【業界研究】教育業界の現状・動向・課題について
ナガセは四谷アカデミーを買収し、早稲田アカデミーの株式を取得しています。代々木ゼミナールはSAPIXを買収しました。河合塾は日能研と業務提携するなど、各予備校とも合併や買収を通じて、低学年層から大学受験層まで垂直に統合していく戦略を取っています。
ベネッセの成長戦略
通信教育大手のベネッセコーポレーションは、2014年の個人情報流出事件の影響から、依然として経営的に厳しい状況が続いています。
顧客情報漏洩は最大で3504万件に及びました。「進研ゼミ」の会員数は2012年には400万人程度あったのが、2015年には271万人にまで減少し、わずか3年で会員数が30%以上減っています。
大手学習塾の東京個別指導学院やアップを買収し、紙とデジタル教材を用いて、塾や家庭で個人に合わせた学習を可能にする「ベネッセタウン構想」で巻き返しを図っています。
学研の成長戦略
学研ホールディングスは桐杏学園や全教材をはじめとして、十数社の学習塾を傘下に収め、小中学生を対象としたオンライン学習サービス「学研ゼミ」をスタートさせました。
「学研ゼミ」の利用者は数カ月で1万5000人を超えるなど、好調を維持しています。
少子化にもかかわらず教育は多様化
家庭教師では、トライ、トライプラス、KATEKYO学院などが好調を維持し、資格のユーキャンも個別指導に参入しています。
2012年にはリクルートが「受験サプリ」(現スタディサプリ)で、オンライン予備校に価格破壊を仕掛けました。そのは、受験生の2人に1人が使っているとも言われるほどです。
そして、JR東日本、東急電鉄などは幼児保育サービスや学童保育に参入しました。インフラや資本力を活かして、駅周辺や沿線地域に展開しています。
ジャストシステムやDeNAは、スマートフォンやタブレットで授業が受けられるシステムを構築し、学習塾に展開するなど、教育自体は多様化の様相を見せています。
市場動向
教育業界のなかでは、英会話・語学学校市場とeラーニング市場が好調となっています。
英会話・語学学校市場
英会話・語学学校市場では、2011年に2800億円強だった売上高が、2015年には約3200億円になりました。2020年度にはセンター試験廃止などの大学入試改革で、英会話が重視されると予想されており、英会話ができる講師を多数抱える英会話学校は需要の拡大が見込まれています。
eラーニング市場
eラーニング市場では、2011年に約1400億円だった市場が、2014年に一気に急成長し、1700億円強にまで数字を伸ばしています。時間や場所を選ばずに学べるという利点に加えて、スマートフォンやタブレットが普及したこともあり、市場が拡大しました。