「準じる」と「準ずる」の違いと法律用語での使い方|活用形
更新日:2024年10月06日
「準じる」の類語・言い換え
「準じる」の類語には「従う」・「則る」・「準拠」・「傚う」・「襲踏」・「踏襲」・「準ずる」・「倣う」・「随う」があります。
どれも意味としては似ているので、文章の流れに合わせて、言い換えに使うことができます。例えば、「契約社員の給与は、正社員に準じる」は「契約社員の給与は、正社員に則る」と言い換えることが可能です。
また、場合によっては「よる」と言い換えることもできます。先程の雇用契約書の例をあげると「詳細な規程は就業規則に準ずる」を「詳細な規程は就業規則による」と言い換えることができます。
「準じる」と「准じる」の違い
「準じる」という言葉を「准じる」と記載することがあります。この「准」という漢字は「主たるものになぞらえる、準ずる」という意味で「准看護師」などに使われています。
「准じる」と使われている場合の「准」は「準」の俗字です。俗字とは正確な文字ではないけれど、一般的に使われている文字のことを言います。つまり「準じる」と「准じる」は、全く同じ意味で一般的に使われていますが、正確な書き方は「準じる」となります。
どちらを使うか迷った場合には「準じる」と書くとよいでしょう。
「準じる」と「順じる」の違い
時々利用されますが「順じる」という言葉は存在しません。基本的には「準じる」の誤用となります。
実用日本語表現辞典に「順ずる」は記載されていますが、一般的な辞書では正しい表現ではないと、記載していません。意味としては「先生の教えや宗教上の教理などを守り、従うこと。」となります。
間違った使い方として、「順ずる」という漢字から「順番」を連想し、「下になる」という認識を持つ方もいらっしゃいます。例えば「契約社員の待遇は、正社員に順ずる」と記載されていた場合に、正社員より契約社員の方が待遇が悪いと認識するでしょう。
余計なトラブルに発展してしまう可能性もありますので、「順ずる」という誤用はしないように気をつけましょう。
「準じる」と「殉じる」の違い
「殉じる」とは、「主君などの死を追って死ぬ」という意味です。「準じる」と読み方は同じですが、意味が全く異なりますので、使う際には注意しましょう。
時には、「辞任した大臣に殉じる」など、義理立てして同じ行動をとるという意味でも使われます。「準じる」場合の行動は、規程に従った行動となりますので、義理立てしてとった行動とは、やはり大きく異なります。
「準じる」と「応じる」の違い
「応じる」は、相手の働きかけに対応して行動を起こすことです。「応ずる」と使うこともあります。相手の呼びかけにこたえる「応答」の意味も持っています。
「準じる」の場合は、規程に従うなど、すでにある決まりや根拠に合わせて行動します。これに対して「応じる」は相手の働きかけにこたえることを意味しますので、相手の行動ありきです。
どちらを使うべきか迷ったときには、相手の行動に対する反応かどうかで使い分けましょう。
難しく考えないで使ってみよう
「準じる」について解説いたしましたが、いかがでしょうか。学生時代に習った活用形などは思い出していただけましたか。
「準じる」と「準ずる」は活用は違いますが、同じ意味の言葉です。どちらを使っても間違った表現ではありませんので、難しく考えずに使ってみましょう。
「準じる」と「準ずる」の使い分けよりも、「殉ずる」などの漢字の違いで意味が変わってしまう表現には気をつけなければなりません。また、「順ずる」という文字の誤用にも気をつけましょう。特にパソコンで入力するときには変換ミスをしやすくなります。
同音異義語は、似た意味がありませんので、使い分けは難しくありません。間違えずに使いこなせるように応援しています。
初回公開日:2017年12月27日
記載されている内容は2017年12月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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