【業界研究】アパレル業界の現状・動向・課題について
アパレル業界の現状
日本がバブル景気に湧いていた時代は、それこそ海外のハイブランドをみんながこぞって買い漁る様子を見ることができましたが、その後の平成不況、世界金融危機や東日本大震災などの不景気の局面では、生活必需品以外の買い控えを行った影響でアパレル業界も不振に陥りました。
しかし、そういった世界的な不景気やパンデミックスを乗り越えて、直近では業界全体で売上を伸ばし始めています。消費者の価値観が急速な変化を見せる日本では、アパレル業界もその時々の時代のニーズに合わせる必要があります。
これまではアメリカの価値観をなぞって、大量生産大量消費を背景としたメーカーが強者として消費者を誘導する業界構造が続いていました。しかし、近年の価値観やニーズの多様化など、目まぐるしく消費者の動向が変化する影響で、商品のライフサイクルもどんどん短くなり、これまでメーカーが主導していた絶対的地位は低下してしまいました。
その中で、このような激変の時代における消費者ニーズにうまく対応した【ユニクロ】や【しまむら】などのファストファッションを展開する会社は、業界をリードするほどの有数ブランドとして市場を席巻しています。
時代のニーズにうまく合わせている上位に君臨する会社と、独自のコンセプトでブランド展開している会社とは売上規模が非常に乖離してきており、勝者と敗者が背中合わせに存在する厳しい業界になってきています。
店舗展開をしているブランドの最重要キーワードは【ファストファッション】ですが、それに対を成すほどにアパレル業界で重要なキーワードが【インターネット通販】です。アパレルをインターネットでいかに販売していくかが、アパレル業界における需要な戦略となっています。
その証拠に、携帯のファッションサイトを女性向けに運営している『girls walker』や、男性用のセレクトショップをインターネット上に集めて販売を展開しているスタートトゥデイの『ZOZOTOWN』などは、携帯での検索や閲覧を最適化することで、目を見張るほどの急成長を遂げています。
基本情報
アパレル業界の市場規模は4兆7,867億円で、全ての業界から見るとそれほど大きな市場を形成しているわけではありません。この業界で働く労働者の数は35,663人で、平均年齢は38.9歳になります。アパレル業界はそれほど給料が高くなく、かつ肉体労働の側面もあり、過酷な労働条件ということもありこの業界で働く人の平均勤続年数は12.3年と比較的短い期間になっています。
アパレル業界は従業員100名未満の企業が全体の8割にも及び、街角で小さな店舗を構えているような零細企業が大半を占める業界になります。そのため、平均年収は507万円となっていて、高い給料をもらえる業界ではないことが分かります。
仕事内容
アパレル業界の仕事は、業界の川上から川下までを細かく分解してみるとよく分かります。アパレルの原料は糸なので、糸の生産・販売をする業者、糸から生地にする生産・販売業者、生地を服にする生産・販売業者、服を販売する小売業者といった具合に原料から服にいたるまでに様々なプレーヤーが介在していることが分かります。これら全てがアパレル業界と我々が呼んでいる業界のプレーヤーです。
アパレル業界はメーカーの側面と、作ったものを売るための販売、企画、プロモーションの仕事があります。メーカーは糸や生地、服といった各セクションのものづくりを行い、販売部門がそれらを売ることになります。糸や生地と違って、服の販売には路面店が必要になるので、販売企画やプロモーションが大事になってくるので、職種は川上にいくほど幅が広がる業界になります。
職種という側面で細かく見ると、販売、生産管理、営業、店長、企画、プロモーション、商品開発、バイヤー、MDなど様々な職種があります。
業界シェア上位3位
アパレル業界のシェアはこのようになっています。
1位:ファーストリテイリング(売上高:1兆1,430億円 シェア率:23.9%)
2位:しまむら(売上高:5,018億円 シェア率:10.5%)
3位:ワールド(売上高:3,173億円 シェア率:6.6%)
このを見て頂ければ一目瞭然、ユニクロのブランドを展開するファーストリテイリングが、アパレル業界では売上もシェア率もダントツ有数を獲得しています。2位にはしまむらがランクインしていますが、ファーストリテイリングと比べると三分の1の規模になっています。3位のワールドはタケオ・キクチなどのブランドを展開する会社になります。