「考察」の意味と使い方・論文・レポートでの書き方・書き出し方
更新日:2024年07月15日
「考察」と同じような意味の言葉がほかにもいくつかあります。まず、「検討」と比べてみて、それぞれどのような意味の違いがあるのか考えてみます。「検討」も「考察」も「よく調べて考える」という点では同じです。
「考察」が何かを明らかにするためによく調べて考えるという意味であるのに対して、「検討」は、よく調べたうえで、良いか悪いかを考えるという意味になります。
「検討」の例文
それでは「検討」の例文をいくつか考えてみます。「考察」が何かを明らかにするためによく調べて考えることであるのに対して、「検討」は調べて考えた結果、良いか悪いかの判断をするという意味になります。
「今回の失敗について、さまざまな角度から問題点を検討しなければなりません。」
「検討を重ねた結果、○○の提案を採用することにいたします。」
「考察」と「検証」の意味の違い
「検証」も「考察」と同じように、調べて考えるという点では同じです。ただし「証」が「証し」や「証拠」や「証明」に用いられる漢字であることから、「検証」はある仮説を実際に物事にあたって調べて証明するという意味になります。
「検証」はまた法律用語でもあり、裁判官や検察官や警察官などが、現場の状況などを観察して証拠を調べるという意味で用いられます。その点が「考察」とははっきりと意味の違うところです。
「検証」の例文
それでは「検証」を用いた例文をいくつか考えてみます。「考察」は何かを明らかにするために考えをめぐらせることであるのに対して、「検証」は調べた結果何かを明らかにするという意味です。
「○○についてこれまで考察してまいりましたが、その結果が正しいかどうかについてこれから検証することにいたします。」
「それが事実であるかどうかについては、実地検証する必要があります。」
「考察」と「所感」の意味の違い
「所感」を漢文式に読むと「感じるところ」ということになります。もともとは仏教用語で、ある行いをしたときそれが何かある結果をもたらしますが、「所感」とはそのことを表します。ふつうはいろいろなことに触れたときに心に感じることという意味です。
「所感」はどちらかというと「感想」に近い意味の言葉ですので、「考察」のようにいろいろ調べて考えをめぐらすことと比べると、論文やレポートにはあまり向いていません。
「所感」の例文
「所感」は「考察」とは異なり、あることから受けた感想ということです。あることを明らかにするためにいろいろ調べるのではなく、むしろ直感に近いものです。「所感」を用いた例文を考えてみましょう。
「年度の初めにあたりまして、皆様方に所感を述べてみたいと思います。」
「きわめて精緻な考察をお伺いして、率直にその所感を述べてみたいと思います。」
「考察」してみましょう
レポートは学生時代にいろいろな講義や演習で書いてきたことでしょう。論文はたいていの大学で、卒業論文という形で学生に課せられています。学生時代に単位を取るために一生懸命書いたレポートや論文ですが、それは社会に出てからも必要なスキルになります。学生時代のレポートや論文のテーマではなく、レポートや論文を書くためにした「考察」が大事であるということです。
論文やレポートでは、何かを明らかにするためにいろいろ調べて考えをめぐらせますが、それこそが「考察」するということです。考察することなしに論文もレポートも書くことはできません。より良い結論を導き出すために、しっかりと考察してみてください。
初回公開日:2017年12月11日
記載されている内容は2017年12月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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