費の一環であるため、どのくらい支給するかは企業の判断によります。そのため、派遣社員に対する交通費の支給額は派遣会社によって異なってきます。

実際に派遣会社が交通費を支給する場合は、月5000円や1万円、2万円までというケースがほとんどです。もちろん、支給額の上限を超えた分は派遣社員の自己負担となりますので、紹介を受けたい勤務先が自宅から遠い場合は交通費のことは特に慎重に検討するとよいでしょう。

同一労働同一賃金法の成立で流れが変わる可能性も

ただし、ここ数年の労働情勢でよく言われるようになった「同一労働同一賃金」が派遣社員への交通費支給の事情の流れを大きく変える可能性が出てきています。「同一労働同一賃金」とは、「雇用形態に関係なく同じような業務内容に携わる人には、同じ金額を支給すること」を指しますが、このことを法的に明記した法律が2015年に成立しました。

この同一労働同一賃金法には付帯決議が設けられており、その中に派遣労働者への交通費の支給を促すことが明記されています。あくまでも付帯決議であるため法的拘束力はありませんが、それでも同一労働同一賃金法の施行の際にはこの付帯決議が機能してくることとなるため、今後派遣社員への交通費支給の事情も大きく改善される可能性があるといえます。

派遣の交通費が支給される割合

実際のところ、派遣社員が交通費を支給される割合とはいったいどのくらいなのでしょうか。

少し古いデータになりますが、2012年に一般社団法人日本人材派遣協会が派遣社員1万人を対象に行った調査によれば、通勤手当(交通費)が支給されている割合は22.2%とされており、全体の2割程度にすぎないということが公表されています。

このように明確な形できちんと交通費が支給されている割合が低いのも、先に触れた派遣会社側の事情が大きく影響していることや、法律で交通費支給が義務付けられていないことが主な原因であるといえます。

なお、この項目で触れたアンケートに関する具体的な記事は下記のリンクからアクセスできますので、ぜひ参考にしてみてください。

派遣の交通費に関する法律

先ほどから何度か触れてきている派遣社員の交通費と法律との関係ですが、具体的にはどのようになっているのでしょうか。

まず、労働者の待遇に関して具体的に明記した法律として労働基準法がありますが、ここでは労働者に対する交通費支給について明記した条文は特に見当たりません。

次に、派遣社員の待遇などについて明記している労働者派遣法について見てみますと、こちらでも派遣社員に対する交通費支給についての条文は特に定められていません。

交通費に関する裁判例はあるが

さらに、派遣についてよく話題となる雇用形態の違いを理由に待遇や労働条件に不合理な差異をつけることを禁じた労働契約法第20条との関係ではどうなるのでしょうか。実はこの条文を盾に正社員と契約社員との間で交通費支給に関して差異があるのは違法と訴えた裁判が行われたことがあります。

判決の内容は、交通費の支給は業務内容とは無関係に支給されるものということで交通費をめぐる正社員と契約社員の待遇の差は労働契約法20条に違反するという立場に立ったものでした。この事例はあくまでも契約社員の交通費をめぐるものでしたが、この点から考えても今後派遣社員をの交通費支給に関して法律で明記される余地は十分にあり得るといえるでしょう。

派遣の交通費は非課税なのか

それでは、実際に派遣社員が確定申告をした場合、交通費はどのような扱いとなるのでしょうか。

結論から先に書くならば、交通費は月10万円以内であれば非課税となります。ただし、先ほども見たように、派遣社員の交通費は時給に含まれる形で支給される場合が大半です。言い換えれば、交通費も給料のうちに入っているため、給料に対して税金が発生する確定申告の場合、交通費もまた課税の対象となりかねません。

もちろん、派遣社員の方にしてみればそのような扱いは納得できないという方も多く、このままでは泣き寝入りするしかないと考えてしまうでしょう。しかし、ある方法を使えば交通費の分を返してもらうことができます。

有効な書類である通勤交通費証明書

その方法とは、派遣会社に通勤交通費証明書と呼ばれる書類を発行してもらったうえで、確定申告の際に還付してもらうように請求することです。言い換えれば、この書類を活用して給料に対する課税分の中に交通費の分も含まれていると申し立てて、交通費に対する課税分を戻してもらうという手続きを行うことができます。

100%確実に戻ってくるわけではありませんが、何もしないよりはやってみた方がましというものといえます。

ちなみに、すべての派遣会社が通勤交通費証明書の発行に応じてくれるというわけではありませんので、これから派遣で仕事をするということであればこの証明書の発行に応じてくれるという点も派遣会社探しのポイントの1つに入れておくとよいでしょう。

派遣の交通費の年末調整の方法

完全に知られているわけではないことですが、実は派遣社員であっても年末調整をすることは可能です。ただし、その方法はといえば、基本的に派遣社員側でやれることは特にありません。

というのは、派遣社員に限らず給与所得(会社から受け取る給料)を得ている人に関してはあらかじめ給与所得控除(65万円)と呼ばれるものが設けられており、交通費もその中に含まれるためです。よりわかりやすい言い方をするならば、交通費の分も原則自動的に課税の対象から除外されているということです。

実は方法がないわけではない

ただし、派遣社員の方で交通費の年末調整が完全にできない、というわけではありません。実は派遣会社によっては交通費を非課税枠にしてくれる場合があります。非課税枠という扱いになればその分、結果として支払う税金の額も安くなり、負担も軽くなります。

この方法を用いたいということであれば、まず派遣会社側に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

派遣の交通費の交渉方法

最後に派遣社員が派遣会社に対して交通費について交渉する方法も見ておきましょう。実際のところ事例はそれほど多くないですが、派遣会社によっては交通費についての交渉に応じてくれる場合もありますので、できればこれを活用して交通費を支給してもらうようにしたいという方も多いでしょう。その際のポイントは以下に述べるとおりです。

ポイントは勤務先までの距離と評価の高さ

交通費に関する交渉をうまく運ぶ際のポイントとしてまず、勤務先までの距離が挙げられます。といっても、単に勤務先まで遠ければいいというわけではありません。

派遣社員は場合によっては、自分の希望する距離以上に遠くにある企業に派遣される場合があります。そのため、新しい派遣先が派遣会社の都合で遠いところとなったタイミングで交渉すれば有利に交渉を進めることができるでしょう。ただし、自己都合で遠い派遣先になった場合にはこの方法は通用しませんので注意が必要です。

このほかにも、普段の勤務態度や実績が優秀で評価が高いという場合でも派遣会社側に交通費に関する交渉を申し出れば、うまく事が運ぶ場合もあります。

派遣社員の交通費事情の動きはお見逃しなく

派遣社員の交通費支給にまつわる事情や確定申告について見てきました。多くの場合で派遣社員に支給される交通費は給料に含まれるため、確定申告の際には給料の分も含めて課税される場合がほとんどです。

そのため、交通費に対する課税分を戻してもらいたいということであれば、可能な限りで確定申告の際に通勤交通費証明書を派遣会社に発行してもらうとよいでしょう。

ただし、近年の同一労働同一賃金を促進する流れで、今後派遣社員の交通費支給に関する事情が大きく改善される可能性は十分にあります。そのため、今後の派遣関係のニュースからは目を離さないようにするとよいでしょう。

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