「推移」の意味と使い方・「経緯」「遷移」「堅調」との違い
更新日:2024年10月10日
「遷移」は「推移」と同様に移り変わるという意味があります。また、植物や量子力学といった専門分野での使用例もあります。
「推移」と「遷移」の違い
「遷移」は、専門分野での使用例が特徴的です。上で挙げた意味にあるように、植物群落の変化、量子力学における状態の変化など、専門的な意味で使われることがあります。移り変わるという意味では「推移」も「遷移」も同じですが、「推移」は「業績推移」のような使用例となり、「遷移」は「植物遷移」といった使い方があるなど、使用する場面で違いが見られます。
「推移」と「変遷」の違いは?
「変遷」の意味とは?
次に、「推移」と「変遷」の違いについて見ていきましょう。「変遷」には次のような意味があります。
へん‐せん【変遷】
出典: https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E9%81%B7-626388 |
[名](スル)時の流れとともに移り変わること。「歌もまた時代につれて変遷する」
「推移」と「変遷」の違い
「変遷」は、時の経過とともに移り変わるという意味があります。これは、時が経つにつれて変化することを意味する「推移」と同じ意味となるため、違いが紛らわしくなります。一方で、一般的な使用例で違いが見られます。「円高で推移している」などの表現では基本的に「変遷」は使用されません。
また、「推移」には時が経過するという意味もあります。これは「業績推移」などのように、時の経過とともに何かが変化することではなく、単に時が経過するということを意味します。一方で、「変遷」にはこのような意味は見られません。
「変遷」は一般的に、時の経過に伴って何かが変化するということを意味します。時の経過のなかで何かが移り変わっていくという意味がありますが、単に時が経過するという意味では使用されません。例えば、時の経過を示す場合に「月日が推移する」という表現はありますが、この場合は「変遷」ではなく「推移」を使用します。
「推移」と「経緯」の違いは?
「経緯」の意味とは?
「経緯」も、「推移」との違いを考えると紛らわしい言葉になります。「経緯」の意味を詳しく見てみましょう。
けいい【経緯】
出典: https://kotobank.jp/word/%E7%B5%8C%E7%B7%AF-431210 |
( 名 ) スル
① 織物の経たて糸と緯よこ糸。たてとよこ。
② 南北の方向と東西の方向。また、地球の経度と緯度。
③ 物事の入り組んだ事情。いきさつ。 「事件の-を聞く」
④ 秩序を立てて治めること。治め整える根本となる道理。経営。 「之を-するに官撰の議員を以てすべし/明六雑誌 29」
「経緯」にはいくつか意味がありますが、「推移」との違いを考える際には3番目の意味が重要になります。これは、物事のいきさつ、筋道を示すもので、移り変わりを示す「推移」と意味が似ています。
「推移」と「経緯」の違い
「経緯」は物事のいきさつや筋道を示しますが、これは物事の経過を示すことです。そのため、変化や経過を示すものとして「推移」と似ています。一方で「経緯」が示すいきさつや筋道には、入り組んだ事情という意味があります。この点が「推移」との違いです。
「事件の経緯」といった使い方では、ある事件の入り組んだ事情、いきさつを示します。「複雑な経緯」などと表現することもありますが、「経緯」だけでも入り組んだ事情という意味が含まれています。一方で「推移」が示す移り変わりは、入り組んだ事情とは限りません。単に数値が変化するだけでも「推移」と表現することが可能です。
また、「経緯」は物事のいきさつや筋道を示すため、単に時間の経過を示すという意味はありません。「推移」には時間の経過を示す意味があるため、この点も「推移」と「経緯」の違いとなります。
「堅調」との関係は?
「推移」は、しばしば「堅調に推移している」などと使用されます。ここでは「推移」に関係する言葉として堅調の意味を考えてみましょう。「堅調」には次のような意味があります。
けん‐ちょう〔‐テウ〕【堅調】
出典: https://kotobank.jp/word/%E5%A0%85%E8%AA%BF-492723 |
[名・形動]
1 堅実な調子であること。また、そのさま。「売上げが堅調な足どりで伸びる」
2 相場が徐々に上昇する傾向にあること。また、そのさま。「堅調な繊維株」⇔軟調。
初回公開日:2017年12月16日
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