後期高齢者などの世帯分離のメリットとデメリット|同居/相続税
更新日:2024年10月30日
後期高齢者などの世帯分離のメリットとデメリット
世帯分離について考えた事がありますか。普段日常生活を送る上で、あまり自分には関係のない事と思う人も多いでしょう。しかしあらかじめ世帯分離の知識を身につけておくと、そのことを知らないでおくよりも、社会保険や税制対策のいて多くの恩恵を受けられる可能性があります。
その反面、世帯分離をすることによるデメリットがあることも、合わせて知っておく必要はとても大切です。
まずは世帯分離について触れておきましょう。
世帯分離とは
世帯とは一つの世帯として同じ家で暮らして家計を共にする、住民票に記載されているメンバーの生活体を示す言葉です。この一つの世帯を2世帯以上に分けて、それぞれを住民票に登録をすることを「世帯分離」と言います。
例えば、親世代とその子供世代が一つ屋根の下で、一つの世帯として暮らしていた場合に、子供世帯が独立することより単独の世帯になることを指します。例え親の世帯から独立を果たしても、子供世帯が以前のように親世帯と同じ家で暮らしても問題はありません。
つまり同じ家で二つの世帯が暮らしを共にし、それぞれが生計を別にして生活を営んでいるということになり、結果的に一つに家に二つの世帯(2人の世帯主)が存在する形になります。
世帯分離をする上でのメリットとデメリットとは
このように敢えて面倒な手続きをしてまでも世帯分離をするということは、世帯分離をする上での何かしらのメリットがある事が考えられます。また、合わせて世帯分離をすることでのデメリットについても触れておく必要があります。
そこで生活する上で、比較的私たちに関係の深いテーマにおける、世帯分離をする上でのメリットとデメリットについてご紹介します。
介護保険におけるメリットとデメリット
近頃の超高齢化社会において、介護問題はあらゆる面において多くの問題をはらんでいます。人手の問題、金銭的な問題、介護する側の精神的な問題など数えればキリがありません。
介護はこれらの問題を抱えながら、一般的にはとても長く続き、それにかかる費用も決して安く済むものではありません。そこで世帯分離をする事で、この介護にかかる費用を安くして、家計にかかる経済的負担を少しでも軽減する事ができます。
まずは介護保険におけるメリットとデメリットについて見てみましょう。
メリット
介護はさまざまの問題を抱えながら、一般的にはとても長く続き、それにかかる費用も決して安く済むものではありません。そこで世帯分離をする事で、この介護にかかる費用を安くして、家計にかかる経済的負担をいくらかでも軽減する事ができます。
介護にかかる負担額は、介護される個人の所得により決まるのではなく、世帯全体の所得により決まります。
例えば子供世代の年間所得が年間500万円で、親世代の年間所得額が300万円の場合、世帯全体の所得が500万円+300万年=800万円になります。従って介護保険は世帯全体の所得に当たる800万円にかかることになります。
つまり世帯の中に高収入の人がいることで世帯全体の収入が高くなり、介護保険にかかる費用が高くなってしまいます。
そこで収入の高い人を世帯分離をして世帯収入を抑えることで、介護保険にかかる費用を安く抑える事ができます。
デメリット
一つの世帯の中に2人以上介護が必要な人がいる場合には、2人分以上の介護料などを合算する事ができますが、世帯分離をするとそれができなくなるので、結果的には割高になるデメリットが生じる可能性があります。
また、親を介護するサラリーマンが勤務先の健康保険に扶養家族として加入したほうが、結果的には負担額を減らせる場合があります。
相続税におけるメリットとデメリット
次に世帯分離による相続性におけるメリットとデメリットについて見てみましょう。
一つ屋根の下で暮らす二つの世代が、結婚を機に世代分離をした場合、二世帯住宅を選択するケースが増えています。
二世帯住宅といえば、親世代と子世代が一つ屋根の下で暮らしていても、入口や間取りが別々なので、生活する上で特別な気を使うことがありません。それにもかかわらず親世代にとってはすぐ隣に子供世帯があるという安心感があります。また、子世代にとっては、隣に住む親世代のサポートを何かと受けやすいという気軽さがあります。
近頃の高齢化社会が進むにつれて、この二世帯住宅が相続性対策として注目を浴びています。
相続税対策として注目を浴びる二世帯住宅
相続税は財産の評価額により税額が決まります。そこで「小規模宅地等の特例」を利用することで、土地の評価額を最大80%減額することができます。
近頃話題の二世帯住宅においてこの大幅な特例を受けるには、親と同居していることが前提であったため、基本的には内部で二世帯間の行き来ができない構造の二世帯住宅の場合、以前では同居でないと見なされて、特例の対象外となっていました。
しかしこの分離型二世帯住宅でも特例が受けられることとなり、将来的な節税対策の一環として注目を浴びています。
二世帯住宅には相続税対策のメリットがあります
もし、相続人である子供が親と同居していない場合、父親が一人で住んでいた住居を、現在持ち家に住む子供が相続する場合には、その時点で特例の適用外になってしまいます。
しかしあらかじめ二世帯住宅で親と同居していれば、そうでない場合と比較すると特例が受けやすくなります。さらに分離型の二世帯住宅であっても特例対象となることから、改めて別に家を建てる計画を変更して、二世帯住宅を選択する人が増えています。
将来的には親世帯のスペースを賃貸住宅として貸し出したり、やがて自分たちが親世代となったとき、次の世代との相続税対策にも役立つといったメリットもあります。
デメリットは?
このように二世帯住宅には相続税対策のメリットが多くありますが、あえてデメリットを探すとすると、二世帯住宅は現金のように簡単に分割することができません。相続人が複数いる場合には、親が元気なうちに相続の仕方をあらかじめ話し合っておいたほうが、後々の面倒を省くことができます。
初回公開日:2018年05月08日
記載されている内容は2018年05月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。