「バビロン」の2つの意味|レゲエやヒップホップにおける意味合い
更新日:2024年06月11日
レゲエにおける「バビロン」
バビロンという用語と意味にとても密接な関係性があるのは、レゲエの世界、特にラスタファリズム(Rastafarianism) に関わる内容です。
ラスタファリズムとは、1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心として起った宗教的思想運動のことです。
レゲエは「レベル・ミュージック(rebel music)」と呼ばれることがあります。その意味は「反抗の音楽」ということです。バビロンはその反抗の対象です。
ボブ・マーリー「バビロン・システム」
ジャマイカの世界的シンボリックミュージシャンであるボブ・マーリーは、敬虔なラスタファリズム信望者で、音楽性にもレゲエとともにラスタファリズムの影響を色濃く残して活動します。
バビロンという言葉が広く使われていった理由の一つは、ボブ・マーリーの楽曲の影響が多大なものだったからです。権力に対抗するレベル・ミュージックとして楽曲を広め、その中でバビロンという言葉が活かされていくことになります。
ヒップホップにおける「バビロン」
ヒップホップの世界でのバビロンは、レゲエの楽曲に頻出するケースとさほど大差はなく同じ意味合いを含んでいます。
ヒップホップでも社会や権力への反抗を意味する楽曲がたくさんあります。
おおよその意味はレゲエもヒップホップも一緒ながら、ヒップホップの中でバビロンを用いる場合は、資本主義社会、都会、警察、不条理な世の中といった大きなコミュニティ全般を象徴しています。
邦・洋ラップの歌詞に頻出
邦・洋ラップの歌詞に頻出する「バビロン」は、相手をディスるときに使われます。
ラップ自体が何かを批判する歌なので、権力の象徴の意味がある「バビロン」という言葉は、たいへんしっくりきます。
風刺・社会勢力に対する反抗の証として使いやすい言葉として、「バビロン」は邦・洋ラップの歌詞に頻出しています。
ボカロ楽曲における「バビロン」
「ボカロ曲」とは、ヤマハが開発した歌声合成技術、あるいはそのソフトウエアの総称です。 ボーカロイドで合成した歌声、特定のキャラクターに合成して楽曲化させたものをボカロと呼びます。
初音ミク名義によるボカロ曲の中にある「バビロン」は、あまり深い意味はない様子です。
ただし架空の都市のことを歌っているので、バビロンが本来持っている「都市の名前」であることから由来していると考えられます。
その他様々な楽曲に使われる「バビロン」
その他さまざまな楽曲に使われる「バビロン」は、反体制的な意味や、本来の意味からはずれてただの言葉遊びなど、いろいろな使われ方をしています。
「バビロン」は、とても便利な音楽用語として、現在ではあらゆるジャンルのミュージックの歌詞として使われています。
「バビロン」という言葉の響き自体がとても謎めいています。しかしどこかで耳にしたことのある単語でもあり、思わず口ずさんでしまう不思議な言葉だからです。
ハンバートハンバート「バビロン」
ハンバートハンバートは男女2名の夫婦デュオで、「バビロン」は、アルバムの収録曲の1つです。
ハンバートハンバートの「バビロン」の解釈は、旧約聖書におけるバビロン河の意味として人々にとらえられています。
歌詞の最後に川という単語が何度も連呼されることから、旧約聖書の、バビロン河のほとりに座って首都を思い泣くというシーンが連想されます。男女の恋愛となぞらえています。
the pillows「バビロン天使の詩」
he pillows「バビロン天使の詩」は、「Thank you,my twilight」とベストアルバムの収録曲です。
PVが個性的なことでも有名です。he pillows「バビロン天使の詩」におけるバビロンは、バベルの塔としての意味合いが強いです。
バビロンに向かって飛び立ちたいが、そのための翼がないと、一生懸命青空に向かってジャンプする、若い気持ちが爆発している名曲です。
言葉の意味を理解すればさらに音楽を楽しめる
世界中の多くの大都市そのものが「バビロン」であるという見解があります。
バビロンのような圧制により不平不満のあるところに住んでいる人々の中から、反抗する姿勢が芽生えていきます。
歴史は繰り返されます。レゲエやヒップホップなどのカルチャーでは、そのような反逆心をバビロンという単語にのせた唄に変え、後世の人々にメッセージとして伝えています。
聞きなれない響きの音楽に使われる言葉
初回公開日:2018年01月04日
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