写経の書き方と見本・願文の書き方|真言宗/般若心経/供養
更新日:2024年09月07日
写経の書き方
写経をしたことがあるでしょうか。筆をとってお経を書き写すという行為は、お寺で修業をする僧侶や仏教を信仰している人がする印象がありますが、これを趣味にしている一般の方も多いです。
信仰心があるかどうかはそれほど重要ではなく、心を落ち着けて経文を書き写すこと、その行為にこそ意味があるといいます。
まずは写経のはじまりから、そして宗派別の写経について紹介していきます。写経の楽しさや魅力を知って、ぜひ趣味の一つに加えてみてください。
写経のはじまり
写経は、仏教を広く伝えるためにはじまったとされています。また、僧侶の修行や研究にもなっていました。印刷技術のない時代、お経を口頭で伝える以外の方法が写経でした。
写経の歴史は古く、すでに中国の六朝時代には行われていたとされています。それが盛んになったのが隋・唐の時代で、同じころに日本にも伝わりました。日本においては、仏教伝来とともに写経もはじまったと考えていいでしょう。
基本的な写経の方法
写経をするなら、信仰が目的ではないとしても最低限の礼節は持ちましょう。正座をし、背筋を伸ばして姿勢をよくすることを心がけましょう。
また、ただ字を書くだけだからと、テレビを観ながら、音楽を聴きながらするのはやめましょう。心を落ち着かせて静かに書くことが大切です。
小筆なので鉛筆のように持つ書き方でも構いませんが、他にも書き方があります。肘を上げる書き方と、左手を枕にしてその上に右手の肘を置く書き方です。一通りやってみて、自分に合った書き方を選んでみましょう。
普段筆で文字を書くことに慣れていない方は、鉛筆のようにするか、左手を枕にする書き方がやりやすいのではないでしょうか。
般若心経の写経
写経といえば「般若心経」というほど有名なお経です。正式には、「般若波羅蜜多心経」といいます。般若心経を写経する宗派は、真言宗・禅宗・天台宗・法相宗などです。
般若心経が写経として一般的なのは、経文が276字と短いのも理由の一つと考えられます。写経の書き方を知る入門としてやりやすく、比較的とっつきやすいお経といえるでしょう。
基本的にはお手本を見たままを書き写せばいいです。初心者の場合はなぞるための用紙を使って書き方を練習するのがいいでしょう。
1行目には何も書かず、空白にします。2行目に経題「摩訶般若波羅蜜多心経」と書きます。3行目から本文を書き始めましょう。1行に17字をおさめます。お手本を見ながら文字の大きさを調整してください。
本文が終わったら1行空けて奥題「般若心経」と書き、また1行空けて次の行に願文を書きます。次の行に写経をした日付、その次の行に住所を書きます。
法華経の写経
「法華経」にはいくつか種類があります。16種類はあったとされていますが、現存するものは「正法華経」「妙法蓮華経」「添品妙法蓮華経」の3つだけです。
この3つうち、もっとも写経に用いられているのは妙法蓮華経です。鳩摩羅什によって訳された経典です。これが有名なのは、もっとも優れた翻訳であるとされているためです。
般若心経とは異なり、法華経の経典はとても長いです。妙法蓮華経は8巻28品という長さです。書き方に迷うでしょうが、写経をするときは全てを書き写す必要はありません。まとまりごとに分けて写経しましょう。
法華経は般若心経ほど書き方が固定されてはいません。上から下まで隙間なくうめるもの、5字をひとまとまりとして、まとまりの間に隙間を設けるもの(観音経)などがあります。
正信偈を写す
浄土真宗では般若心経や法華経を唱えません。そのため写経をすることもありませんが、代わりに「正信偈(正式には正信念仏偈)」を書き写すことがあります。
正信偈とは、浄土真宗の宗祖である親鸞の著書「教行信証」行巻の末尾にある偈文(仏のおしえを韻文形式にしたもの)です。お経というより詩に近いものです。
法華経と違って長くないので、比較的チャレンジしやすいでしょう。書き方は、1行目に「正信偈」と書き、2行目から本文を書き始めます。
供養・徳を積む
写経の目的は、お経を広めることだけではありません。供養や、自分の徳を積む目的としても行われます。
平安時代末期は末法思想が流行していました。正法が失われて教えだけが残り、いくら修行しても人は救われないというものです。この時代、人々は救いを求めてさまざまなことを行いました。納経などもその一つです。平安時代末期では「平家納経」が有名です。
現代でも、先祖の供養や自分の徳を積むために写経をする方はいます。家に仏壇がなくお参りできないような場合は写経によって供養することができます。
写経の書き方の見本
写経の書き方について、基本的な形を紹介します。ここではもっとも一般的な般若心経を取り上げます。
般若心経本文の書き方については先に紹介したとおりですが、最後の願文や住所、日付の書き方について触れていきます。
初回公開日:2017年12月14日
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