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【業界研究】製紙業界の現状・動向・課題について

製紙業界のここ最近をみると、原料価格の乱効果による景気の変動が大きな影響を及ぼし、安定が難しかった、というのが状況であると言えます。製紙大手各社は神の値上げを決断したものの、原料価格の高騰の影響を抑えることができず、各社ともに減収減益を記録。10年前は着実に市場規模と売上が伸びたものの、ひとつの正念場を迎えました。

製紙業界の現状

製紙業界のここ最近をみると、原料価格の乱効果による景気の変動が大きな影響を及ぼし、安定が難しかった、というのが状況であると言えます。製紙大手各社は神の値上げを決断したものの、原料価格の高騰の影響を抑えることができず、各社ともに減収減益を記録。10年前は着実に市場規模と売上が伸びたものの、ひとつの正念場を迎えました。

リーマンショックもそんな正念場のひとつの要因です。内需・輸出の紙・板紙の売上が低迷して、2010年3月決算では主要製紙会社28社の中で24社が売上高前年割れを記録してしまいました。

しかし、3年後の2013年には景気回復に伴い、企業や消費者からのニーズが活性化して、徐々に増加傾向に転じています。現在もゆるやかではありますが、製紙業界全体として売上が回復しています。

ただ、国内の紙需要はもう劇的に伸びることがない、という見解が多くあります。人口が減少する一途をたどることもあり、市場規模は縮小していくでしょう。加えて、インターネットがさらに普及して、現在では会議やプレゼンをタブレットで実施するなどペーパーレス化が進み、紙・板紙の国内出荷量は伸び悩む見通しが立っています。国内市場は成熟時にあるのかもしれません。

このような動向がある中、製紙業会を構成する各企業は海外進出を画策し、実行しています。日本製紙グループ本社はオーストラリアに拠点を置くオーストラリアンペーパーを買収しました。王子製紙は中国で工場を設立しています。加えて2010年にはマレーシアの製紙企業であるGSペーパー&パッキングを買収して、アジア進出の足がかりを築きました。

また、2014年には中国工場の稼働をスタート。ニュージーランドの製紙会社の買収を発表。海外進出の動きは、製紙業界の中でも強くなりつつあります。

現状1:基本情報

過去には原料の高騰に左右されたり、国内市場の飽和によって伸び悩みが出たりしている製紙業界ですが、業績は好調をキープしています。エネルギー価格の安定、為替の円高推移、コスト削減施策の効果など、外的および内的要因などが背景となり、業界全体の先行きも透明になり、ここ数年は順調に伸びていたのですが、最近はまた不安定な時期に突入してきたかもしれません。

トイレットペーパー、ティッシュ、コピー用紙、雑誌、本、段ボール、包装紙、特殊紙と様々なジャンルの紙が製紙業界を構成していますが、紙別に業界研究を進めていくといいかもしれません。紙の種類によって見えてくる景色が全く違ってくるのも、製紙業界の大きな特徴です。また、下記に製紙業界を構成する主要企業を対象に調査した業界データを記載しますので、業界研究に役立てていただけると幸いです。


  • 業界規模:4兆7,374億円

  • 労働者数:27,130人

  • 平均年齢:40.1歳

  • 平均勤続年数:16.7年

  • 平均年収:554万円

現状2:業界シェア上位3位

売上高は1兆3325億円。紙、産業資材、機能材をはじめ、多くの消費者や企業に密着した製品の開発・製造事業を展開しています。製紙業会でを独走する企業力、開発力、グローバル体制は特筆すべきもので、競合他社の追随を許さないほどです。


  • 売上高(連結):1兆3,473億万円

  • 経常利益(連結):704億円

  • 主要会社:王子製紙、王子ネピア、王子マテリア、王子コンテナー、王子エフテックス、王子イメージングメディアなど

  • 平均勤続年数:16.7年

売上高は1兆812億円。日本製紙と大昭和製紙が統合して2001年より持ち株会社として発足しました。「クリネックス」「スコッティ」などのブランドは消費者の間で有名で、着実に売上高を伸ばすと同時に、ファンを増やしています。ティッシュペーパーを使う人の中には「クリネックスしか使わない」と話す人もいます。企業規模も製紙業界第2位で、安定した地位を確立しています。


  • 売上高(連結):1兆524億円

  • 経常利益(連結):232億円

  • 関連会社:日本製紙クレシア、日本製紙パピリア、日本製紙木材、四国コカ・コーラボトリングなど約180社

  • 平均勤続年数:21.2年

  • 平均年齢:42.2歳

日本で初めて段ボール事業を開始した企業として知られているのがレンゴーです。段ボール製品では業界でシェアを誇り、2007年には住友商事や日本製紙グループと事業提携を実現。さらに盤石な経営基盤の構築を実現しています。

段ボールとひとことで言っても様々な種類があり、防虫型、リサイクル可能な保冷型、低摩擦型、導電性型など多岐にわたる種類の製品を開発。今までにない段ボールを開発する企画力も大きな強みです。下記に会社データを記載しますので、業界研究に役立ててください。



    • 売上高(連結) 5,231億円

    • 経常利益(連結) 153億円

    • 事業所:中央研究所、包装技術センター、全国35工場、海外52工場、7拠点

    • 平均勤続年数:14.1年

    • 平均年齢:39.1歳



  • 売上高(連結) 5,231億円

  • 経常利益(連結) 153億円

  • 事業所:中央研究所、包装技術センター、全国35工場、海外52工場、7拠点

  • 平均勤続年数:14.1年

  • 平均年齢:39.1歳

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