「竣工」の意味と使い方・「着工」「完工」「落成」との違い
更新日:2024年10月01日
事前着工とは代金を支払う前(登記が購入者に渡る前)に、売買対象となっている土地に建築工事を着手したり造成工事に着手することを言います。これは建築基準法の違反行為に当たるため、事前着工が発覚した工事は差し止めになる危険性もあります。これを行なった業者は資格の剥奪などのペナルティがあります。
事前着工の定義は
・杭工事がない場合は、基礎の根切りに着手した時点
・杭基礎の場合は、本杭の工事に着手した時点
・地階がある場合は山留工事に着手した時点
となっておりますが、明確な言葉の定義がなく工事の実態からの判断となります。
完工の意味は?
完工は、工事や作業が終わることを意味します。竣工とほぼ同じ意味と考えて間違いありません。ではなぜ、二つの言葉を分けて使用するのかを説明しますと、竣工の「竣」はやめること、終わることを意味しています。そのため「竣工」は工事が終了することを示しています。
完工も同じですが、「完」は「欠けたところがない」「全うする」「完全に果たす」という意味から「工事が完全に(全て)終わったこと」意味します。
このため、竣工はあくまで「作業や工事」が終わったことを示し、完工は「工事の準備から作業」が終わったことを示しています。終了は時間切れなどで途中でやめても「終了」と言いますが、「完了」は全てが完璧に終わった状態のことを表しています。
しかし建築業界では、「完工」は同音異句(「観光」や「慣行」など)が多いため、もっぱら「竣工」を使うことが多いです。
竣工と完工は同じ意味で使っても差し障りがありません。その時の状況によって使い分けてください。
落成の意味は?
「落成」とは土木建築の工事ができあがることを言います。工事が完成することを意味することから、「竣工」「完工」とも同じ意味で使われますが、前者二つは書き言葉、「落成」は話し言葉として使われることが多いです。
強いて意味の違いを挙げるならば「竣工」は工事そのもの(建築、土木ともに)が終了した際に使われ、「落成」は工事が終わり、建築物ができあがることを言います。感覚的には道路や鉄道ができあがることを「竣工」と言い、こちらは請け負った業者が使う言葉、家など建築物ができあがることを「落成」と言い、施主が使う言葉と使い分けます。
落成式・竣工式
工事が終わるとセレモニーが開催されることがあります。落成式と竣工式、どちらも同じ意味合いではありますが目的が少し変わり、落成式は建主が建築物をできた記念に開催します。
主に工事の関係者を招き工事の労を労い、竣工を感謝するために行われます。記念に行われるものですので祈祷などはなく、代わりに施主や施工者の挨拶があります。公の施設などの竣工の際によく行われます。
竣工式は、工事が無事に終わったことを神様に感謝するための儀式です。無事に終わったことを神様に感謝し、また作った建物が堅牢に末長く使われるようまた繁栄するように神様に祈念します。このため竣工式は、神主を呼び祈祷を授けてもらいます。竣工式の後には直会が行われる場合がほとんどです。
竣工は建築作業や工事が終わったこと
竣工の意味を調べてきましたが、竣工は建物や工事が無事に終了した、できあがったことを表す言葉でした。建築業界に関わらず、専門の仕事では一般の人にはわかりづらい言葉が多々あります。
建築や工事業界の言葉は、不動産を購入する際、または借りる際に覚えておいても無駄にはならないことが多いです。わからないからと言って放置するより、辞書を紐解くなり、インターネットで検索したりしてその意味を調べることで知識も深まりますし、会話の幅も広がります。
建築や工事の言葉は、不動産を購入する際、または借りる際に覚えておいても無駄にはならない言葉です。
初回公開日:2017年12月09日
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