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「デフォルメ」の意味と「デフォルト」との違い|まんが/美術

更新日:2024年01月31日

突然ですがデフォルメという言葉の意味を知っていますか?デフォルメとは2頭身で描かれたキャラクターの事を言うわけではないんです。今回はデフォルメの本来持つ意味や語源、間違えやすい言葉との使い分けや歴史やシーン毎の使われ方について紹介します。

デフォルメの意味

デフォルメは本来フランス語の動詞であり、名詞ではデフォルマシオンといいます。意味は「変形・歪曲させる」という意味です。その方向性について限定されることなく使われる言葉です。元々の形から変わっていればそれはデフォルメと言えます。語源はラテン語の「形をくずす」という意味の言葉です。

デフォルメとデフォルトの意味の違い

デフォルメと似た言葉でデフォルトという言葉があります。デフォルトは使われる場面によって意味が変わってくる言葉で金融業界では「債務不履行」、IT業界では「既定値」などという意味合いで使用されますが、日常的に使われる場合は「初期設定」「最初から」というような意味合いで使われます。

またデフォルトは日本人がよくやる省略言葉で「デフォ」と略されますがデフォルメは省略される事がないので、会話の中で「デフォ」と言われたらそれはデフォルトの事だと認識して間違いないです。

どっちがどっちか分からなくなったらデフォルトは「変身前」デフォルメは「変身後」という覚え方をすると意味を間違えずに認識できます。

美術・絵でのデフォルメの意味

美術分野において近代美術において用いられるようになった表現方法で「意図的に対象を変形して表現する事」という意味合いで使われるようになります。「意図的に」というのがポイントで、画家の技術不足や不器用さでバランスが崩れているだけの物はデフォルメされているとは言われません。画家が意図してそうした事が美術世界におけるデフォルメ表現です。

明確な表現方法として確立したのこそ近代美術ですが、その表現自体は古代エジプトの時代に描かれた絵画にも使われているなど歴史の古い表現方法です。

空想や想像を形にした物はデフォルメとは言わない

美術の世界では、悪魔や天使、精霊などが色々な画家によって描かれていますがこれらはデフォルメ表現とは言えません。実在する物ではなく想像上の非現実的な物は元の形から変形するというデフォルメの意味と一致しないからです。

元の形があってこそ初めて変形できるのでその点には注意する必要があります。

漫画・アニメ・イラストにおけるデフォルメの意味

ここまで本来の「デフォルメ」という言葉の意味について紹介してきました。しかし日本で生活していて普段よく耳にするデフォルメはこれとはまた違う意味を持っています。

日本では美術分野で使われてきた「変形させる」という意味合いよりさらに意味を限定し「特徴を誇張する」「対象物の外見的特徴や動作をより大袈裟に表現する事」という意味合いに絞って使われる事が多いです。さらに日本では「簡略化」という意味合いが含まれる事もあります。

外見的特徴のデフォルメ表現

外見的特徴でよくされるデフォルメとして背の高さや体型、顔パーツの比率、髪型などが該当します。

顔の大きさに対して目の大きさが大きいのは日本のキャラクターに多いデフォルメ表現です。また背が低いと言われるキャラクターは同年代と一緒に立っても本当に低く描かれたりするのもデフォルメ表現と言えます。コミカルなシーンをよりコミカルにするために、わざと顔のパーツを簡略化して描くのも一種のデフォルメと言えます。

また動物などのキャラクターをデフォルメする場合、その動物の一番の特徴を意識して描かれている事が多いです。

動作のデフォルメ表現

動作ですと涙を流すシーンなどは典型的なデフォルメ表現です。

波のように流れ続ける涙や目の大きさと変わらないくらい大きな涙の大粒、泣きだす直前の目の下に溜まった涙など、その方法は作品やキャラクター、シーンによって異なりますが実際の大きさのままでは見づらくなるこれらの動作も、より大きく分かりやすく描く事で「泣いている」「泣きだそうとしている」という事をより伝わりやすくするデフォルメ表現です。

またそれ以外にも身体を早く動かしている事を表現するのに、その部位が分身したかのように描かれるのもや渦巻きのように描かれるのも、動作のデフォルメと言えます。本当に分身しているわけでも渦巻きになっているわけでもないのですが、見ている人に「早く動いている」という印象を与える事ができます。

デフォルメと思われがちなデフォルメでないもの

ではデフォルメ表現と思われがちなものを少し紹介しておきます。

一つは「感情」です。キャラクターのバックや目に炎を描く表現方法があります。強い意志を示したりするのに使われる表現方法で一見するとこれもデフォルメ表現のようですが、感情には元々の形がないのでこれはデフォルメ表現ではないです。

先程動作で紹介した涙も感情表現の一つではありますが、これは「涙」という形があるのでデフォルメ表現と言えます。この違いには注意する必要があります。

同じ理由で「性格」も誇張表現はされますがデフォルメとは言えません。また想像上の物はデフォルメされているとは言えない点は美術分野で使われる場合と共通です。

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初回公開日:2017年12月11日

記載されている内容は2017年12月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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