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みなし公務員の規定・副業はOK?みなし公務員の種類一覧

更新日:2023年12月21日

公務員ではないにもかかわらず公務員とみなされる人々をみなし公務員といいます。彼らはどのような人々で、その仕事ぶりは普通の公務員とどのように異なってくるのでしょうか?今回はみなし公務員の日常や立場などについていろいろと見ていきましょう。

みなし公務員とはどのような人々?

公務員といえば、その安定性から今でもなお非常にのある職種ですが、実は正規の公務員とは別にみなし公務員と呼ばれる人々がいます。

みなし公務員とは、地位や職種こそ公務員ではないものの、その業務がきわめて社会の利益のためになる(公益性がある)ものや職務の内容が公務員とあまり変わらないものに従事する人々のことを指します。このため、正確には公務員に準ずる人々、という扱いです。

このため、後で書くようにみなし公務員については、その人々が属す組織・団体にかかわる法律の規定や罰則が適用され、かつその効力は正規の公務員に対して反映されるのと同様のものになります。

なお、みなし公務員とみなされる人々の数はここ20年で特に増大しています。これは国が行政改革を進める中でそれまでの官庁や公団の民営化を推進してきた影響によります。

みなし公務員の規定とはどのようなもの?

みなし公務員の規定と一言でいいましても、日本の公務員に関する法律として国家公務員法と地方公務員法などがあるように、正式に「みなし公務員法」というものがある、というわけではありません。

それでは、みなし公務員が公務員並みの扱いを受けるかについては、どのように規定されているのでしょうか?

それはみなし公務員が所属する組織や団体、またそれらに関連する法律(郵便局―日本郵便株式会社の職員であれば郵便法)の規定が適用されるという形です。多くの場合、直接的には条文の形として「役員または職員は、法令により公務に従事する者とみなす」という書かれ方がされており、これが「みなし公務員」と呼ばれる由来となっています。

このため罰則についても、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」と書かれていることから、不祥事の際の刑罰も公務員と同様の扱いを受けることになります。

副業はOK なのか?

近年の働き方改革でも話題になってきている副業ですが、副業といえば公務員については原則禁止されています。公務員は国や地方自治体からその安定した地位を保証されているためです。

さらには、こちらも近年ますます重要なものとなってきていますが、職務上知ることになった個人情報を副業を行うことで漏洩するリスクを未然に防ぐという理由にもよります。

それでは、実質的に公務員と同じ扱いとなるみなし公務員の場合はどうなるのでしょうか?みなし公務員についても副業禁止の規定が適用されるため、彼らも原則として副業はできません。というよりは、みなし公務員がそれぞれ所属する組織や団体の規定にも異なってきますが、その規定の多くが副業禁止を掲げているというのが実際のところです。

例外はあるのだろうか?

しかし、副業が原則禁止といっても例外がないわけではありません。正規の公務員でも副業禁止に例外はありますが、それとほぼ同じような内容でみなし公務員でも例外が認められています。

まず、実家で農家をやっている場合は、みなし公務員としての仕事をやるかたわら、農業をやっていても副業禁止規定には違反しません。このため、農村部でもみなし公務員が実家の農業の切り盛りをするということもよく見られる光景です。

他にも職務に影響のない範囲の業種の副業であれば副業禁止規定に触れることはありませんが、上司の許可をとる必要はあります。許可を受けないで副業をやってしまうと、後々処分を受ける場合もありますので注意が必要です。最悪の場合、免職つまり首になってしまうこともあるので、事前に確認と許可を得ることは忘れないことが大事です。

みなし公務員の種類の一覧で見ると?

ここではみなし公務員の種類について見ていきます。一言でみなし公務員といってもその種類は非常に多く、特に行政改革が行われた際には民営化などの影響でみなし公務員の種類も増えました。

そこでここではいくつかの種類に分けて、それぞれについて見ていきます。

特別法によって規定された職員など

もともとから特別な法律によってみなし公務員とみなされているケースがこの種類に当たります。日本銀行や日本赤十字社の役員や職員などがこれにあたります。

このケースに当てはまる法人は役所でも民間企業でもないため、本来であればみなし公務員とは扱われないものの、事業が非常に社会にもたらす利益が大きいものであるため、みなし公務員として扱われます。

これらの特別法で規定されたみなし公務員の場合は、特に賄賂についての罰則で刑法とは別に規定されている存在になっています。

法人化されたところの職員

かつて公的な部門に属していたために、そこの職員が公務員として扱われていた部署も、行政改革の影響で法人化されたところが少なくありません。

そのよい例が国立大学や年金機構です。いずれも2004年に法人化されて、それぞれ国立大学法人と日本年金機構という形に変わりました。ただし、年金機構については旧社会保険庁での年金がらみの不祥事も大きな要因となっています。

もちろん、これらの法人の職員も公務員からみなし公務員という扱いになりましたが、これらの法人の人事についてはかつての所管官庁の影響力が今もなお大きく、給料などについても指示を受ける場合が少なくありません。

民営化されたところや民間でもみなし公務員とみなされるケース

90年代から2000年代にかけて国が行った行政改革によって、さまざまな公的機関が民営化されました。

わかりやすい例でいえば、郵便局や日本道路公団などがそのよい例です。郵便局は日本郵便株式会社に、日本道路公団は3つの高速道路株式会社へと民営化されました。もちろん、これらの団体に所属する職員も公務員ではなくなり、みなし公務員とみなされるようになりました。

また、民間企業や団体に所属する社員や職員でも、その事業が社会全般に利益をもたらすとみなされている場合でもみなし公務員とみなされます。駐車監視員や介護支援専門員、さらに車の免許を取る際にお世話になる教習所の検定員などがこれにあたります。

みなし公務員を接待することとは?

民間企業ではごく当たり前の接待。よく契約をとるために相手方の役員をお招きして行われています。

この接待について、みなし公務員の場合はどうなるのでしょうか?結論から先に書けば、かなり限定された程度の接待であれば問題はありません。というよりも、多くのケースの接待が禁止ということになります。

まず、お酒の席は基本的に禁止です。やはり公務員に近い立場で仕事に励んでいるため、その職務が社会に与える影響が大きいとなると、お酒で酔っぱらうことで不祥事が生じれば大変なことになるためです。

また、賄賂を贈るのはもちろんのこと、高額な贈り物も禁止です。仮に贈ったとしても多くは送り返されますし、受け取られてもやはり後々大きな問題になりかねません。

それでは、どの程度の接待が問題にならないのかといえば、まずお酒が入っていないこと、そして高額ではない贈り物であるという条件を満たせば大丈夫です。そのため、昼食や少額の贈り物ならば差し支えはありません。

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初回公開日:2017年10月22日

記載されている内容は2017年10月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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