【業界研究】製紙業界の現状・動向・課題について
現状3:平均年収上位3位
平均年収は862万円。グループ各社で待遇・福利厚生は変わりますが、ほとんどが完全週休2日制。リフレッシュ休暇、失効年休を最大60日積み立てできる保存休暇など、王子ホールディングス独自の休日・休暇制度がたくさんあります。長く働く人も多数。魅力ある待遇・福利厚生と休日・休暇が大きな支えになっています。
平均年収は688万円。独身寮や社宅を完備。財形貯蓄や住宅資金貸付、家賃補助、持株会、福利厚生代行サービスなど、こちらも待遇・福利厚生が充実しています。休日についても、完全週休2日制、夏季、年末年始、祝祭日(本社部門勤務の場合)と充実しています。もちろん、年次有給、保存、リフレッシュ、その他特別休暇などがあります。
平均年収は671万円。製紙業界きっての待遇・福利厚生を誇る同社。スポーツ施設、保養所、独身寮・社宅、カフェテリアプラン、退職金・退職年金制度、財形貯蓄制度、従業員持株会など多くの制度があります。完全週休2日制で年間休日が122日あるなど、休日・休暇も魅力的なものがあります。
業界の動向
製紙業界内でも、特に段ボールの市場が拡大しています。国内の生産量約90%を占める企業が加盟する全国段ボール工業組合連合会の発表によると、2017年の段ボール需要予測は過去最高を実現する見通しが立っています。紙の需要は社会の経済と密接に連動すると言われていますが、2016年の見込みも前年実質日1.6%アップを実現しました。
他の紙についても、横ばいもしくは微増が見込まれています。紙に対するニーズの多様化、量の増加などが理由として挙げられますが、インターネットのさらなる普及は大きな脅威になることでしょう。多くの企業が実施する印刷枚数の軽減を推進するペーパーレスは、紙の需要減を促進する活動のひとつ。各社ともに、紙の新たな使い道を模索することが求められます。
動向1:市場動向
新聞や雑誌用の紙、包装紙、ティッシュペーパーなど、製紙業界を構成する紙の種類はたくさんあります。紙と板紙の生産量のピークは2000年の3200万トン。出版物の減少、ペーパレス化、経済の動きが鈍くなったことなどの影響を受け、生産量が少しずつではありますが減少しつつあります。
2010年頃から少しずつ回復傾向にありましたが、中国をはじめとした新興国の経済の動きが活発でなくなってきたこともあり、各社ともに伸び悩んでいる状態です。ただ、国内においては、2013年頃から景気回復に伴う企業や消費者の消費活動の活性化が進み、少しずつ売上が上昇傾向にあります。
国内市場と海外市場などを分けながら業界研究を実施すると、製紙業界の様々な側面が見えてくるかもしれません。
動向2:業界の課題
社会の動向の影響を大きく受けやすい製紙業界。外的要因で業界の勢いが大きく変わります。ここでは、その要因をいくつか紹介していきます。
まず挙げられるのが原料高。輸入原料や原料高に伴い、利益を圧迫されるケースが多々有ります。原料高がそのまま価格に反映されるだけに、値上げを検討せざるを得なくなり、実際に値上げをすると消費の落ち込みが懸念される事態に。原料高の変動と販売価格のバランスをどこで取るかは、製紙業界に属する企業にとっては避けられない課題といえるでしょう。
次に挙げる課題は海外進出です。製紙業界でも新しい市場を獲得することは各企業の命題と認識されています。しかし、製紙業界全体が他業界の海外進出から遅れていると言われており、早急な進出が重要になります。かといって、軽率な行動や戦略のミスは大きな損害につながるものです。迅速に、かつ確実に、いかに海外市場を開拓するか。そのロールモデルが少ないのは業界の大きな課題です。
最後に挙げるのがペーパーレス化。電子書籍や電子書類の登場は、これまで「印刷された紙でできた本を読む」という行動を根底から覆すものになっています。また、タブレットで商談を進めるなどビジネスシーンにおけるペーパーレス化も、製紙業界には大きな影響をもたらすと認識されています。近年は契約書もWEBで交わすなど、さらなるペーパーレス化が促進されており、製紙業界全体として対策が必須になるでしょう。
動向3:業界の今後の将来性
インターネットの台頭やペーパーレス化が進んでも、紙がなくなることはありません。ティッシュペーパーやトイレットペーパーがなくなったら?と想像すると、多くの方が「そんな生活は嫌だ!」と思う人がほとんどではないでしょうか。紙はそれほど多くの人々の生活に密着しており、大切な役割を果たしていることは間違いありません。
ただ、それに甘えていると市場規模は縮小を続け、製紙業界全体のバランスが崩れ始める、という事態が発生します。前述したように、新しいニーズの発掘、海外市場の開拓などを推進することが急務になると考えられます。