「一環として」の使い方・例文・言い換え・一貫としてとの違い
更新日:2024年06月28日
「メカニズムの一環として」
この場合も「多くのメカニズムがあるうちの一つとして」という意味合いが全面にきて、「いろいろなメカニズムが他にもあるが、今はそのうちの一つの方法や段階に際して作業をしている」などといった段階的なアプローチを指す場合に言われます。
特にロボットの全体的なメカニズムや、いろいろな機能の集合体によってできた対象を指して言うときにこの「メカニズムの一環として」という言葉・表現が使われやすく、「その対象が本来持っているメカニズムの一部として」という意味合いが非常に強い姿勢で表現されます。
【「メカニズムの一環として」】
・「しゃべる」という機能は、Aロボットのメカニズムの一環としてあります。
・電子メールは、パソコンのメカニズムの一環としてあります。
・物を書くという作業は、人工知能メカニズムの一環としてあります。
「季節的な一環に」
「季節的な一環に」という表現はよく手紙をはじめ、小説や雑誌記事などの文語表現において使われますが、この場合も「季節」という春夏秋冬という4つの季節から成り立っており、そのうちの春、夏、秋、冬のどれかを指す形で使われるか、あるいは季節ごとに見られるいろいろな現象のうちの一つを指し、それを形容する場合に使われたりします。
【「季節的な一環に」の用例】
・フキノトウが咲くことも、季節の一環に見受けられます。
・寒さも暑さも季節の一環の事象に他なりません。
・春物や秋物のセーターを着ることは、実に季節の一環に見られる移ろいです。
・俳句や詩に使われる季語の巡りは、まさに季節の一環に見事に表しています。
・風の冷たさを見れば、季節の一環に認められる流れがすぐにわかります。
このようにあるていど季節にちなんだ話題を主張にし、「季節の移り変わりのうちの一場面」という形で表現されます。
「研究の一環」
この場合もこれまでの「一環として」の用例と同じですが、「多くの物のうちの一つ」という意味合いではなく、「長い物のうちの一場面」や「成果にたどり着くまでの一段階」といった「場面」や「部分的な経過」を指す意味合いの方が強くなります。
【「研究の一環」の用例】
・電子メディアの効率を考えることは、iPhoneの利点を研究する際の一環としてあります。
・塩を調達することも、○○研究の一環です。
・人と動物の言動のあり方の違いを把握することこそが、自然科学研究の一環にあります。
・お金を集めることも、消費者金融システムを研究するための一環にあげられます。
・漫画を読むことは、サブカルチャー研究の一環です。
このように「○○をすることは、その研究の一環」という表現となり、その場合の「○○」が「段階や経過の一部分」として形容されます。
「流れの一環として」
この「流れの一環として」という意味合いと表現が、先述の「研究の一環」の用例を説明するときの最もわかりやすい例となるでしょう。「何かへ向かった流れ(時間の流れや物理的な川の流れなど)が全体的な対象」となり、その「全体的な対象」のうちの一部分を指す場合に、この「流れの一環として」という言葉が用いられます。
【「流れの一環として」】
・避難訓練の流れの一環として、ヘルメットをかぶることが義務づけられます。
・受験対策の流れの一環として英語対策があります。
・コンピュータープログラミングの一環として、ソースコードの設定があります。
・情報収集の一環として、読書があります。
・成功への道の一環として失敗することがあります。
このように「どこかへ向かうとき」や「何かの目標に向けて進むとき」などを全体的な流れと形容し、「その流れの一部として」という形容になります。
「解放運動の一環として」
この言葉はよくテロや政情不安の地域に大きく掲げられるテロップとして有名ですが、この「解放運動の一環として」という形容も、先述してきましたように「多くの方法のうちの一つとして」と「解放を一つのゴールとして、それまでの段階の一部分・一場面として」という表現になります。
【「解放運動の一環として」の用例】
・A国の政情不安を改善するための「経済的困窮からの解放運動」の一環として、義援金を募ります。
・奴隷民族の解放運動の一環として、ヘイト的言動の撤廃を行ないます。
・人質解放運動の一環として、外交戦略が設けられます。
・核による恐怖からの解放運動の一環として、原発廃止運動が活気的になります。
このように「何かを解放すること」をまず目的として、その問題や課題への対策を練る際の運動を「一環」という言葉で形容します。
「認識の一環とも」
この場合の「一環」の意味は「一環として」の意味合いと、そのまま「一環」という言葉の意味そのものを指して表現されます。
【「認識の一環とも」の用例】
・「呼吸をして生きる」という行動は、人の認識の一環とも考えられます。
・物を食べるという行動は、人間行動学における認識の一環として認められます。
・サルよりもヒトの方が文化を持つということは、世界的常識の一環として認められます。
・トライポフォビアは認識の一環としてあげられます。
・トラは「自分の噛む力がライオンよりも強い」と認識の一環に携えています。
このように人や動物の認識力をまず想定しておき、その認識の範囲に収まる対象に焦点を当てて「一環」や「一環として」という言葉が用いられます。
「一環」と「一貫」との近い意味
先述において「一環」と「一貫」が全く違い意味を持つ言葉としてお伝えしましたが、その意味合いや用途によっては、非常に似ている場合も出てきます。
まず「一貫」という言葉の意味は「一つのことをずっと継続していく」という形容があるため、その「継続する時間の長さ」が「一つの大きな時間の長さ」に認められます。一方「一環」の意味合いにも「時間の長さを全体的対象とした上で、その経過においてピックアップされる作業や場面をその一環」とする傾向があります。
この「時間軸の長さ」において両者の言葉は、「時間」を全体的な対象とした上で、その行動や目的のゴールを「全体的な時間のうちの一つずつの場面や作業によって構成されるもの」と見なす姿勢がうかがえます。
「一環」の英語表記と意味
「一環」という言葉を英語に直すと、「part」や「department」、また「section」や「one of」といった言葉で表現されます。英語の表現というのは実に簡潔なもので、「一環」という言葉は全て「一部」や「部分的」、あるいは「一つの固まり」といった内容をもって形容されます。
「一環」の英語表現と意味
初回公開日:2018年02月16日
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