「定量化」の意味と使い方・「定性化」との違い・対義語・類語
更新日:2024年09月18日
目標管理についての定量化の使い方を説明します。物流業界では、従来在庫は資産であるとみなされてきましたが、モノが生産された分に比例して売れる事が難しくなってきたため、適正量を超えた在庫が負債とみなされるようになってきました。
このような経緯で、適正在庫を維持するために定量発注方式という手法があります。これはあらかじめ定められた在庫量(発注点)を下回った時に一定量を発注するもので、この手法を使うメリットは管理が容易であることや、発注量が合理的になるという点です。またデメリットは需要の変動が大きなものには適さない面があります。
定量発注方式においての重点項目は、定期的に在庫をチェックして、発注点を見直すことにあります。発注点とは期間内の需要量に安全在庫量を足したもので表されます。安全在庫量とは、品切れを防ぐ為に必要な在庫量です。
「定量化」の対義語
「定量化」の対義語は、上記で説明した定性化です。定量化の表す意味は、言い換えれば客観的、または具体的となり、定性的の別の表現は主観的、抽象的となります。これらの語句をそれぞれ見ていくと、定量化の意味について理解度が深まる手助けとなります。
ここからは定量化の対義語である定性化の別の表現の主観的、抽象的の語句について詳しく見ていきます。
主観的
「主観的」の語句の意味は、「個々の人間や、人の間での心理的性質に依存しているさま」、「その人個人の物の見方、感じ方によっているさま」とあります。これは対象物を見て個人がどう思うか、何を感じるのかは個人、また人それぞれにとって異なるということでもあります。
このような何かに対する好き、嫌いといった主観的な評価を消費者行動論では「態度」と呼ばれ、消費者の「好きだ」といった好意的態度を想起するためにあらゆる戦略が取られます。とりわけこの主観的評価はブランド戦略に生かされています。
消費者にとってのブランドの役割は、購入決定の手助けを行っています。具体的には製品の信頼への根拠であったり、顧客満足保証による安心感の提供、購買選択の効率化などです。いずれも主観的な評価を軸として、商品を購買し、それを繰り返し買ってくれることで大きな収益が期待できるとされています。
抽象的
抽象的の語句の意味は、「具体性に欠けるさま」とあります。具体性に欠けるということは、はっきりと定義できない、つまり数値化できないという意味でもあります。定量化の特徴の一つに、数値化できるものであると紹介しましたがその点でもまさに反対の意味を表しています。
では抽象的なものとは具体的なものに劣っているのでしょうか。確かに具体的なものは分かり易く、他の人とも考え方や方向付けの共有が容易になります。しかし抽象的な考え方は、より高い視点でものを見たり、本質的な事に近づくためには有効な思考方法です。
例えばその問題の答えが〇かバツかといったことを考える時、具体的思考だと問題の答えを考える所までで終わりですが、抽象的思考ではその問題が妥当かどうかといった所まで範囲が及びます。ただし一概に抽象的思考が優れているのではなく、両方ともに重要な概念であるということです。
「定量化」の類語・言い換え
「定量化」の類語や言い換えの表現について見ていきます。すでに紹介したとおり、定量化の別の表現は客観的または具体的などです。これは仕事上の会話などで、定量化という表現の代わりに用いられている場面をみかけますが、言葉の意味として定量化と同じような表現なのか、それぞれの語句の意味を調べてみましょう。
客観的
客観的の意味は「主観または主体を離れて独立に存在するさま」「特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま」とあります。これらの意味から、客観的ということは第三者の視点を持っている人、または当事者ではなく傍観している人のことを指していると言えます。
私達は個人、また人それぞれが自分自身の判断で生活しています。つまりは主観的な視点が大きく働いていますが、ここに客観的な視点を加える事で、自分が大事にしていることと他の人が大事に考えている事のギャップに気づいたり、自分の事を再評価することができます。
この考えを応用すると、転職活動や就職活動で相手の望む事を提案し、自分をアピールすることがスムーズになります。また相手の反応を予想しながら会話を進める事ができたりと、表現力がアップしたり、柔軟さも向上します。ここでも主観、客観のどちらの考え方も重要だという事が言えます。
具体的
具体的の言葉の意味は「はっきりとした実体を備えているさま。個々の事物に則しているさま」という意味です。よく説明文などで、概要を最初に示して、「具体例としては」などといった何かを例に出している記述をよく見かけますが、具体的であるということは分かりやすいものに言い換えができるということでもあります。その代表的な物が、数値です。
数値は優れた尺度なので、多数の人に共有されやすい面があります。しかし誰にでも分かりやすいという事は、特定の人に強く訴えかけることには不向きです。もしあなたが「分かりやすくて、話を聴いている人に印象に残るように話してください。と頼まれたら、具体性のある話だけでは分かりやすい部分までで、印象に残る事はあまり期待できません。
なので、先に挙げた話に相手の事を知った上で、話を聴いている人の価値観に訴えかける話し方と組み合わせると、成功率は上がります。
見える化
「定量化」の類語として、最後にこの「見える化」について見ていきます。これは可視化とも呼ばれ、視覚的に認識しやすいようにすることを指します。ビジネス用語として定着していますが、この見える化によって二つの利点があります。
まず目標と現状を見える化することにより、目指す地点と、それに対しての問題点や改善点が認識しやすくなり、目標の修正や、目標達成の弱みを克服するきっかけとなります。また組織にとって、今までの実績や従業員の力量、改善の結果を視認することでモチベーションアップにもつながります。
このように、絶えず変化が期待できるので、企業経営や職場の最適化の意味でも見える化は不可欠であると言えます。
「定量化」も「定性化」もどちらも大事!
初回公開日:2018年03月11日
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