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古典的条件付けの具体例|心理学・教育における古典的条件付け

更新日:2024年06月17日

古典的条件付けという言葉をご存知ですか?1890年代、ロシアの生理学者によって発見され、心理学の領域で発展していった概念です。日常的にも古典的条件付けが活用されている場面があります。この記事では、古典的条件付けについて詳しく紹介します。

古典的条件付けって何?

古典的条件付けは、特定の刺激に対する生理的な反応を活用するもので、現代では教育上の学習や心理療法による治療などの多くの場面で応用されています。英語で「Classical conditioning」と言い、それが訳された名前です。別名では、「Pavlovian conditioning」(パブロフ型条件付け)や「Respondent conditioning」(レスポンデント条件付け)とも言われます。

では、古典的条件付けの内容がどのようなものかについて、下記に紹介します。

古典的条件付けとは

古典的条件付けを説明する前に、まず生理的な反応について理解しておく必要があります。あらゆる生物には生理的な反応があります。例えば、食べ物を見たら唾液が生じるというものです。この反応は生理的反射(無条件反射)と呼ばれ、この例で言う食べ物は生理的刺激と呼ばれます。

古典的条件付けには、この生理的刺激とは別の刺激が存在します。これを中性刺激(条件反射)と呼びます。例えば、ベルを鳴らして食べ物を差し出すときに唾液が生じた場合の「ベル」を中性刺激と呼びます。通常、ベルを鳴らすのみでは唾液が生じません。

しかし、ベルを鳴らす行為、食べ物を差し出す行為、唾液が生じる反応の3つの動作が繰り返されると、ベルを鳴らすのみでも唾液が生じるようになります。この現象を古典的条件付けと言います。

つまり、古典的条件付けとは、生理的刺激の前に中性刺激を与え、中性刺激、生理的刺激の順で生理的反射を引き起こすことを繰り返すと、生理的刺激を省略しても中性刺激のみで生理的反射を引き起こすようになるという現象のことを言います。

古典的条件付けにはどんな例があるの?

上述では、古典的条件付けは刺激と反応の関係が変化するという現象であることについてご理解いただけたことでしょう。では、具体的にはどのような例があるのでしょうか?古典的条件付けの具体的な例や日常的に生じている例を下記に紹介していきます。

「パブロフの犬」の実験による例

上述のとおり、古典的条件付けの別名にパブロフ型条件付けとも呼ばれるように、よく古典的条件付けを説明する際に、具体例として「パブロフの犬」の実験の例で説明されます。この「パブロフ」という名は、ロシアで初めてノーベル賞を受賞した生理学者イワン・パブロフの名前に由来します。

パブロフは元々、犬の唾液腺の研究をしていました。犬の餌を運ぶ助手が部屋に入るたびに犬が涎を垂らしたところから、古典的条件付けの仮説を立て大々的に実験を行い、助手の足音と餌と涎の関係を実証しました。

実験は次の手順で行われました。まず、メトロノームを犬に聞かせます。次に、犬に餌を与えます。この2つの作業を繰り返します。すると、犬はメトロノームの音を聞くだけで唾液を出すようになりました。このときのメトロノームが中性刺激、餌が生理的刺激、唾液が生理的反射です。

乳児の実験の例

1920年、アメリカの心理学者ジョン・ワトソンが生後9ヶ月の乳児と金属音と白ネズミを使用して古典的条件付けの実験を行いました。この実験の重要なポイントの一つとして、乳児にとっては大きな金属音を聞くと恐怖感を示すということにあります。

つまり、金属音を生理的刺激、恐怖感を生理的反応と見立てたということです。実験の内容は、乳児が白ネズミに触れようとしたときに金属音を鳴らすという手続きを3回繰り返し、1週間後に再度同じ手続きを3回繰り返すというものです。

すると、乳児は金属音を鳴らしていないにもかかわらず、白ネズミを見るだけで恐怖感を示します。この例では、白ネズミが中性刺激です。

なお、白ネズミの代わりにウサギやサンタクロースの仮面などを使用してみたところ、実験結果は同じとなりました。現代でこの実験を行うのは倫理上の問題になりかねませんが、恐怖感について古典的条件付けによって学習されることが明らかになったことで有意義な実験と言われています。

日常に生じている例

日常の例としては、次のようなものが挙げられます。

(1) ゴキブリ嫌い
幼少時に家の中でゴキブリが出現するたびに母親などが騒ぐのを見て恐怖感を抱き、その影響でゴキブリを見ると恐怖感を抱くようになったというものです。

(2) 食物に対する嫌悪感
幼少時に牡蠣を食べるたびにトイレで吐いたという過去に辛い思いをした思い出があることにより、牡蠣を見るたびに「苦手な食べ物」というイメージが頭から離れず、牡蠣には手をつけなくなったというものです。

古典的条件付けは、心理学的にはどのように扱われるの?

古典的条件付けは、現代において心理学的には行動療法という分野に応用されています。主に、恐怖症や依存症からの脱却を目指したものです。主に、次の2つのものが活用例として挙げられます。

系統的脱感作法

系統的脱感作法とは、症状として表れる反応を古典的条件付けとして捉え、段階的に変えていくという方法です。例えば、高所恐怖症の方は過去の出来事などの影響により高所に対して極度の恐怖感を抱いていますが、系統的脱感作法により治ることがあります。

具体的には、高所恐怖症の方をまず低い高さの地点に誘導し、下を見下ろしてもらうという方法です。この方法を繰り返して恐怖感がなくなってきたら、徐々に段階を上げ、階段の途中を見下ろすという方法で治ったら次は建物の2階に、2階で平気になったら3階に、同様に4階へと見下ろす行為を継続してもらいます。

すると、高所恐怖症が治りやすくなります。つまり、高所に対しての恐怖感を抱くことが古典的条件付けになってしまっている状態から脱却する方法です。

嫌悪療法

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初回公開日:2017年09月07日

記載されている内容は2017年09月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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