「存じております」の意味と正しい使い方・類語・謙譲語なのか
更新日:2024年06月19日
「存じております」の意味と正しい使い方・例文
「存じております」は知っているの謙譲語です。謙譲語なので、本来は相手に「ご存知ですか」というように使うと誤用です。しかし、あまりにも多くの人がこの使い方をしたために、現在では「ご存知ですか」というような使い方も受け入れられています。
存じておりますでしょうか
「〇×商事をご存知ですか」と聞き「存じております」と答えるのは正しいです。しかし「存じる」は、もともと「知っている」の謙譲語です。文法的には間違いだが広く使われているために追認されています。使い方には注意が必要です。
「ご存知ですか」が一般的に受け入れられているのは、本来の意味では間違いだがあまりにも多くの人が使っているためです。「存じる」は本来謙譲語です。「存じておりますでしょうか」はあまり耳慣れない言葉です。避けた方が無難です。「知っていますか」と丁寧に聞きたい時は「ご存知でしょうか」と聞くのがいいです。
存じておりますが
「存じている」「存じておる」は、知っているという意味、既知だということを相手に伝えるための言葉です。「存じる」は謙譲語です。
「お忙しいとは存じておりますが明日事務所に来ていただけないでしょうか」「既にお持ちだとは存じておりますが、念のために再度書面をお送りいたしました」「佐藤さまには既にご理解いただいているものと存じておりますが、念のためにこちらを再度ご確認お願いいたします」などの使い方をします。
お忙しいとは
「存じている」は、そんなことは知っている、という場面ではなく相手を気づかって使う事が多いです。「お忙しいとは存じている」「ご面倒だとは存じてる」「既にお持ちだとは存じている」「ご理解いただいているとは存じている」などがよく使われます。
「お忙しいとは存じている」は相手に何かを頼むときの慣用句的な表現です。「お忙しいとは存じますが、ご足労願えますでしょうか」「お忙しいとは存じますが、ご連絡いただけませんでしょうか」などの使い方をします。
「存じております」の敬語
「存じております」は「知っている」の謙譲語です。「知っております」をへりくだって言う形の敬語です。
「存じております」と類似言葉との違い
「存じております」とは少し意味がずれますが、「思います」「推測いたします」「考えています」「認識しています」「分かっています」などが類似言葉になります。
思っております
「存じている」「知っている」はその事実が既知であるという意味なので、「思っている」よりも客観的な認識です。
「ご理解いただいていると思う」と言った場合、状況から判断して相手が理解しているだろうと思っている、という意味になります。「ご理解いただいていると存じている」というと「以前に承諾を得た」など、相手が理解を示したことがわかるような情報を知っているという意味になります。
しかし、日常会話の場合は「存じている」と言っても「思っている」と言ってもほぼ同じ意味合いで相手に伝わります。
考えております
「考えている」も、「存じている」より主観的な認識です。思う、よりも論理的なニュアンスがあります。
「ご理解いただいていると存じている」「ご理解いただいていると思う」「ご理解いただいていると考えている」は、どれも若干ニュアンスは違いますが、聞き手からすればほぼ同じ意味合いの言葉です。
主体的で論理的なニュアンスが強いので、「忙しいと考えている」「ご面倒だと考えている」など、「相手の状況を知っているが、こう動いてほしい」ということを伝えたい場面では避けた方が無難です。
相手の状況について考えを巡らせたと伝えるならば「忙しいと考えたので、こちらまで来ていただくのはやめて郵送にしました」「ご面倒だと考えたので、こちらから来ました」などの言葉が続くのが自然であるためです。
存じ上げております
「存じ上げる」は、人に対してのみ使います。「存じる」「上げる」と、敬語を二つ重ねる形の言葉であるため、人名以外に対して使うと丁寧過ぎて不自然になります。
「佐藤様のことはよく存じ上げております」「加奈子さんのことは子供の頃から存じ上げています」というように使います。「〇×商事のことは存じ上げている」「ご理解いただいているとは存じ上げている」とは言いません。
「存じております」メールでの使い方
初回公開日:2017年12月12日
記載されている内容は2017年12月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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